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9/22 NICO Touches the Walls@スペースシャワー列伝15周年記念公演“大大大宴会”~東の宴~

9月22日、新木場STUDIO COASTで開催されたスペースシャワーTV主催『スペースシャワー列伝15周年記念公演“大大大宴会”~東の宴~。出演アーティストにはメインアクトをTHE ORAL CIGARETS、グッドモーニングアメリカ、NICO Touches the Walls、the telephonesの4組が務め、ニューカマーアクトとしてHalo at 四畳半、Bentham、PELICAN FANCLUB、LILI LIMITが選ばれた。

NICO Touches the Walls(以下NICO)のライヴが始まる前、メインアクト4組のバンドが過去に回った『列伝TOURダイジェスト映像』が流れた。そのトップは『スペースシャワー列伝JAPAN TOUR 2007』に出演したNICO。当時メンバー皆22歳で、ライヴ中に当時を振り返る光村龍哉(Vo&G)曰く「毎晩飲んで喉をガラガラ」にしながらツアーを回っていたそうだ。“泥んこドビー”と“そのTAXI,160Km/h”を演奏する様子は、目の前にいるオーディエンス相手に斜め目線で突っ掛かり、20代前半ならではの青さを吐き散らす。ただ、若干22歳の青年達が組んだロックバンドにしてはどこか古風な印象も受けたのだが、ポップでメジャーなものではない表現で、音楽の世界に飛び込んできた彼らの姿勢は、当時から本物だったと私は感心してしまう。そして、この2007年のライヴ映像を観た直後に始まったのが、平均年齢30歳のNICOのライヴ。演奏時間も短く、今年の夏フェスで披露されているお馴染みのセットリストではあったが、ダイジェスト映像を目の当たりにしたことで、強烈なインパクトを私に与えたのである。

真っ白なシャツとデニムパンツに身を包みステージに現れた4人。1曲目に披露されたのは“まっすぐなうた”だった。<間違ってた/なんか全部間違ってた>。2007年のスペシャ列伝後にメジャーデビューを果たし、今日まで走り続けてきた長い長い時間のことを歌っているのかと思うと、なんてドラマチックな始まりなのだろうと感極まりかけたのだが、そんな私の気持ちをよそに「今のNICOは最強」「誰にも負ける気がしないぜ」と強気なMCで光村は客を煽る。古村大介(G)はステージ上を動き回り、奔放にエレキギターを掻き鳴らし続け、坂倉心悟(B)と対馬祥太郎(Dr)の強力なリズム隊がフロアをグラグラと揺らし、光村はギラギラとした視線を投げつけながら歌う。4人の情熱がビシバシ伝わるサウンドを全身で浴びていると、歌が上手いだの、演奏が上手いだの、そういったことは一切無視して、『自分達はロックバンドとしてどうありたいのか?』という、バンドマンとしての根本的な部分で勝負に出ているように観え、ライヴ後半に披露された“渦と渦”がえらい感動的だったのだ。

NICOには、あれもこれも自分たちのものにしようと蓄えてきた過去がある。そして、メンバー全員30代を迎える前に一度全て削ぎ落とせたことで、「あなたに歌を届けたい」という、バンドの使命を担うこの曲が、結成11年目にしてようやく誕生した。決して器用とは言えないバンドであり苦労も多かったと思うが、諦めずに走り続けてきたからこそ「今のNICOは最強」「誰にも負ける気がしないぜ」と他のバンドを目の前に堂々と宣言でき、言葉通りのステージが私の目の前で繰り広げられていた。その姿は、今回共演したバンドにも、大きな勇気を与えたはずだ。この勢いを止められる曲者は、どこにもいないのではないかと思わざるを得ない程、野心剥き出しの4人。2007年のスペシャ列伝ツアーを回る彼らよりもどこか若々しく感じ、始まったばかりの30代を期待させるものがあった。年末には初の大阪城ホール公演、年明けは三度目の日本武道館公演を控えている。新たな壁に4人がどう立ち向かい、どんなフィナーレを見せてくれるのか。今からとても楽しみにさせてくれる、素晴らしいアクトだった。

SET LIST
1 まっすぐなうた
2 手をたたけ
3 THE BUNGY
4 ニワカ雨ニモ負ケズ
5 渦と渦
6 天地ガエシ


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by musicorin-nirock | 2015-10-11 09:42 | LIVE | Comments(0)

8/4 MONOEYES@渋谷CLUB QUATTRO

細美武士のソロプロジェクトはMONOEYESというバンドで始動した。メンバーは通称“トディ”こと戸高賢史、ベース&コーラスはスコット・マーフィー、そしてドラムは一瀬正和。それぞれに長年のバンドマンとしてのキャリアがあり、バンドが大好きな4人である。細美が一人一人に声を掛けバンド結成に至るまでには、個々に山あり谷あり超えてきた過去がある。しかし、このバンドには重苦しさが何一つ存在しない。とにかくメンバー間の風通しが良い。細美がDJを務めるラジオ番組を聴いたとき、全員参加のインタビューを読んだとき、4人の絶えない笑い声と、流れ続ける和やかな空気から、そんな仲間に出会えた彼らが、私は心から羨ましく思っていた。

7月30日、千葉LOOKからスタートしたMONOEYES『A Mirage In The Sun Tour 2015』。その3公演目にあたる8月4日、渋谷CLUB QUATTRO。某有名映画のテーマソングをSEにメンバーは登場し、大歓声が上がる中一曲目が始まると、そこから絶え間なくクラウドサーファーが出現。ライヴが進むに連れモッシュの波がどんどん広がり、上がり続ける拳の数も増え、細美の声が聞こえない位のシンガロングがキャパ800人規模のライブハウスに充満する。熱気と共にフロアが高揚してく光景は、あまりに壮観で思わず私もフロアに飛び込みたくなった。

何よりメンバー4人、オーディエンスに負けないくらいライヴを楽しんでいる姿が印象的だった。くるくると回りながらベースを弾く姿がファニーなスコットが、細美の声にハモるコーラスなんて、びっくりするほど気持ちが良かった。全身振り乱し、フロアを煽るようにエレキを掻き鳴らす戸高の姿には強い男気を感じ、スコーンと突き抜ける様な爽快感と地響きのようなダイナミックさを持つドラミングで、動きまくる3人を背後からどっしり支える一瀬は、メンバー1頼もしかった。そして、ガッツポーズを何度も見せ基本笑顔の細美。彼は、いつになくオープンな気持ちでステージに立っているように見えた。最高の仲間と共にMONOEYESを始動させ、たくさんのオーディエンスに囲まれ歌を歌えることが、どうしようもなく幸せなのだと、彼の全部から伝わってくるのだった。そして、最後のMCで「心が折れそうになったら、ライヴハウスで待ってるよ」と投げかけられるくらいオーディエンスとの距離も近い。この近さこそ、細美が信念通して音楽を続けてきた結果なのだと思う。

アンコールでは、突然乱入したTOSHI-LOW(BRAHMAN/OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND)がフロアに突然ダイヴするというハプニングもあり、負けじとスコットも最後はダイヴ。メンバーとオーディエンスの垣根が吹っ飛ばされ更に一体感が増し、ハッピーな空気で始まったライヴはハッピーな空気ままで終わった。冒頭でも述べたが『このバンドには重苦しさが何一つ存在しない。とにかくメンバー間の風通しが良い。』だからこそ『絶えない笑い声と、流れ続ける和やかな空気』がライヴハウスには広がる。最高のメンバーと、目の前で思いっきり笑顔を見せるオーディエンス。そして、そこに音楽があれば最高な時間を過ごせるのである。簡単なようであるが、そう簡単に表現できるバンドは、なかなか存在しないだろう。それをMONOEYESは堂々と証明し、まさにこれがMONOEYESの世界なのだ、と私は強く、そう感じた。






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by musicorin-nirock | 2015-08-11 12:16 | LIVE

7/18 田中和将(GRAPEVINE)+高野寛@Zher the ZOO YOYOGI

ラジオパーソナリティの中村貴子さん主催の“y's presents 『貴ちゃんナイト vol.7』”へ行ってきました。出演は、カミナリグモ、田中和将(GRAPEVINE)+高野寛、高野寛の3組(出演順)。中村貴子さんと馴染みのあるアーティストによる、キャパ300人にも満たないライヴハウスでの過ごした約3時間は、予想以上に贅沢な時間となりました。いやぁ、貴子さんありがとう(笑)。私は高校生の頃に、中村貴子さんがDJを務められていたNHK-FM「ミュージック・スクエア」を毎晩聴いてまして、この番組のおかげで多くのバンド・ソロアーティストを知り、今回出演された田中さんのバンド、GRAPEVINEとも出合いました。多分、このラジオと音楽雑誌「ロッキン・オン・ジャパン」が無ければ、今の私ない、と言い切れるほど思い入れの強い番組で、妙にノスタルジーに浸りながら一人家路につきました。

では、個人的メインであった、田中さんと高野さんのステージについてのレポートを以下記載します。

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いつものように白シャツ姿で田中和将は現れた。相変わらず飄々としていて、リラックスしているようにも見えたのだが、今夜はGRAPEVINEではないし、勿論Permanentsでもない。大先輩・高野寛との一夜限りのユニットであり、ドラムに高野とのコンビでもお馴染み宮川剛も加わった3人編成のステージである。いつもよりMCが控えめに聞こえたのは(それでも良く話すようになったのだけれど)、やはり緊張していたのだろう。

1曲目。田中が突然歌いだしたのは“光について”。抱えたアコースティックギターを荒々しく鳴らし、力強い歌声を上げた。高野と宮川の鳴らすソリッドなアンサンブルに導かれ、男らしく、ブルージーに化けている。「挨拶代りに」と曲紹介をしていたが、そのわりには随分渋い。元々曲に存在する繊細さをいい意味で打ち消し、今の田中にしか歌えない”光について”であった。

「GRAPEVINEやPermanentsではやらない曲をやります」という事で、続いたのは“また始まるために”と“鏡”である。オーディエンスからの久しぶりに聴くことができた高揚感がフロアには終始漂う。高野はギターを弾いたり沢山セッティングされた機材をごそごそ操ったりと、何かと忙しそうであったが、彼の柔らかな歌声が田中の声に重なると、一層歌の世界が広がった。つまり、演奏する人や歌う人によって曲に新たな色が加わり、また違う一面を聴き手に見せてくれるのだ。次から次への新しい曲が生まれる世の中で、これは古いやり方に映るのかもしれないが、別の魅力を引き出せるとは、長年経験を培い、リスペクトされ続けてきたアーティストだからこそ、なせる業なのだろう。

田中自身、高野の曲は好きでよく聴いてきたそうだ。「あまり聴いていない人からには感じないんですけど、聴いてきた人なので(高野からの)圧が…(苦笑)」と言いつつもにこやかで、とても嬉しそうだった。続いては高野がVocalを務めたトッド・ラングレンのカバー"I Saw The Light"(日本語歌詞Ver)。田中のリクエストで決めた曲らしく、彼がギタリストに徹する姿も新鮮だ。そして、再び田中のステージへ。私自身、何年振りに聴いたのか正直思い出せない、しかし貫禄に満ちた"フラクタル"と、最後の曲の“TWANG”は、3人のアンサンブルと田中の歌が胸に迫る勢いで、圧巻のパフォーマンスだった。

憧れのミュージシャン、大好きなバンド。そういった自分のルーツに近づくために、まずは「似させよう」と必死に努力するのだろう。そして、経験を積むことで、その努力が血となり肉となり、いつの間にか自分自身として表現できるようになる。今日の田中のパフォーマンスは、まさに今述べたまんまである。CDで聴く声の初々しさは彼にはもうないが、年齢を重ねたからこそ歌える歌がある。40代の哀愁漂うブルージーな”光について”は、リアルタイムで聴いていた頃よりも妙に胸に染み入る声だった。

そして、一夜限りのユニットとは言わずに、またいつか実現してほしい。


set list
1 光について
2 また始まるために
3 鏡
4 I Saw The Light
5 フラクタル
6 TWANG


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by musicorin-nirock | 2015-07-19 00:00 | LIVE

7/11 NICO Touches the Walls @ 広島BLUE LIVE

ライヴ内容に触れていますので、閲覧にはご注意ください。


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by musicorin-nirock | 2015-07-17 22:00 | LIVE

6/20 NICO Touches the Walls@富山MAIRO

5月21日、豊洲PITからスタートした「まっすぐなツアー」も折り返し地点を迎え、いよいよ後半戦に突入する。私が向かった富山は、初日の豊洲からちょうど1ヶ月後(正しくは翌日の新潟だけど)のライヴであり、NICO Touches the Wallsのバンド史上、初の富山ワンマンライヴ!という記念すべき日だった(しかも、今回のツアーで一番最初にチケットが売り切れたのも富山)。だからなのか、「待っていたよ!」と、彼らを迎え入れるお客さんの声や拍手がとても温かいものだった。しかし、ライヴが始まるとその温かさは、一気に熱さへと変わる。いや、シャレにならないくらいにライブハウスの暑さが尋常じゃなくて、ステージ上のメンバーも、まだ数曲しか演奏してないのに汗でぐっしょり。MC中に会場のドアを全開にして空気入れ替えたり、具合悪そうな人も数人見かけたし、ちょっと心配ではあったけど、でも、最初から最後まで会場を包む空気感は最高に良かった。

セットリストの内容は伏せるが、初日の豊洲とは数曲入れ替わりがあり、「NICOがどういうバンドなのか?」がとても良くわかるものだった。勿論、キラーチューンが始まれば一気に盛り上がる瞬間もあるけれど、もっとディープな部分。インディーズ時代の作品を聴くとわかるが、彼らがまとっていたあの空気感、孤独や皮肉などの、バンドとしての情緒的な部分もしっかりと打ち出しており、「聴かせること」を強く意識しているように思えた。また、これは初日の豊洲でも感じたのだが、「NICOの4人が曲を届けたい人は誰なのか?光村の歌う「君」や「あなた」は一体誰なのか?それは、目の前にいるお客さん1人1人であること」が、この日ではっきりとわかったし、今回のツアーの醍醐味と言っても良いかもしれない。

2月に発売されたアコ―スティック・アルバムの功績が、演奏や歌唱の面で大きなターニングポイントになったことは、バンドの音を聴けばすぐにわかったのだが、言うまでもなく精神的にも鍛え上げられ、NICOは大きく成長した。ただ、ここで間違えてはいけないのが、大人になったのではなくて、子供のような純粋さでリスナーと向き合えるくらい、素直になったということだ。

富山で聴いた“まっすぐなうた”は、NICOのバンドへの「初期衝動」を体感させるものだった。パンクロックで鳴らされるような、前のめりに攻める対馬ドラムが引き金となり、坂倉は聴き手の感情を撫でるようなベースラインで、バンドの大黒柱として力強く支え、メンバー4人の中でも常に先陣を切り続けてきたギタリスト古村が、青さいっぱいの音色を響かせ、汗まみれの顔をくしゃくしゃにして(彼が一番暑そうでした)、ギターを掻き鳴らし歌う光村。過去を懺悔する曲なのに、突き抜けるような爽快感が心地良く、馬鹿みたいに泣けて来てしまうのは、アコースティックで一度素っ裸にされ、バンドが抜け殻に近い状況のままで、この世に産み出された曲であり、ある意味デビュー曲に近いものが“まっすぐなうた”には存在しているからだ。そして、<間違ってた>と冒頭から歌えてしまうほどに、もう何も格好つける必要はなくて、素直に自分達を見せていけばいいとNICOが出した決断は、(これだけは強く言わせてもらうが)「間違っていない」し、結果的にNICOとリスナーとの距離感はぐっと近づいた。それは、富山MAIROに溢れていた温かさが一つだし、今まで彼らが回ってきた全国各地、どの会場にも「間違っていない」と言い切れる証拠があるんじゃないかと私は思う。

アンコールで光村は「また富山に来るっちゃ!」と富山弁で再会の約束を果たしたが、次に自分達が訪れるまでに「他のバンドに浮気されても困るから、最高の良い思い出を作りましょう!」と本音をぽろりとこぼし、最後にもう一盛り上がりしてからステージを去って行った。でも、もうリスナーがどこかへ行ってしまう心配なんて、今のNICOには要らないんじゃないかな?ステージで演奏する4人が放つ瑞々しさは、NICOが色々なモノを取り戻している証拠だし、未だかつて見たことないくらい4人が良い顔していたのは、このツアーに確かな手応えを感じているからだと思う。こんな4人を目の前にしたら、富山MAIROに集まった全員に、NICOの想いが届かないはずがないでしょう?確実に、集まったすべての人達を光(=音)で射し、そして、彼らの未来まで照らし出したような、最高の夜だった。

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by musicorin-nirock | 2015-06-22 21:56 | LIVE

5/14 Nothing's Carved In Stone @ 渋谷CLUB QUATTRO

3月から始まったMonthly Live at QUATTROもいよいよ最終節。そのVol.3は“3✕6=構築”。インディースからメジャーデビューへの架け橋となった3rdアルバム『echo』と、オリコン10位という記録を叩きだし、実質上メジャー最後の作品となった6thアルバム『Strangers In Heaven』という、Nothing's Carved In Stone(以下NCIS)の歴史を大きく“構築”した2枚が再現される。

開演前から熱気が高まる中、『echo』のオープニングを飾る“Material Echo”をSEにメンバーが登場。歓声と共にオーディエンスがステージへと押し寄せる最中、生形真一(G)のエッジィなエレキギターが鳴り響き“Truth”、そして“Spiralbreak”と連打。まるで牙を向けた蛇の様に野性剥き出しでメンバーはオーディエンスに食って掛かり、続いて『Strangers In Heaven』から“What's My Satisfaction”を投下する。大喜多崇規(Dr)と日向秀和(B)が絡み合うタイトなビートがフロアを激しく揺らし、オーディエンスの熱量は既に沸点超えていた。爆発的な盛り上がりを見せる中、オレンジと白いライトに照らされ始まった“Brotherhood”。サビではたくさんの手がフロアから上がり、熱気まみれのQUATTROが音の光で包まれていく。

「お前らと同じように今日を楽しみに待っていました。開放していこう」などと村松拓(Vo&G)が手短くMCを済ませると、がっちりと骨組みされた屈強のバンドサウンドで4人は暴れ馬のようにかけずり回る。一件反発し合っているように聞こえる生形と日向のフレーズがばしっと型にはまったアンサンブルが見事だった“Falling Pieces”から始まり、生形のキレッキレのギターリフが全力全開となった“Crying Skull”、ラテン系のリズムに大喜多の持ち前のダイナミズムが投入された“(as if it's)A Warning”で、フロアは一気にダンスホールに。逆風を跳ね飛ばす勢いで怒涛の展開を繰り広げ、ここでブレイクのように挟まれたのが、ミドルバラード“Goodnight & Goodluck”。ハンドマイク姿となった村松の逞しく優しい歌声が響き渡り、表現者としての華々しい存在感を放つ。しかし、気迫のこもった表情で“雪渓にて”を熱唱する村松は、いつもの彼とはどこか違っていた。

今回再現された2枚のアルバムの一枚である『Strangers In Heaven』は、聴き手と共鳴し合える歌詞、開放感に溢れたサウンド、そして“ダンス”の要素もプラスされた、一体感を強く味わえる作品となっている。逆に『echo』は、“己”に向けて歌われた曲が多い。自分と対峙し、孤独と闘い、抑えきれない怒りに突き動かされる衝動が、ヘビィなサウンドと共に人間の内側に深く沈み込ませていく。この日ライヴ中盤のMCで村松は、「最近、己がふらついている」と曝け出し、その直後の“9 Beat”から『echo』収録曲が続いた。ラウドで情熱的なサウンドをバックに<生まれ続けてる/摩擦が頬を削いでいく/それが辛いって隠せずに言うなら/You are doubt>と、生々しい感情が感情のまま声となる。しかし、彼は感情を爆発させていたわけではなく、自分の中で起きた事実を冷静に受け止め、真摯にオーディエンスと向き合い続けていた印象を私は強く持った。

幻想的な“キマイラの夜”からインストナンバー“7th floor”へ流れ込み、勢い良く放たれた“ツバメクリムゾン”でフロアは開放されていく。溢れんばかりの高揚感と多幸感。そこに間髪入れず、歪む日向のベースが唸る“TRANS.A.M”で畳み掛け、ラストスパートをかけるようにNCIS流ダンスロックの要“Idols”を投下。再び始まるダンスタイムに揺れるフロア、蒸されるQUATTRO。

そして、“Intro”が流れる中を、精悍な顔つきで村松は話し始めた。「俺たち全然…まだ俺自身、至らないところもあって、ロックバンドとして。もっと成長して、もっとみんなを遠くまで連れて行けように頑張ってるんで、付いて来て下さい。ありがとうございました。Nothing's Carved In Stoneでした」。柔らかなギターのイントロが、ゆらゆらと揺れる陽炎を思い描く“Shimmer Song”。<そこに情熱を築いていて/いくつもの矛盾と対峙して/きっと自由を求めていて/陽炎は希望を燃やしている>。放たれる言葉一つ、どれをとっても、今の彼の気持ち全てを代弁していたと思う。表も裏もない感じさせない歌声は、彼がとことん正直者であることを証明し、バンドマンとして抱え続ける情熱と新たな決意がミックスされ、今まで聴いてきた中でも一番感動的な“Shimmer Song”だった。

本編ラスト“To Where My Shoe Points”で、村松はフロア全体を眺めながら、1人1人の表情をしっかりと確かめていた。メンバー4人、全てを出し切り、逞しいサウンドでエモーショナルな空気にフロア包み込むと一旦ステージを引き下がった。

アンコールを求める鳴り止まない拍手の裏では“Chain reaction”のイントロが流れ続け、真っ白なライトに照らされる中、再びメンバーが登場する。“Chain reaction”の後のMCは人間ドックの話題になったりと、笑いの絶えない和やかな時間だった。そして、アンコールラストは“False Alarm”でライヴは無事に終演。しかし、先日、村松のブログにてレーベル移籍の発表があり、今年の4月よりメジャーからインディーズへ返り咲いたのだが、この件についてMCでは一切触れることはなかった。ただ、煮え切らない気持ちであることは、前述しているMCや村松の歌声、そして4人のバンドサウンドから胸に迫る勢いで伝わり、こんなにも生々しいNCISのライヴを体感したのは初めてだった。

個人的な事を最後に記すならば、NCISはやはりライヴバンドである。ライヴを体感してからこそ、彼らの本物の格好良さがわかる。生形、日向、大喜多という最強のプレイヤー達の名演は耳だけではなく、その姿を目で見たことで改めで本物であることが理解できたし、それは、言うまでもなく村松のヴォーカルもだ。彼の歌唱はデビュー当時と比べかなり大きな変化を遂げ現在も進行中であり、彼が覚醒していく様を、この“3✕6=構築”で私は見届けたような気がしているし、私の彼らへの期待は強まるばかりだ。

この、3カ月に渡り行われたMonthly Live at QUATTROは、リスナーの投票により8月にライヴアルバムとしてリリースされ、再現ライヴも開催されることが既に告知されている。2008年のバンド始動からの集大成であると共に、NCISのライヴでしか味わえない臨場感が大いに詰め込まれた一枚になるだろう。



set list
1 Material Echo
2 Truth
3 Spiralbreak
4 What's My Satisfaction
5 Brotherhood
6 Falling Pieces
7 Crying Skull
8 (as if it's)A Warning
9 Goodnight & Goodluck
10 雪渓にて
11 9 Beat
12 Midnight Train
13 Everlasting Youth
14 Seasons of Me
15 My Ground
16 キマイラの夜
17 7th Floor
18 ツバメクリムゾン
19 TRANS.A.M
20 Idols
21 Intro
22 Shimmer Song
23 To Where My Shoe Points

encore
1 Chain reaction
2 False Alarm

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by musicorin-nirock | 2015-05-24 22:04 | LIVE

5/21 NICO Touches the Walls @豊洲PIT

ツアー初日の雑感です。内容にも軽く触れていますので、閲覧にはご注意下さい。

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by musicorin-nirock | 2015-05-23 09:53 | LIVE

ARABAKI ROCK FEST.15 / GRAPEVINE

4月25日から2日間に渡り開催されたARABAKI ROCK FEST.15の会場には、7つのステージがある。その中で唯一の屋内ステージが花笠だ。GRAPEVINEは今年、2010年のARABAKI以来5年振りに、ここ花笠に立つ。

彼らが出演するARABAKI2日目、4月26日は、前日に比べ日差しが強く、一気に夏を呼び寄せたような暑さだった。午前中から会場をほっつき歩いていた私は、この暑さに体力を消耗され、まだまだ続くライヴのために屋内ステージで少しゆっくりしようと一足早く花笠に向った。すると、ステージにはCHABOこと仲井戸麗市率いるCHABO BANDのライヴが始まっていた。私はこの時、休むつもりで向かったはすなのだが、バンドの音を耳にした瞬間に、完全ノックアウトされてしまった。仲井戸は自分自身が楽器となり、自由自在に音を操っている。彼が産み出す重みのあるグルーヴに、私の体は勝手に動きだし、仲井戸の人生が練り込まれたブルースには、思わず目頭が熱くなる。そしてステージを見渡すと、仲井戸らの名演を舞台袖で楽しむGRAPEVINEのメンバーの姿が見えた。下を辿ると田中和将(Vo&G)は、中学2年生の頃に仲井戸に憧れギターを購入した事を、先日発売された『ロックンロールが降ってきた日3(㈱スペースシャワーネットワーク)』 で語っていた。少年時代に憧れたミュージシャンが、今目の前でギターを弾き、歌っている。そしてこの後、自分も同じステージに立てる事は、ミュージシャン冥利に尽きるに違いない。

仲井戸が去った後の花笠は変わらずテンションが高かった。サウンドチェックのためにステージに現れたGRAPEVINEメンバーも、時折オーディエンスに茶々を入れたりとご機嫌だ。そして、開演時刻を5分ほどオーバーした頃に、彼らはビール片手にリラックスした面持ちで、再びステージに現れた。


1曲目は“光について”。芳醇なギターのイントロが花笠に響き渡り、ノスタルジーが漂う中でも、彼らの「今」が感じられる音だった。たっぷりとしたバンドサウンドは、オーディエンスの心をぐっと引き寄せる。そして次曲“疾走”へと続くと、私の目の前にあるステージが涙で滲んでしまった。<まだ未来は空っぽのままで 新しい予感に泣きそうだぜ>という衝動と、ダイナミックな曲展開が、四十路を超えた大人たちが、まさに仲井戸に憧れていた10代の頃のピュアな気持ちのまま、バンドと向き合う姿を曝け出していたからだ。田中の身を振り乱しシャウトする姿も、西川弘剛(G)が鳴らし続けるエレキの音も、亀井亨(Dr)が刻む迫力あるビートも、いつにも増してリアルに迫ってくる。その勢いに乗って、前のめりに攻めてきた“KOL”。持ち前の成熟尽くしたバンドサウンドからは貫録が感じられる。しかし、モッシュが起きてもおかしくない程のフロアの大盛況ぶりは、狭いライブハウスでぎゅうぎゅう詰めになりながら、彼らのステージを観ていた頃を、ふと私に思い出させた。

ここで最新アルバム『Burning tree』より“Weight”が披露されると、花笠は一気にアダルティな空間へと変わる。高野勲(Key)の鍵盤と田中のアコギが絡み合うアンサンブルが、しっとりとフロアを包み込み、田中は祈りを込めるかのように優しく歌い上げていく。「そろそろ、おねむの時間でしょ?寝てもいいんですよ?」なんて曲前のMCに、くすくすと笑い声を上げたオーディエンスも、食い入るようにステージに視線を向けていた。ヒットシングルで始まり、アッパーなロックを立て続けにチョイスした、GRAPEVINE初心者にも優しいセットリストだったが、ライヴ中盤に差し掛かった所で、嫌味もなくミディアムバラードを持ってくる。そんな彼らの姿は、肩肘に力が入るわけでもなく、とても堂々としていた。

続けて、ファンキーに聴かせた“SOUL FOUNDATION”。活動初期の頃の楽曲が披露される嬉しいサプライズに、フロアのテンションもヒートアップ。オーディエンスとメンバーとの間には一体感が生まれていく。そこに鋭く“ Reverb”が切り込むと、熱狂的な歓声が上がった。金戸覚(B)の低音が拍車をかけように、ぐらんぐらんとフロアを揺らし熱気は更に上がっていく。

そしてラストは再び『Burning tree』から“IPA”という、ツアー中ならでは締め括りだった。先日、赤坂BLITZで初めて聴いたときよりも、サウンドに深みが増し、揺るぎないものが感じられた。歌い続ける中で、新たに生まれた田中の感情が、注ぎ込まれているのだろうか。まるで、GRAPEVINEの「現在地」をここARABAKIの地に刻み込んでいるようだった。特にエンディングにかけての盛り上がりは、この先も続くであろう彼らの道程が、柔らかな光に照らし出されていくようで、私は言葉を失った。

メンバー全員40代を迎え、楽曲に対して向き合い方が確実に変わったことをアルバム『Burning tree』は物語っている。よって、近年リリースされたGRAPEVINEの作品の中でも群を抜いてリアルだ。そのリアルが、彼らより下の世代を生きる私には、理解しがたい部分でもあった。しかし、ここARABAKIで、彼らはまだ熱き音楽への情熱を抱えながら、自らの積み重ね上げてきたモノを踏まえ、更に次なる新しい道を今再び模索し始めている事を、私に教えてくれた気がしている。それは、ツアーを続けていく中で、それぞれの心境に変化が訪れ始めている証でもあるが、やはり憧れのCHABO BANDのステージが、彼らに何か気付かせたのかもしれない。彼らの中に存在する、10代の頃の自分が引き出された、今のGRAPEVINEの鳴らすサウンドは、映画のようにドラマティックだった。


set list
1 光について
2 疾走
3 KOL(キックアウト ラヴァ―)
4 Weight
5 SOUL FOUNDATION
6 Reverb
7 IPA


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by musicorin-nirock | 2015-05-02 12:00 | LIVE

ARABAKI ROCK FEST.15 / the HIATUS

ARABAKI ROCK FEST.15(以下ARABAKI)、その1日目にあたる4月25日。磐越のステージに現れたthe HIATUSのメンバーをオーディエンスは温かく迎え入れていた。その理由を、私は彼らの活動を追い続けていく中で、十二分に理解していたつもりだった。しかし、広大なみちのくの大地を目の前に<Revolution needs a soundtrack(和訳:革命にはサウンドトラックが必要だろ“Horse Riding”>と威勢良く細美武士(Vo&G)が投げ掛けた時、改めて東北の人々にとって、the HIATUSの存在の大きさを、目の当りにすることになる。

ライヴは“The Ivy”から衝撃的に幕を開け、伊澤一葉(Key)の鳴らす繊細なピアノの音が大空に響き渡る“The Flare”へと続く。そして、絶え間ないダイバーとモッシュの嵐で、スモークのように砂埃が舞い上がった“Storm Racers”で畳み掛け、細美はハンドマイク姿になった。最新アルバム『Keeper Of The Flame』の1曲目を飾る“Thirst”では、細美と共にオーディエンスのたくさんの拳が上がり、熱気まみれのまま次曲“Unhurt”へ。柏倉隆史(Dr)とウエノコウジ(B)が産む生々しいグルーヴにエレクトロな打込みが交じり合い、その上に、masasucks(G)の風を切るようなエレキギターが重なるバンドアンサンブルは、この上なく最高だった。

昨年のARABAKIでは、ステージに立てた喜びからか、思わず涙ぐんでしまう細美がいた。私自身にも何度も感極まる瞬間が訪れたのだが、会場中にエモーショナルな空気が漂い続けていた。しかし、2015年のARABAKIでは、MCの最中、時折言葉に詰まりながらも終始笑顔を見せ、力強く歌い上げる細美がいる。サウンドも進化の歩みが止まることなく、更に肉体感を増しており、まるで“Unhurt”の歌詞そのものように、ステージに立つ5人はタフだった。

“Lone Train Running”の<Away now>と繰り返される盛大なシンガロングは、この日、一段と美しかった。また、私もオーディエンスの一人として<Save me>と歌いながら、様々な想いが込められているであろう“Insomnia”が、ここARABAKIで披露される深い意味を考えた。日も暮れ始め、肌寒さを感じる頃には“紺碧の夜に”が投下され、再びモッシュとダイブも始まり、熱気に拍車が掛かっていく。そしてラストソング。アコースティックギターを抱えた細美は“Horse Riding”を歌い始めた。柏倉の刻む躍動的なビートに乗せて、強く優しく歌い上げる中で、<Revolution needs a soundtrack>というフレーズに、思わず身震いしてしまう。それは、2014年のARABAKIから今日を迎えるまでの1年間、the HIATUSが培ってきた全てを、物語っていたからだ。

the HIATUSにとっての2014年は、メンバー全員で初めて東北のライヴハウスも回った全国ツアーや、弾き語りライヴや支援活動といった個人の活動を通して、地元の人々やオーディエンスとの絆をより深めてきた一年だった。その過程で5人全員が同じ方向を向き、the HIATUSが本物のバンドになった事を証明したのが、昨年末の日本武道館公演だ。しかし、もっと至近距離で昨年の集大成を味わえたのが、今年のARABAKIだったと思う。ライヴ中「おかえりなさい」という言葉を、オーディエンスはメンバーに向けて、ずっと投げ掛けているようだった。変わりゆく東北の地で彼らと共に過ごした時間が、人々の生きる希望となり、彼らが鳴らす音楽は、一人一人の記憶の中で、いつまでも輝き続けているのだろう。ステージからメンバーが去った後も、温かく、祝福感に満ちていた。それは、the HIATUSがオーディエンス一人一人の人生のサウンドトラックであることを、確実に証明していた。



set list
1 The Ivy
2 The Flare
3 Storm Racers
4 Thirst
5 Unhurt
6 Lone Train Running
7 Insomnia
8 紺碧の夜に
9 Horse Riding



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by musicorin-nirock | 2015-04-29 12:20 | LIVE

4/8 Nothing's Carved In Stone @渋谷CLUB QUATTRO

Monthly Live at QUATTRO Vol.2 “2×5=感触”

2015年3月より3カ月間に渡り開催されている『Monthly Live at QUATTRO』。Nothing's Carved In Stone (以下NCIS)がリリースしてきたアルバム6枚のうち2枚つづ、全曲披露してしまうというプレミアムなライヴである。3月10日に行われたVol.1“1×4=衝動”では、1st album『PARALLEL LIVES』と4th album『Silver Sun』が。そして迎えた4月8日のVol.2は、2nd album『Sands of Time』と5th album『REVOLT』が選ばれ、ライヴのタイトルは“2×5=感触”。

ライヴ終盤に差し掛かった頃「“2×5=感触”、かなり好感触じゃない?」と大満足な笑みで話した村松拓(Vo&G)の言葉があったが、彼の言葉以上の夜だった。約2時間という短い時間で彼らバンドマンとしての生き様を見せつけ、目の前にいる全てのオーディエンスに勇気を与えたであろう、最高にドラマチックなライヴだったのだ。

“Song for an Assassin”をSEにメンバーが登場し、生形真一(G)のメタリックなイントロで始まった“Assassin”。フロアを覆う期待感を優しく抑え、じわじわとゆっくり熱を上げたところで、“Chaotic Imagination”を潔く投下。こちらは2nd album『Sands of Time』の1曲目であり、長年のファンにとってはいきなりの嬉しいセレクトに歓声が上がる。ヴィンテージ感漂うギターが鳴り響くと、村松の「踊ろうぜ!」の掛け声と共に“Out of Control”を持ってきた。突き上げる鼓動のようなビートを叩き出す大喜多崇規(Dr)と全身を使いグルーヴを産み出す日向秀和(B)という鉄壁のリズム隊がフロアを揺らし、泣く子も黙るであろう生形の凄まじいギターソロ、そして深みのある力強い歌声を放つ村松に煽られ、既に最高潮の盛り上がり!でもこれはまだ序の口だった。ここからは、NCISの核へと迫って行く。

ライヴ中MCはほぼなく、曲間をインストゥルメンタルで繋ぎながら進められて行った。絡みつく生形のギターが印象的だった“Cold Reason”、大喜多の見事なドラミングが全身に衝撃を与えた“ Rendaman”と、厳ついゴッツゴツのバンドアンサンブルは、今の音楽シーンに於けるNCISの在り方そのものだった。時代に媚びることなく自らが信じ続けてきたロックをかき鳴らすNCISの姿勢。それを保ちながら今日まで突き進んできた事実が、2枚のアルバムの楽曲を並べて聴くことで良くわかる。最近の楽曲の傾向ではダンスとロックを融合させ、四つ打ちを取り入れた作品もリリースしており、「初期の頃の作品が好きだ」という声を耳にすることもある。しかし、あくまでもそれはバンドをより進化させるための手段。彼らの根っこの部分は(当たり前だが)何一つ変わっていないのだ。

熱狂するフロアが静寂を取り戻していったのは、“Memento”から“Palm”へ緩やかに流れた時。村松の男らしさの中にある優しさが声となり、ライヴハウスに響かせる。情緒的に歌い上げた“朱い群青”には胸が熱くなり、何度も涙を拭った。そして、まるで窓から差し込む朝日のように、音の光で包み込んだ“Sunday Morning Escape”。心の奥深い場所にまで届くNCISのサウンドは、生半可なものではないことを、フロアいっぱいに満ち溢れる多幸感がはっきりと証明していたと思う。

「今日のライヴが、楽しみで楽しみで、仕方なかったんだよー!」と突然たっきゅん節(注:たっきゅんとは村松の愛称)が炸裂する中始まった“Bog”。しかし、ハンドマイク姿で歌い始めると、とてつもないカリスマ性を放つヴォーカリストと化し、サビではオーディエンス一体となってジャンプ!ここで生まれた一体感を保ったまま、エンディングにかけてバンドは更に加速する。MCを挟み「待ってました!」と言わんばかりの、大大大歓声がフロアから湧き起こったのは“Sands of Time”。続いて“The Fool”“You're in Motion”では、メンバー四人互いの情熱をぶつけ合うような熱いプレイが繰り広げられていく。その勢いで“Around the Clock”を投下!彼らのライヴではもう「限界」という言葉が存在しないのではないか?と言い切っても良い程にメンバーとオーディエンスが一体となり、大盛況の盛り上がりだった。

その勢いが冷めやらぬまま、大喜多の安定感あるビートに乗せて“きらめきの花”が披露される。<灰色の日々を過ごした僕らは 希望をもった音に救われて>と、村松は両手を広げ、あたかも自分達の事であると言う様に歌えば、サビでフロア一面に上がる手がゆらゆら左右に揺れた時には、日向も一緒に全身揺らし笑顔でベースを弾く。僕らが音に救わたれて来たように、NCISはいつもあなたの側にいるーーー彼らはこうしてリスナーとの距離をぐっと縮めてきたのだろうと、再び胸が熱くなるばかりだった。そして、“村雨の中で”で本編はフィナーレを迎え、メンバーが一度ステージから引き下がった。フロアには彼らが残した情熱と歓喜が途切れることなく充満し、アンコールの拍手が鳴らされる。

暴れ足りないオーディエンスに向けて放たれたアンコール1曲目は爽快感溢れる“The Swim”だった。その後のMCでは緊張の糸が切れたのか村松はしゃべり倒し、生形やマイクレスの日向にも無理矢理話させようとする。最近NCISの4人はそれぞれマイ・イヤーモニター(通称イヤモニ)を作り、日向と大喜多は初めて装着してライヴに臨んだのだが、生形が「付けようとしたら、22歳の年下のローディーから「うぶさんは着けちゃいけません!」と阻止された」というエピソードを悔しそうに暴露。まるで公開打ち上げの様な雰囲気だったが、「後ろを振り返らずにやってきた」と話した彼の言葉には感慨深いものがあった。今年で結成7年目のNCIS。メンバー全員、 既に卓越した技術を持ち合わせながらも、さらに新しいものを生み出そうとするバイタリティに溢れているのは、一人一人の背景には様々な物語があるからだ。そして今、彼らは日本の音楽シーンに深い傷跡を残そうとしている。アンコールラストに披露された“Pendulum”が全23曲のどの曲よりも輝かしく、ドラマチックに聴こえた理由は、きっとそのせいだろう。また、現在制作中である新曲のイントロ部分だけ披露されたが、これがとてもかっこ良く、「2015年もNCISについて行けば間違いなし!」という太鼓判を押されたような夜だった。

なお、来月5月14日にはVol.3“3×6=構築”が開催される。個人的にはNCISと出合ったアルバムである6th album『Strangers In Heaven』と3rd album『echo』が披露されるということで、どうしても行きたかったライヴである。開催まであと一ヶ月、今から非常に楽しみだ。


set List
1 Song for an Assassin
2 Assassin
3 Chaotic Imagination
4 Out of Control
5 Sick
6 Cold Reason
7 Rendaman
8 Predestined Lovers
9 Memento
10 Palm
11 朱い群青
12 Sunday Morning Escape
13 Slow Down
14 Bog
15 Sands of Time
16 The Fool
17 You're in Motion
18 Around the Clock
19 きらめきの花
20 村雨の中で

encore
1 The Swim
2 新曲(イントロのみ)
3 Pendulum

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by musicorin-nirock | 2015-04-12 11:30 | LIVE

主にNICO Touches the Walls について書いておりますが、他にはGRAPEVINE と the HIATUS が好きです。記事の無断転載、引用はご遠慮ください。


by タナイユウ
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