2014年 11月 04日 ( 1 )

11/2 YNU SPECIAL LIVE 2014 “the HIATUS”

11月2日。
横浜国立大学大学祭 常盤祭『YNU SPECIAL LIVE 2014』へ、THE BACK HORNとthe HIATUSの対バンライヴに足を運んだ。

ステージである野外音楽堂のバックには『14TOKIWA』と手作りのロゴが並び、右サイドには落ち葉のモチーフが飾られた、簡素で小さなステージだった。それは、私自身が音楽サークルに所属していた学生生活を思い起こさせ、10数年前の記憶を辿りながらライヴ開始を待っていた。時折空が雲で陰り、風も強く、落ち葉が舞う中でライヴは始まったが、両バンドの演奏時、雨粒一つも降らなかった。「絶対に雨を降らせない、このイベント成功させてやる」。学園祭スタッフの熱い想いが天に届いたのだろう。

この対バンライヴの後攻をつとめたのがthe HIATUS。セットリストは最新アルバム『Keeper Of The Flame』と、夏フェス以降彼らのライヴでは定番となった楽曲から構成されていた。私は今年the HIATUSのライヴを数回観ているが、その時その時、感じることは常に違う。それは、ステージに立つthe HIATUSのメンバーも同じなのだろう。彼らも今この時しか鳴らすことの出来ない音で、ステージを創り上げている。そして大袈裟ではなく、私達がその時を共有できることは、実は奇跡のようなことなのだと個人的に強く感じるようになった。

the HIATUSはメンバー一人一人がそれぞれに積み重ねてきた過去があり、個としての存在感が際立ったバンドだ。彼らは「喪失」を背負いバンドをスタートさせたが、細美武士(Vo&G)がこの5年間で確実に自分を取り戻し、また伊澤一葉(Key)が正式加入後、初のアルバムをリリースし今年5月から7月まで続いた全国ツアーによって新たな結束力が生まれた。この二つの要素が今のthe HIATUSの強みとなり、豊潤かつ感度の高いサウンドを生み出している。

始まりは“Thirst”、続くアッパーな“Storm Racers” で勢い付ければ、エレキギターを下ろし、細美はハンドマイクに切り替え歌う“Something Ever After”で生まれたオーディエンスとの一体感。彼が手に入れた“Unhurt”な心によって、“Silver Birch”、“Lone Train Running”、”The Flare ”で見せた過去の苦悩は輝きに変わり果て、そして今、“Insomnia”で哀しみを分かち合い、希望に繋げようとする強さ。曲一曲が持つ感情が、ジャムセッションのような自由度の高い演奏と、繊細かつエネルギッシュな細美のヴォーカルによって伸びやかに解き放たれる。また、何よりこの日はオーディエンスの若いエネルギーが凄かった。“紺碧の空に”が始まると沸き起こるハンドクラップ、モッシュや続出し続けるダイバーに、嬉しさがこみ上げてきたのか笑顔の絶えないステージ上のメンバー。「あまり学園祭のステージには立ったことがない」と細美は話していたし、この光景がとても新鮮に映ったのだろう。どんどんこっちへこいよ!と細美の煽る姿から「楽しい」という素直な気持ちが伝わってきた。

しかし、MCになると細美は学生達を目の前に「伝えるべきことは伝える」という姿勢を貫いていた。時に下ネタを交え笑わせながらも細美が学生時代を過ごした時代と、「お前ら」が学生生活を送っている今の時代とは、日本の状況が明らかに違うとを示唆し、ミュージシャンは真実の愛や優しさを歌うことしかできず、それは弱いものだが、集まってくれた学生達には負けないような力を持って生きて欲しいという強いメッセージを残した。

アンコール。いつもならメンバーが再登場するまでハンドクラップが鳴らされるのだが、この日に限っては“Insomnia”のイントロ(♪オオオオ~オ~オ~という部分)をなぜか歌うという光景が!それにはメンバーも驚きと喜びを隠せない様子だった。そして、演奏されたのは“Waiting For The Sun”。心地良く刻まれるビートとエレクトロが混ざり合うサウンドによって、曲始まりに細美が話したエジプト旅行中に見た暗闇に広がる満面の星空が、オーディエンスの胸の中にゆったりと広がるよう開放感に包まれていく。そして、きっとここに集まった一人一人に希望の雨が降り注いだであろう。いつにも増して親しみと優しさが感じられるエンディングだった。


set list
1 Thirst
2 Storm Racers
3 Something Ever After
4 Unhurt
5 Silver Birch
6 Lone Train Runnning
7 The Flare
8 Insomnia
9 紺碧の空に

encore
1 Waiting For The Sun
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by musicorin-nirock | 2014-11-04 21:52 | LIVE

主にNICO Touches the Walls について書いておりますが、他にはGRAPEVINE と the HIATUS が好きです。記事の無断転載、引用はご遠慮ください。


by タナイユウ
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