2015年 03月 08日 ( 1 )

3/5 ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ フェスト’ 15 @ STUDIO COAST

3月5日、新木場にあるライブハウスSTUDIO COASTにて開催された“ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ フェスト’15”。その主催者であるNICO Touches the Wallsのライヴレポートをお届けします。


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客電が落ちると凄まじい歓声が上がった。アコースティックにスカを掛け合わせた陽気なSEに合わせて、自然と始まるハンドクラップ。その中を颯爽とNICO Touches the Walls(以下NICO)、光村龍哉(Vo&G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)、対馬祥太郎(Dr)が登場する。


「楽しんでるか?新木場!お祭り騒ぎだぜ!」。威勢のいい光村の第一声と共に始まったのは、彼らの最新アルバム『Howdy!! We are ACO Touches the Walls』からアコースティックヴァージョンの“手をたたけ”。古村、坂倉そして対馬の叩き出す迫力あるトリプルドラムがフロアを震わせ、アコースティックギターを抱えた光村の歌声は、今宵は一段と逞しい。<今この瞬間を鳴らそうぜ>と歌詞を変えて歌い、間奏部分で始まったのがメンバー4人、息の合ったドラムセッション。このコーナーのハイライトとして対馬のドラムソロも披露される。勢いのままに続いたのは“THE BUNGY”。ガットギターを抱えた古村が鳴らすイントロが軽やかに宙を舞う。そして、「飛び跳ねろ!」と、雄叫びにも近い光村の声を浴びたオーディエンスが波のようにステージに押し寄せてくれば、彼らは野心剥き出しのダイナミックなサウンドで受けて立つ。立て続けに披露されたアコースティックの2曲は、先月ビルボードのステージで聴いた時よりも開放的で生々しさが際立っていた。


「改めましてこんばんは!NICO Touches the Wallsです。“ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ フェスト”へようこそ!」。今年でフェストは第2回を迎える。光村は、去年初めて自主フェスを開催したら想像以上に楽しくて今年も開催を決めた事、また対バン相手からも刺激を受け自分達にとってのターニングポイントでもあった事を明かす。そして、今宵のお相手[Alexandros]は、昨年も出演してもらっている。当時、バンド名が改名前の[Champagne]だったため[Alexandros]としては初めてなのだが「去年も似たような曲をやられていましたけど。名古屋辺りで(笑)」と笑いを誘い、ライブ前日、光村の元に川上洋平([Alexandros]Vo&G)から「映画観に行かない?」と今日会うのにメールがあったと、公私共に仲が良いことをアピール。しかしフェストの先攻を務めた[Alexandros]の川上は容赦しなかった。公私ともに長が良いことを話しつつも、「NICOをぶっ潰しに来ました~!!」とのっけからの宣戦布告。「良い空気のままNICOに渡そうとは思っていません!俺らはそんな良い子ちゃんじゃありません![Alexandros]の空気を作ってNICOに渡したいと思っています!」。この言葉通りライヴの熱量も半端なく、スケール感のあるハイブリットサウンドで一気に観客を魅了しまったのだ。盟友であり、時にシビアな目線を投げることもあるライバル関係でもある二組の共演。もちろんNICOの掴みは決して悪くない。ここから底力の見せ所だ。


オープニングから光村がずっと抱えているアコースティックギターは、ビルボードのステージで可愛い音色をお披露目された「大先輩」だ。次曲“Mr.ECHO”のイントロも、この「大先輩」で優しく奏でられていく。自問自答が繰り返される歌の主人公は作詞者である光村自身であり、孤独と向き合い続けた作品を創り上げてきたNICOの姿でもある。昨年の日本武道館のステージでは、光村の後を追いかける古村、坂倉、対馬の力強いコーラスがとても印象的であったが、ここSTUDIO COASTでは3人のコーラスが後押しとなったのか、フロア一体に広がっていくシンガロングが言葉にならない程に感動的だったのだ。まるで曲がバンドの元を離れ、目の前の一人一人の歌への変化していく瞬間を観たかのようだった。「僕らの歌でもあるけれど、君の歌でもあるんだよ」と、伝えているようだった。そして、幻想的な夜の世界へ一瞬にして引き込ませた“夢1号”で、美しく繊細なコーラスに対し、光村の歌唱が力強く映ったことも、“Diver”の王道のメロディには肉体感が生まれ、男臭さ漲るバンドサウンドでがっついてきたことも、ストイックにロックバンドであることをこだわり続けた結果だろう。安定感ある坂倉のビートに乗せて、オレンジ色のライトの中を疾走していく“ローハイド”は、まさに2015年を駆け抜けるNICOそのものであったし、“ニワカ雨ニモ負ケズ”の途中のブレイクで光村が、「へへへ、明日はどしゃぶりかな」と言葉を零せば、悲鳴にも近い大歓声。スリリングかつ爽快感あるサウンドで、たくさんの笑顔を咲かせてみせたのだ。


「やべぇ、楽しいっすね。最近(アコースティックライヴが続き)こういうのはなかったから、でかい音が出せて楽しい。」と光村。そして、先日30歳の誕生日を迎えたばかりの古村へ、メンバー3人とオーディエンスで“Happy Birthday”の大合唱。古村は「この景色は最高!」と久しぶりにライブハウスのステージに立ちご満悦の表情だ。そして、このフェストについて光村がちょっと長めに話し始めた。今、気が付けば毎週末のように、日本中のどこかしらでフェスが開催される時代である。しかしこのフェストは、こういった世の中の流れは関係なく「僕らで世の中の流れを作るもの」であり、その同志として他のバンドに出演してもらっていることのこと。今回対バンした[Alexandros]に対しては、「[Alexandros]のようなバンドは他にはいないじゃないですか。心のどっかでひっくり返していきたいという熱意」を光村は感じている。また、“ノ フェスト”の“ノ”とは英語の“No”。つまり『決して~ではない』という意味合いであり、正しく言うと『祭りどころではない』。「盛り上がるとか、盛り上がらないとか関係なく、バンドとして音楽をもっとぶつけ合える夜にしよう」という主旨なのだ。そして、共演を果たした[Alexandros]は切磋琢磨し合える仲間であり、「みんなもそういう仲間がいたら大切にした方がいいね。[Alexandros]、一生よろしく!」とステージ上で敬意を表す。思えば昨年、両バンドともに日本武道館の舞台に立った。しかし、ストレートに武道館に辿り着いたわけではなくて、「改名発表」に「リベンジ」という危機を乗り越えた結果、大きな転機を迎えることができた仲だ。年齢も近く分かり合えることも多いのであろう。NICOにとって[Alexandros]の存在の大きさを改めて思い知る、胸が熱くなる場面だった。


「僕のためにではないんだけど…世界に一本しなかいギターを買いました。」。少し照れながら話す光村の表情は、29歳の光村ではなく10代のあどけなさが垣間見れた。そして、「新しいギターを買ったら弾きたくなった」と披露されたのが、“そのTAXI,160km/h”。4人が同時に音を出した瞬間に場内の空気は熱狂に満ち、所々でモッシュも起こり始める。その様子は、昨年2月に行われたキャパ約200人のライブハウス『カベニミミ』を思い起こさせた。しかしさらに遡って、インディーズ時代小さなライブハウスのステージを再現したかのような、ギリギリの臨場感があった。この日、歌も演奏もMCも全てに「成熟と逞しさ」が漲っており、いよいよ中堅バンドとして次のゾーンに確実に足を踏み入れた事を私は確信できた。しかし、この素晴らしい流れの中で、彼らは突如『原点』とも呼べる曲を投下してきた事は、光村の新しく手に入れたギターが、彼らの胸の奥で生き続けているピュアな想いを、引き出したからに違いない。「思い残す事のないくらい、騒いで帰ってくれ~!」いつの間にか光村は真っ赤な“とちおとめ”にギターを持ち換え、ラストナンバー“天地ガエシ”が始まった。私は2階席の最後尾で彼らのステージを座って観ていたが、“天地ガエシ”が始まった途端に思わず立ち上がってしまった。2番からのテンポアップがフロアに拍車をかけ熱気の渦に溺れさせていく様も、溜めて溜めてオーディエンスをじらしまくって終わらせるパフォーマンスもさすがだった。全てを出し切ると、ステージ前方に集まり、手をつないで深々と一礼をする。オーディエンスに手を振りながら、ステージを去って行った4人は、いつになく良い顔をしていた。


約一時間の名演だった。王道のセットリストでありながらも、アコースティックアルバムのリリースとビルボードでの経験がバンドの血となり肉となり、久しぶりに爆音を鳴らせる喜びも相まって、今のNICOの全てを爆発させたような夜だった。何より彼らをここまで熱く燃え上がらせたのが大きな理由は、言うまでもなく対バン相手が[Alexandros]だったからだろう。私は本編終了の時点でライブハウスを後にしたのだが、アンコールでは両バンドメンバー全員、8人によってThe Beatles “Helter Skelter”とLed Zeppelin“Whole Lotta Love”のカバーが披露されたと小耳に挟んだ。これまた熱い熱いステージだったんだろう。「またやろうね」と約束が交わされたようだし、再び共演が繰り広げられるその時を私は心待ちにしている。


set list
1 手をたたけ
2 THE BUNGY
3 Mr.ECHO
4 夢1号
5 Diver
6 ローハイド
7 ニワカ雨ニモ負ケズ
8 そのTAXI,160km/h
9 天地ガエシ

encore
1 Helter Skelter (The Beatles ) & Whole Lotta Love(Led Zeppelin)



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by musicorin-nirock | 2015-03-08 21:27 | LIVE

主にNICO Touches the Walls について書いておりますが、他にはGRAPEVINE と the HIATUS が好きです。記事の無断転載、引用はご遠慮ください。


by タナイユウ
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