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6/20 NICO Touches the Walls@富山MAIRO

5月21日、豊洲PITからスタートした「まっすぐなツアー」も折り返し地点を迎え、いよいよ後半戦に突入する。私が向かった富山は、初日の豊洲からちょうど1ヶ月後(正しくは翌日の新潟だけど)のライヴであり、NICO Touches the Wallsのバンド史上、初の富山ワンマンライヴ!という記念すべき日だった(しかも、今回のツアーで一番最初にチケットが売り切れたのも富山)。だからなのか、「待っていたよ!」と、彼らを迎え入れるお客さんの声や拍手がとても温かいものだった。しかし、ライヴが始まるとその温かさは、一気に熱さへと変わる。いや、シャレにならないくらいにライブハウスの暑さが尋常じゃなくて、ステージ上のメンバーも、まだ数曲しか演奏してないのに汗でぐっしょり。MC中に会場のドアを全開にして空気入れ替えたり、具合悪そうな人も数人見かけたし、ちょっと心配ではあったけど、でも、最初から最後まで会場を包む空気感は最高に良かった。

セットリストの内容は伏せるが、初日の豊洲とは数曲入れ替わりがあり、「NICOがどういうバンドなのか?」がとても良くわかるものだった。勿論、キラーチューンが始まれば一気に盛り上がる瞬間もあるけれど、もっとディープな部分。インディーズ時代の作品を聴くとわかるが、彼らがまとっていたあの空気感、孤独や皮肉などの、バンドとしての情緒的な部分もしっかりと打ち出しており、「聴かせること」を強く意識しているように思えた。また、これは初日の豊洲でも感じたのだが、「NICOの4人が曲を届けたい人は誰なのか?光村の歌う「君」や「あなた」は一体誰なのか?それは、目の前にいるお客さん1人1人であること」が、この日ではっきりとわかったし、今回のツアーの醍醐味と言っても良いかもしれない。

2月に発売されたアコ―スティック・アルバムの功績が、演奏や歌唱の面で大きなターニングポイントになったことは、バンドの音を聴けばすぐにわかったのだが、言うまでもなく精神的にも鍛え上げられ、NICOは大きく成長した。ただ、ここで間違えてはいけないのが、大人になったのではなくて、子供のような純粋さでリスナーと向き合えるくらい、素直になったということだ。

富山で聴いた“まっすぐなうた”は、NICOのバンドへの「初期衝動」を体感させるものだった。パンクロックで鳴らされるような、前のめりに攻める対馬ドラムが引き金となり、坂倉は聴き手の感情を撫でるようなベースラインで、バンドの大黒柱として力強く支え、メンバー4人の中でも常に先陣を切り続けてきたギタリスト古村が、青さいっぱいの音色を響かせ、汗まみれの顔をくしゃくしゃにして(彼が一番暑そうでした)、ギターを掻き鳴らし歌う光村。過去を懺悔する曲なのに、突き抜けるような爽快感が心地良く、馬鹿みたいに泣けて来てしまうのは、アコースティックで一度素っ裸にされ、バンドが抜け殻に近い状況のままで、この世に産み出された曲であり、ある意味デビュー曲に近いものが“まっすぐなうた”には存在しているからだ。そして、<間違ってた>と冒頭から歌えてしまうほどに、もう何も格好つける必要はなくて、素直に自分達を見せていけばいいとNICOが出した決断は、(これだけは強く言わせてもらうが)「間違っていない」し、結果的にNICOとリスナーとの距離感はぐっと近づいた。それは、富山MAIROに溢れていた温かさが一つだし、今まで彼らが回ってきた全国各地、どの会場にも「間違っていない」と言い切れる証拠があるんじゃないかと私は思う。

アンコールで光村は「また富山に来るっちゃ!」と富山弁で再会の約束を果たしたが、次に自分達が訪れるまでに「他のバンドに浮気されても困るから、最高の良い思い出を作りましょう!」と本音をぽろりとこぼし、最後にもう一盛り上がりしてからステージを去って行った。でも、もうリスナーがどこかへ行ってしまう心配なんて、今のNICOには要らないんじゃないかな?ステージで演奏する4人が放つ瑞々しさは、NICOが色々なモノを取り戻している証拠だし、未だかつて見たことないくらい4人が良い顔していたのは、このツアーに確かな手応えを感じているからだと思う。こんな4人を目の前にしたら、富山MAIROに集まった全員に、NICOの想いが届かないはずがないでしょう?確実に、集まったすべての人達を光(=音)で射し、そして、彼らの未来まで照らし出したような、最高の夜だった。

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by musicorin-nirock | 2015-06-22 21:56 | LIVE

ライヴレポート中心。GRAPEVINE と NICO Touches the Walls 、the HIATUS が好きです。記事の無断転載、引用はご遠慮ください。


by タナイユウ
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