7/13 NANO-MUGEN FES.2014 “NICO Touches the Walls”

横浜アリーナにて7月12日、13日と2日間に渡り開催された、ASIAN KUNG-FU GENERATION PRESENTS NANO-MUGEN FES.2014(以下ナノムゲンフェス)。

トップバッターを務めたのが、ナノムゲンフェス初出演となるNICO Touches the Walls (以下NICO)。6月15日のZepp Tour FinalであるZepp Tokyoのアクトでは、バンドがバンドとしてさらに進化した姿をオーディエンスに見せつけ、8月19日の武道館“リベンジ”公演のチケットがソールドアウトとなり、追加席の発売も発表された。願わんばかりの結果を受けてから初めてとなる今日のステージ。一体どんなステージを繰り広げてくれるのだろう?と期待で胸が高鳴る中、この日はアコースティック・セットで出演とのアナウンス。主催者でもあり、レーベルの先輩にもあたるASIAN KUNG-FU GENERATION 山田貴洋(B&Vo)と伊地知潔(Dr)による開演の挨拶の中でも紹介を受け、終わると同時に「 NICO Touches the Walls 」と備え付けのスクリーンに大きく映し出された。歓声が上がる中、メンバー4人それぞれチェックのシャツにデニムパンツというラフな装いで、さらっと現れる。

1曲目はワンマンライブや野外フェスではお馴染みカントリー・ロックンロール「THE BUNGY」。坂倉心悟(B)と対馬祥太郎(Dr)が、大地を踏みしめるようなオーガニックなビートを生み、その上をじゃじゃ馬のように駆けずり回る古村大介(G)のアコースティック・ギター。そこに光村龍哉(Vo&G)の巻き舌にシャウトに一筋縄ではいかない過激なヴォーカルが乗る。「演奏することが楽しい!楽しくて仕方がないんだ!」という想いに溢れ、観ている側にもその想いがストレートに伝わってくる。なぜだろう、彼らとの距離がとっても近い。続く、誰もが一度は耳にしたことがあるであろう「手をたたけ」は、悪ガキっぽくちょっと捻くれた一面も見せるブルージーなアレンジに仕上がっており、横浜アリーナにこのフェスで一番大きなハンドクラップをホール一体となって鳴らし、そして「ホログラム」が放つ虹色の輝きとともに、NICOのアコースティック・サウンドは、フェス二日目の始まりに相応しい爽やかな風を運んだ。とにかく爽快で心地よい始まりだった。

「アコースティック」とは、「電子的な機器・装置を使わない、楽器本来の響きをもつさま」(デジタル大辞泉参照)であること。ミュージシャンにとってみたら、演奏スキルはもちろん、楽曲のクオリティやヴォーカルの歌唱力など本当の実力を試される。だからこそ、バンドの本質的な部分までが見えてきてしまうのかもしれない。そんな事に気が付いたのは、原曲とは反対方向に向かう、バラード調にアレンジされた「バイシクル」を聴いた時だった。

静まりかえったホールには緊張感が走る。子守歌のように優しいアルペジオの効いたギターと、情緒的に歌い続ける光村の声だけが響き、オーディエンスも彼を見守るように聴き入っている。サビへと盛り上がって行くにつれ、声を振り絞り全ての情熱を賭けて1番を歌い上げ、後を追うようにゆっくりと古村、坂倉、対馬が加わっていく。この様子が、かつてロックバンドに憧れた光村少年のもとにメンバー3人が1人ずつ集まっていく・・・というノスタルジックな光景と重なっていった。
そして私はあることに気が付いた。ここで歌われていた「バイシクル」とは「NICO Touches the Walls 」のことなのではないか。と。4人で一緒に上り坂も下り坂も泥だらけになりながら漕いできたのだ。ファンには決して見せなかった「汗」と「涙」と「苦悩」をアコースティックの魔法によって正直に表現し、優しく胸に響いた。元気でアッパーなのがNICOではない。その姿はとても感慨深く、演奏後の彼らに送られた温かい拍手も印象的だった。

そこに切り込むように入ってきた「Diver」。本来なら古村のギターソロの部分をブルースハープにチェンジされ、一人の男の背中を見ているような感覚を私にもたらす。そして、演奏している彼等を観ながらしみじみと考えてみたのだ。

バンド結成時、まだ10代だったメンバーは、いわゆる「大人の敷いたレールの上」を無我夢中で走ってきた。道中、たくさんの壁にぶつかりながら「本当に自分達がやりたいことは何なのか?」と散々追求した結果、昨年11月25日に開催された「1125(イイニコ)の日」ライブで、無駄なものを全て拭い去り、ポップを封印しロックを全開させる。レコーディングを挟みつつ、今年1月には全国3カ所を回る同世代ロックバンドとの対バンツアーを自主企画し、2月には「カベニミミ」というライブハウスをオープンさせた。かなりハードなスケジュールだったと思うが、この過程で培ったDIY(=Do It Yourself / 自身でつくる)精神が、メンバー間の結束力をより強く固め、本物のロックバンドへと急速に進化させたのではないだろうか。

今年で結成10年、メジャーデビュー7年目を迎え、ようやくたどり着いたこの場所。すでに30代を控えた彼らにとっては「時間がかかってしまった。」という気持ちも心のどこかにあるのかもしれない。しかし、4人で歩んだ長く険しい道のりから生まれたの最強のリベンジソング「天地ガエシ」を聴けば、全ての出来事は必然であることがわかるだろう。

長年彼らを応援してきた多くのファンが思わず「おめでとう!」と駆け寄りたくなるような、どストレートに心に届くナノムゲンフェスでのラストナンバー「天地ガエシ」。対馬の打つバスドラが、今のNICO Touches the Walls の鼓動のような強い生命力を感じさせ、「ここが終わりではなく、始まりなんだ。」という未来を覗かせた。初出演のイベントプラス、横浜アリーナという大きな会場で敢えてアコースティック・セットで挑んだ事は、大きな自信の現れであり、8月の武道館で起こることを予感させるような、勢いを感じさせる素晴らしい時間だった。


セットリスト
1 THE BUNGY
2 手をたたけ
3 ホログラム
4 バイシクル
5 Diver
6 天地ガエシ



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by musicorin-nirock | 2014-07-18 12:32 | LIVE
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