2015年 05月 20日 ( 1 )

NICO Touches the Walls TOUR 2015“まっすぐなツアー”開催によせて

今年の3月5日、新木場STUDIO COASTで久しぶり観たNICO Touches the Walls のライヴで、想像以上に感動してしまった事を今でも鮮明に覚えている。この日は対バン形式で、1時間足らずの短い演奏時間だった。しかも、これまたバンドの“王道ヒットパレード”とも呼べるセットリストで挑んできた。この1年、彼らのライヴで何度も何度も耳にしてきた曲ばかり。それなのに。全ての曲が新鮮で、音と共に見える景色が全く違うものだった。メンバー一人一人の佇まいも何時に無く堂々として、背負っていた様々なものから、やっと解放された、とても良い表情をしていた。

帰りの電車で「バンドって、いいな。バンドってこんなにも変わることができるんだな」と、心の底から思ったのだ。

私が彼らと真正面から向き合い始めたのは、2012年の「1125(イイニコ)の日ライブ」だった。当時の彼らはまだ、自分達が抱え続けていた「葛藤」を表に出すことはしていない。いや、出すこと自体が格好悪い、ダサい…と思っていたのではないかと思う。とにかく「心地良い青年達が鳴らす、色鮮やかなギターロックバンド」というイメージが私にはずっとあった。

ところが、翌年リリースされた“Mr.ECHO”で光村龍哉(Vo&G)が抱える孤独なその胸の内を吐き出した。そしてそれが、結果的にバンドのターニングポイントになる(と思っている)。この“Mr.ECHO”が収録されているアルバム『Shout to the Walls!』は、全身全霊かけて壁にぶつかって行くが如く、ロックが全面的に強調された楽曲で勝負し、また、メンバー全員がソングライティングにも関わっており、過去4枚のアルバムよりも突出してバンド感が強く感じられる1枚となった。そして「灼熱のロックンロールナイト」と称され、忘れもしない、武道館のリベンジ宣言をした2013年の「1125(イイニコ)の日ライブ」に繋がった。

描いていた理想と現実の狭間で揺れに揺れ、でも、ようやく自らの足で立ち、前に進めるようになった。だからこそ、さらに自ら拍車を掛けるように2014年の年明け早々、一か月間ぶっ通しでライヴして(篭城型ライヴハウス「カベニミミ」)、その拡大バージョンのZepp ツアーまでも開催して、迎えた8月19日。二度目の日本武道館を終えたメンバーが見せたものは、笑顔。歓喜と共に彼らから漲る自信は、ロックバンドとしての神髄を手に入れた証だった。

2015年に入り、彼らにはご褒美が与えられる。それは、憧れのビルボードのステージに立てること。アコースティックにアレンジされた楽曲を携え、迎えた晴れの舞台を、今、思い返してみると、彼らが生み出した作品への愛情が、盛大に感じられる時間だった。本当に、全てを受け入れることができたのだろう。彼らが理想としていたことが、現実になったんだ。

こうして歩みを辿っていくと、一本の長い道が見えてくる。途中、上り坂も下り坂もあって当然だろうし、赤信号が灯りかけた時もあっただろう。それでも足を止めなかったことは、本当に素晴らしい。彼らが長年深めてきたことが、全てバンドサウンドとして放たれたから、私は3月5日のステージを観て思わず涙を流してしまったのだ。

明日から始まるツアーの前に、どうしても書き残しておきたかった。あまりにべたなツアータイトルだけど、笑っちゃうくらい似合っているよ。




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by musicorin-nirock | 2015-05-20 22:15 | COLUMN