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NICO Touches the Walls 3度目の日本武道館公演に寄せて

2015年がNICO Touches the Wallsにとって大飛躍の一年になることに、間違いはなかったのだ。

2月。彼らにとって大きなターニングポイントとなったアコースティックアルバムが発売され、憧れのビルボードライヴのステージに初めて立つことができた。そして5月からは2年ぶりの全国ツアーをスタートさせ、6月には『まっすぐなうた』9月には『渦と渦』というバンドの新境地を切り開く2枚のシングルを発売した。12月23日には初の大阪城ホールでのワンマンライヴが開催され、年末のロックイベント「COUNT DOWN JAPAN 15/16」では、最終日である12月31日、EARTH STAGEで新年一発目のオオトリを飾り、いよいよ迎える2016年1月8日、三度目の日本武道館公演へと襷を渡す…。

そんな夢のようなバンドストーリーを彼らは描こうとしていたのだから。

11月。古村大介(G)が右手を負傷するという想定外の出来事が起こった。12月23日の大阪城ホール公演は年明け5月6日に延期となり、「COUNT DOWN JAPAN 15/16」については出演をキャンセル。そして、11月25日の『1125の日ライブ』は光村龍哉(G)、坂倉心悟(B)、対馬祥太郎(Dr)の3人で行うという。しかし、この『1125の日ライブ』の開催日寸前まで、私達リスナーには、実際のバンドの状況の多くを知らされることはなかった。たくさんの人が不安や不満を抱えていたと思うが、今改めて考えてみると、それだけ多くの時間がこのバンドには必要であったと納得する。年内から年明けにかけてのスケジュールを大幅に変えざるを得なかっただろうし、メンバー全員と彼らを取り巻くスタッフ全員が、気持ちを持ち直すためにもやはり時間は必要だ。

そして、11月25日に無事開催された『1125の日ライブ』については、光村龍哉(Vo&G)が自身のブログに、ライヴ当日の様子や、ライヴ前の混沌とした空気まで、事細かに書いている。バンドメンバーの一人欠けるということは、当然ながらその穴埋めが必要となる。音作りも一からやり直す必要も出てくるだろうし、残されたメンバー一人一人に負荷が発生する。また、今回は一日で2公演(東京と大阪)行うというハードスケジュールである。このような状況下に立たされた時、「メンバーの一人が怪我をしたので、今回は残念ながら中止にします」「代わりにサポートメンバーを入れます」という決断を下すバンドも少なくはない。

12月に入ると、バンドの公式Twitterの中で古村による日本武道館公演までのカウントダウンが始まった。時には古村以外のメンバーからの呟きも入り、毎日発信されるようになっている。ライヴのキャンセルが続いてしまったことで、バンドとリスナーを繋ぐ唯一のツールに、私は始め戸惑いを感じてはいたが、1月8日が近づいてくるたびに、Twitterから届く彼らの本音に胸を打たれっぱなしである。

12月31日、この日からやっとギターを弾き始めたという古村のツイートには、誰よりもたくさんの涙を呑んだであろう彼の苦悩を感じざるを得なかった。そして、年が明けた1月1日。「COUNT DOWN JAPAN 15/16」で彼らの代打を務めたBLUE ENCOUNTのステージを、居ても立っても居られず観に行っていたという光村のツイートからは、先輩としての優しさとプライドを強く感じた。

もう、決して若手とは言えないNICO Touches the Wallsの長いキャリアを辿れば、良くも悪くも多くの「壁」にぶつかってきたが、それを常に4人で乗り越えている彼らの「意地」と「根性」を、私は一人のリスナーとして誇りに思っている。しかし、チャレンジでもない、リベンジでもない、三度目の日本武道館公演は、彼らがプロのバンドマンとして、今回の出来事をどのように乗り越えて来たのか、そして新しく生まれ変わった姿を、どうオーディエンスに見せてくるのかが問われる、今後の彼らを占うような責任重大なライヴである。リラックスした気持ちでライヴに臨もうと思っていたが、やはり、私は緊張をしている。しかし、その緊張が解けたときには、涙も笑顔もごちゃ混ぜで、会場中が喜びに満ち溢れる、そんな夜になるのだろう。私は、そう信じている。


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by musicorin-nirock | 2016-01-04 10:57 | COLUMN | Comments(0)

ライヴレポート中心。GRAPEVINE と NICO Touches the Walls 、the HIATUS が好きです。記事の無断転載、引用はご遠慮ください。


by タナイユウ
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