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4/3 GRAPEVINE TOUR 2015 @ 赤坂BLITZ

※若干ですがライヴ内容について触れていますので、閲覧にはご注意ください。(セットリストの記載は控えます。)










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SEが鳴り止み、メンバーがゆっくりと登場すると満員のフロアからは大きな拍手と歓声が沸き起こった。ツアー初日。期待感よりも、どこか張りつめたような緊迫した空気がステージには漂う。メンバーそれぞれが定位置に着き、楽器を抱えてから1曲目が始まるまでの時間が、いつもよりも長く感じてしまう。亀井亨(Dr)ドラムの淵をスティックで鳴らし、どこか懐かしい空気を漂わすイントロが聴こえてきた。“吹曝しのシェヴィ”から本編がスタート。重みのあるバスドラが全身に響き渡り心地よく、ゆったりとしたバンドアンサンブルが描く音世界に、心は完全にトリップ。続く“KOL”では、前のめりな西川弘剛(G)ギターに煽られフロアは一気に熱を帯びていく。アウトロでは西川と金戸覚(B)がステージ前方で楽器をかき鳴らすという、熱い名場面が繰り広げられ思わず拳を上げてしまった。そして<むなしき歌にして身を焦がしていくんだ(“Empty Song”)>と歌う田中和将(Vo&G)の、どこまでも伸び続ける声が、力強くホールを包み込む。強い自己主張を彼らはするわけでもなく、淡々と進み続けるステージに緊張が緩和され、彼らは観客を魅了していく。

ライヴの中盤からは、1月にリリースされたアルバム『Burning tree』からの楽曲の中に、懐かしい名曲を次々に織り交ぜていく流れだったが、正直に言うと、もっとアルバムの世界に引きずり込ませて欲しかった。以前ブログにも書いたが、今作品は田中の私小説的な要素が非常に強い作品だ。奥深く、重みのあるテーマの楽曲が続くことによって、確立してしまったものが存在している。よって、ライヴで実際に演奏する時は、「どのように曲を並べ、アルバムの世界観を再現するのか?」が重要なポイントだと思っていたために、披露されたセットリストではアルバムの濃度が薄まっている様に感じてしまったからだ。

しかし、鳴らされ続けるバイン・サウンドは申し分がないほどに素晴らしかった。可愛らしいパーカッションをメンバーそれぞれが担当した“Big tree song”は、今までのバインにはない新しい風をフロアに吹かせ、これぞ「GRAPEVINE節」と呼べるであろう“死番虫”の引力と、“流転”“MAWATA”のアダルティな音像が放ち続ける色気にはかなわない。また、数年振りに耳にした曲もエレクトロなアレンジが施されていたりと新たな魅力を発揮しながらも、当時の記憶をリスナーそれぞれに蘇らせるノスタルジーな空気も健在だ。それが違和感なくアルバムの曲と馴染むのは、彼らがデビュー当時から変わらぬスタイルを貫き続けている結果だろう。バインサウンドの根底にある、揺るぎ無い説得力と呼べるものを、確実に証明していたのだ。確かにこのアルバムは、田中和将という一人の男の人生が十二分に滲み出ている作品だ。でも今の彼にとっては重要なのは、個を放つことではなくて、あくまでもGRAPEVINEを全うする事なのだろう。かつてのライヴでは、音によって恐ろしくディープな部分まで観客を引きずり込ませていたが、今は本人自身もビール片手に歌いながら、観客自身にライヴの楽しみ方を委ねている。その裏側には音楽によって彼自身が何かを乗り越え、成長した事が非常に大きく関わっているからだと、私は今感じている。

遂に全国18か所、約2か月に及ぶツアーがスタートを切った。この過程の中でメンバー一人一人、アーティストとしての覚醒が繰り返され、サウンドに膨らみが生まれて行くのだろう。また、披露されて日の浅いアルバムの楽曲たちがどのように成熟していくのかも、今回のツアーの醍醐味でもある。さあ、6月6日の豊洲PITのファイナルのステージで、メンバーは一体どんな音世界を見せてくれるのだろう?私は期待で胸がいっぱいだ。

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by musicorin-nirock | 2015-04-04 22:42 | LIVE

ライヴレポート中心。GRAPEVINE と NICO Touches the Walls 、the HIATUS が好きです。記事の無断転載、引用はご遠慮ください。


by タナイユウ
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