カテゴリ:LIVE( 46 )

9/29 NO NUKES 2014“the HIATUS”

2014年9月29日から10月1日の3日間、Zepp Diver City TOKYOで開催された『NO NUKES 2014』。その1日目に当たる9月29日に出演したthe HIATUSは、自然エネルギーを利用した音楽フェスティバルや脱原発を謳うイベントが数多く開催されている昨今、率先して参加しオーディエンスにメッセージを送り続けている。同月23日には『さようなら原発全国大集会』(細美のみ)、このライヴの2日前には『中津川THE SOLAR BUDOUKAN 2014』に出演し、その直後のステージであった。福島第一原発で起きた悲惨な事故から約3年半が経過し残念ながらそれがどこか風化しつつある中を、フロントマンの細美武士(Vo&G)は東北ライヴハウス大作戦の活動を始め、ことある毎に福島県へと足を運びメディアでは語られないリアルな現状を見続けている。そして、the HIATUSとして今年5月から7月にかけて行われた全国ツアーで東北にある小さなライヴハウスを回ったことと、常日頃、細美のアグレッシブに突き進む姿を間近で見ていること。この二点が確実に他の4人のメンバーに大きな影響を与えていると、ステージに立つ彼らから私は強く感じていた。政治的な発言せず、表現として関与させないミュージシャンもいる中で、その姿は端から見たらストイックに写るかもしれない。しかし、だからこそ緊張感と開放感が交互に漂う、天地がひっくり返るような壮絶なバンドサウンドをNO NUKESのステージで鳴らすことが出来たのだ。

現在、九州電力川内原発の再稼働の問題は一向に終息する様子が見えず、一人一人が本当に真剣に考えなければならない境地にいることを実感している。私は政治とロックフェスの繋がりについて正直戸惑っていたのだが、このイベントに参加したことが日々の生活に於いて政治をもっと身近なものとして捉える大きなきっかけとなった。時間は経ってしまったが、あの日の5人の戦う姿を精一杯レポートしたい。



**********************************************************************



場内が暗転し“Interlude”が流れた途端に沸き起こる大歓声。真っ青なライトの中をメンバーそれぞれNO NUKESのロゴが付いたTシャツ姿で登場した。普段、ジャケット姿が定番のウエノコウジ(B)も、この日はそれを脱ぎ、細美は早々にガッツポーズを見せている。気合いの入った1発目は“Storm Racers”。先攻、斉藤和義が残していたシリアスな空気は、「One, Two, One two three!」とサビにかけてのカウントダウンが勢いづけ、一気に熱を帯びる。間髪を入れず始まった“Monkeys”では、モッシュが起こりダイバーも出現。柏倉隆史(Dr)とウエノコウジが絡み合うドスの効いたビートに乗せて、masasukes(G)が全身振り乱しながら歪んだエレキをかき鳴らし、伊澤一葉(Key)は激しく鍵盤を叩きつける。オーディエンスからのオイコールも収まらず、ライヴ開始10分足らずで凄まじい盛り上がりを見せた。

続く“Thirst”はmasasucksが後ろを振り返り、自在にリズムを操る柏倉のフィーリングを感じ取りながら一音一音丁寧に音を沿わせ充満させたイントロが印象的だった。彼の集中力に引き寄せされるようじっと見入ってしまうくらいに、ステージのどこか緊迫したムードは今までのライヴで感じてきたものとは違った。どくどくとした生々しいサウンドに合わせ、ハンドマイク姿となった細美は、鍛えに鍛え抜かれた精神力を見せ拳を揚げ、声を上げる。それは、このライヴが彼らにとってどういうものかを知らしめた瞬間だ。そして、この緊迫を和らげるように“Something Ever After”の分厚いオルガンが響き渡り、温かくライヴハウスを包み込む。細美は言葉一つに命を吹き込むよう大切に歌い、シンガロング続けるオーディエンスに向けて「ありがとう!」と気持ちよく感謝と笑顔を放った。

「NO NUKESに集まってくれてありがとうございました」細美のMCその第一声だ。そして「小泉さんと細川さんと4人の政治家の先生が来てくれて、お前らどう思った?」と問いかけてくる。NO NUKES 2014の初日であるこの日、ライヴが始まる前に今年出席できなかった坂本龍一の強い希望によって、細川護熙元首相と小泉純一郎元首相をはじめ政界から4名招き、両首相は挨拶を行ったのだ。私は政治家がこのようなロックイベントに参加することにどこか違和感を感じていたが、細美は政治性のあるイベントになると従来のロックファンは来てくれないと嘆く。しかし、両元首相が私達の目の前で話してくれたことで「気付いただろ?テレビの中のことはフィクションじゃないって。」この後始まったのが“Horse Riding”だった。

<Revolution needs a soundtrack>というフレースが今ここで鳴り響く意味をひたすら私は考えてしまう。様々な出来事に思いを巡らし、現実を見て見ぬふりして生きてきたわけではないが、恥ずかしいくらいに無知であることを私は自覚する。そして複雑な時代を生きている事に改めて気付かされ、悔しさと哀しみが湧いてきてしまった。しかし、真っ白なライトに包まれながら爪弾かれるアコースティックギターで始まった“Deerhounds”が、生まれ変わった美しい世界を描いているようで、音と共に放たれる細美の歌声にただただ胸が熱くなる。頭の中での混乱が静かに収まり、目から涙が溢れてきたのだ。

そこに切り込む“Unhurt”。天井に吊されたミラーボールが回り出しオーディエンスは音に身を委ね、生まれていく開放感。細美もとても楽しそうにステップを踏みながら歌う。そして、ライヴの序盤に少し疲れが見えた声は、いつの間にか強く太く変化していることに気付く。そんな姿に呆然としていたら“Lone Train Running”のピアノの音が鳴り響き、エモーショナルな風が吹いた。その瞬間込み上げてきた感情をグッと飲み込んだが<Away now>と繰り替えされる盛大なシンガロングに心が揺さぶられ、再び目の前が滲む。細美はマイクから一歩下がった場所で、たくさんの声に聴き入るように歌っている。そして掛け声と共にスピード感のあるサウンドに切り替われば、爽快感を携えながライヴ後半を駆け抜けるのだ。

すると、突然雷が落ちたかのような衝撃を柏倉が叩き出した。“The Flare”で怒りが顕わになり、5人の高揚しきった感情が天に目掛けて放出される。細美は<Both you and I>と歌う時、フロアと自分を指さし「繋がっている」と確かめていた。そして再び威圧的なドラムがドスンドスンと床を振るわせ、オーディエンスに感じさせる予感。「NO NUKES」で演奏された“Insomnia”が残していったもの。それは、怒りや哀しみをただ嘆き続けるのではなく<Save me!>と苦悩を吐き出すことで、今苦しみの最中にいる人々のその感情を代弁し、愛や夢で溢れる未来を想う切なる願いだった。

音が止み、静まり返ったライヴハウスに大きな余韻だけがある。そして、色鮮やかなギターのイントロが鳴らされ“紺碧の夜に”が始まった途端、盛大なハンドクラップが始まり多幸感に包まれていくが、闘争心は最後まで剥き出しのまま。気迫のこもった演奏だった。「川内原発再稼働、する、しない。未来が大きく二つに分かれるよ。原発のことしらない奴、すぐわかるから調べてみ?」。ラストソング“Silver Birch”が始まる前の細美の言葉がストレートに胸に響く。そして、目の前にいるオーディエンス一人一人に確実に届けるため、思い残すことがないように汗にまみれ、ひたすら演奏し続けていた。

歓声が静まることなく、割れんばかりのアンコールを浴びながらメンバーが再び現れ、一曲だけ演奏してくれたのは、“Waiting For The Sun”だった。ミドルテンポの心地よさと浮遊感あるエレクトロな音の中、細美とのコール&レスポンスによって生まれた一体感にただただ心が満たされる。一歩一歩着実に踏みしめるような安定感ある演奏は、the HIATUSの歩みのようであり、怒りも、苦しみも、憎しみも吐き出された時、全てがきらきらと輝き出す希望に繋がっていくのだと、ここの集まった全ての人達が実感したことだろう。

冷たく厳しい向かい風は相変わらず吹きっぱなしだが、いつかきっと天に上る太陽が私達を温かく照らしてくれる。願いが叶うその日まで、彼らは戦い続けるのだ。

最後に。アンコールの曲が始まる前、細美は楽屋裏での出来事を話してくれた。先にも述べたが、この日細川元首相と小泉元首相がステージに登壇し挨拶を行っている。それを受け彼は両首相の元へ出向きお礼を述べたそうなのだ。若い世代に政治の話をする事の難しさを身をもって経験しているため、今日は何を話せば良いのか前日の夜から悩んでいたらしい。だが「先生方が来てくれたおかげで、俺の話もちょっとだけ説得力が増します。今日はありがとうございました」と伝えた。主催者である渋谷陽一氏にはとても驚かれたそうだが、彼の起こした行動の理由は至ってシンプルだった。「元首相といったって同じ人」だ。そして「あの人達の持っている力も、お前らの持っている力も一緒だから」。私はその言葉に勇気をもらった。


set list
1 Storm Racers
2 Monkeys
3 Thirst
4 Something Ever After
5 Horse Riding
6 Deerhounds
7 Unhurt
8 Lone Train Running
9 The Flare
10 Insomnia
11 紺碧の夜に
12 Silver Birch

encore
1 Waiting For The Sun


[PR]
by musicorin-nirock | 2014-11-26 08:00 | LIVE

11/2 YNU SPECIAL LIVE 2014 “the HIATUS”

11月2日。
横浜国立大学大学祭 常盤祭『YNU SPECIAL LIVE 2014』へ、THE BACK HORNとthe HIATUSの対バンライヴに足を運んだ。

ステージである野外音楽堂のバックには『14TOKIWA』と手作りのロゴが並び、右サイドには落ち葉のモチーフが飾られた、簡素で小さなステージだった。それは、私自身が音楽サークルに所属していた学生生活を思い起こさせ、10数年前の記憶を辿りながらライヴ開始を待っていた。時折空が雲で陰り、風も強く、落ち葉が舞う中でライヴは始まったが、両バンドの演奏時、雨粒一つも降らなかった。「絶対に雨を降らせない、このイベント成功させてやる」。学園祭スタッフの熱い想いが天に届いたのだろう。

この対バンライヴの後攻をつとめたのがthe HIATUS。セットリストは最新アルバム『Keeper Of The Flame』と、夏フェス以降彼らのライヴでは定番となった楽曲から構成されていた。私は今年the HIATUSのライヴを数回観ているが、その時その時、感じることは常に違う。それは、ステージに立つthe HIATUSのメンバーも同じなのだろう。彼らも今この時しか鳴らすことの出来ない音で、ステージを創り上げている。そして大袈裟ではなく、私達がその時を共有できることは、実は奇跡のようなことなのだと個人的に強く感じるようになった。

the HIATUSはメンバー一人一人がそれぞれに積み重ねてきた過去があり、個としての存在感が際立ったバンドだ。彼らは「喪失」を背負いバンドをスタートさせたが、細美武士(Vo&G)がこの5年間で確実に自分を取り戻し、また伊澤一葉(Key)が正式加入後、初のアルバムをリリースし今年5月から7月まで続いた全国ツアーによって新たな結束力が生まれた。この二つの要素が今のthe HIATUSの強みとなり、豊潤かつ感度の高いサウンドを生み出している。

始まりは“Thirst”、続くアッパーな“Storm Racers” で勢い付ければ、エレキギターを下ろし、細美はハンドマイクに切り替え歌う“Something Ever After”で生まれたオーディエンスとの一体感。彼が手に入れた“Unhurt”な心によって、“Silver Birch”、“Lone Train Running”、”The Flare ”で見せた過去の苦悩は輝きに変わり果て、そして今、“Insomnia”で哀しみを分かち合い、希望に繋げようとする強さ。曲一曲が持つ感情が、ジャムセッションのような自由度の高い演奏と、繊細かつエネルギッシュな細美のヴォーカルによって伸びやかに解き放たれる。また、何よりこの日はオーディエンスの若いエネルギーが凄かった。“紺碧の空に”が始まると沸き起こるハンドクラップ、モッシュや続出し続けるダイバーに、嬉しさがこみ上げてきたのか笑顔の絶えないステージ上のメンバー。「あまり学園祭のステージには立ったことがない」と細美は話していたし、この光景がとても新鮮に映ったのだろう。どんどんこっちへこいよ!と細美の煽る姿から「楽しい」という素直な気持ちが伝わってきた。

しかし、MCになると細美は学生達を目の前に「伝えるべきことは伝える」という姿勢を貫いていた。時に下ネタを交え笑わせながらも細美が学生時代を過ごした時代と、「お前ら」が学生生活を送っている今の時代とは、日本の状況が明らかに違うとを示唆し、ミュージシャンは真実の愛や優しさを歌うことしかできず、それは弱いものだが、集まってくれた学生達には負けないような力を持って生きて欲しいという強いメッセージを残した。

アンコール。いつもならメンバーが再登場するまでハンドクラップが鳴らされるのだが、この日に限っては“Insomnia”のイントロ(♪オオオオ~オ~オ~という部分)をなぜか歌うという光景が!それにはメンバーも驚きと喜びを隠せない様子だった。そして、演奏されたのは“Waiting For The Sun”。心地良く刻まれるビートとエレクトロが混ざり合うサウンドによって、曲始まりに細美が話したエジプト旅行中に見た暗闇に広がる満面の星空が、オーディエンスの胸の中にゆったりと広がるよう開放感に包まれていく。そして、きっとここに集まった一人一人に希望の雨が降り注いだであろう。いつにも増して親しみと優しさが感じられるエンディングだった。


set list
1 Thirst
2 Storm Racers
3 Something Ever After
4 Unhurt
5 Silver Birch
6 Lone Train Runnning
7 The Flare
8 Insomnia
9 紺碧の空に

encore
1 Waiting For The Sun
[PR]
by musicorin-nirock | 2014-11-04 21:52 | LIVE

9/13NEW ACOUSTIC CAMP 2014"Mini-Atus"

Mini-Atus とはthe HIATUSから派生した、細美武士(Vo&G)、masasucks(G)とウエノコウジ(B)の三人によるユニットだ。結成の経緯は単純に柏倉隆史(Dr)と伊澤一葉(Key)のスケジュールが合わず、もともとはバンドで出演のオファーを頂いていたそうだ。しかし、この3人によるアコースティックセットのライヴは、NEW ACOUSTIC CAMP(以下NAC)のシチュエーションと最高のマッチングであり、ここでしか味わえない感動が沢山散りばめらており、特別な時間を私たちにプレゼントしてくれた。

山の一角をくり抜いたように広がる芝生の上にポツンと建てられたStage YONDER。脇にはペナントが、そして木で作られたアルファベットのオーナメントも飾られており、手作り感が溢れていた。それだけでも、ライヴハウスや大きな野外フェスティバルのステージとは違うのだが、このステージを盛り上げた一番の演出は、大自然そのものだった。水上高原の澄んだ空気、木々の深い緑と芝生の優しい緑、時間と共に変化していく頭上にひろがった一面の晴れた空。

今、この時しか感じられない風景の中を、アコースティックの優しいサウンドと細美の柔らかな歌声が、風と共に運ばれていく。

細美は自身の弾き語りステージでも良くアコーステックギター一本で、the HIATUSの曲を歌うこともあるが、ウエノの低音が加わることで厚みが増し、masasucksが花を添えるような繊細なメロディを奏でる。そしてコーラスも加わることでオーディエンスも一気に盛り上がり、温かな一体感が生まれていた。彼らのライヴといえば、攻撃的で戦闘態勢剥き出しの、観る者全員を圧巻させるパフォーマンスを常に繰り広げているが、この日に限っては、その重たい肩の荷を下ろせたのだろうか、とてもリラックスした空気がステージには流れている。

また、一曲演奏が終わるたびにMCが入り、普段ライヴで滅多に話さないウエノもそれに加わって、まるでリハーサルを見ているよう。しかも、このMCがとても面白かったのだ。3人の年齢の話や(ウエノ47歳、細美41歳、masasucks37歳。私は10歳も年齢差があるバンドだったことに驚愕)、ウエノが大河ドラマが好きで良く観ているのだが、竜馬伝で「竜馬を殺したのはあの中村達也(LOSALIOS)」という流れから、最近はKj(Dragon Aah)や金子ノブアキ(RIZE)も出演しているという話をすると、細美「ルパン三世の次元(大介)はウエノさんしかできなないでしょう!」、ウエノ「(手を横に振りながら)顔が違う!」オーディエンス「爆笑」。と、とにかく和やか。この調子で笑いがずっと絶えなかった。

9月13・14日の2日間にかけて行われた、NACは群馬県にある水上高原で開催されるようになり今年で3年目を迎えた。オーガナイザーである細美の盟友TOSHI-LOW(BRAHMAN/OVERGROUND ACOUSTIC UNDERGROUND)がゲストで呼ばれると、ウエノの私物ジャケットを勝手に羽織り(しかもウエノ本人は途中まで私物であることに気が付かない)、細美がその夜使用するテント(投げると広がり、簡単に組み立てられる「ワンタッチテント」というもの)を投げながら豪快に登場し、引き続き爆笑トークは勢いを増す。そんな中、4人がTHE BLUE HEARTSのカバー「青空」を披露すれば、細美とTOSHI-LOWが出会い、今日まで歩んできた道のりを思わせるとても力強い2人の歌声に、胸が熱くなった。

このイベントは"FES"ではなくて、あくまでも"CAMP"。2日間山の中で、木登りしたり、アスレチックで遊んだり、各々テントを張りバーベキューをしたり、芝生でただ寝転んでのんびりしたり。ここに集まってきた人たち、それぞれが自由にこの場所と時間を楽しむことができ、ただそこに音楽が流れている空間だった。そう、主役はライヴに出演するアーティストではなくて参加した自分自身なのだ。…ということに気が付いたとき、今回のMini-Atusのセットリストを振り返ってみたら、みんなで手を叩き合い、歌って踊れる楽曲ばかりで、この時を楽しみ、最高の2日間にしようという想いがストレートに伝わってきて、彼らとの距離がまたぐっと縮まったような気がした。

夢のような2日間を過ごし、帰りの高速バスではほとんど眠ってしまっていた。イヤホンの向こうにはthe HIATUSが流れている。ラストソングだった「紺碧の夜に」をみんなで歌い、またここで再会しようと約束したことを、心の中に閉じ込めて。

そして、「東京に戻ったらまた頑張ろう。」と小さく誓った。


セットリスト
1 Horse Riding
2 Silver Birch
3 Somethig Ever After
4 Shimmer
5 青空(THE BLUE HEARTSカバー)with TOSHI-LOW
6 紺碧の夜に


[PR]
by musicorin-nirock | 2014-09-27 23:02 | LIVE

8/19 NICO Touches the Walls "ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ブドウカン"


『最後は 笑ってやろうって あの日泣いたこと 絶対 ムダにはできないだろ 響け 僕らのリベンジ』                                      ―天地ガエシー

 2010年3月12日、NICO Touches the Wallsは初めて日本武道館の舞台に立った。しかし、彼らの記憶に刻まれたものは、歓喜ではなく悔しさ。チケットをソールドアウトにできなかったこと。それは「武道館」に打ち勝つ力量が自分達には備わっていなかったという、余りにも大きな屈辱だった。今回の武道館ライヴは、その「リベンジ」であると、昨年の11月25日に行われた『1125(イイニコ)の日ライヴ』で堂々と宣言され、年が明けると武道館へのリベンジを果たす、それだけの為に彼らは猪突猛進に走り続けた。
 


 ――そして、遂に迎えた2014年8月19日。


 対馬祥太郎(Dr)のドラムセットの前に、光村龍哉(Vo&G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)が集まり、円陣を組む。掛け声と共に観客に見せた「気合い」。今日という日は一日しかない。一騎打ちの勝負のステージに立ったNICO Touches the Wallsが放つ一曲目は「Broken Youth」。この特別なステージへの高揚感そのものを対馬がエネルギッシュに叩き出す。
 次なる切り札は「THE BUNGY」。カントリーテイスト満載のギターのイントロが終ると同時にバン!と上がった爆発音。客席をグイグイ煽り続ける、いつにも増して饒舌な光村のヴォーカルを筆頭に、メンバー全員じゃじゃ馬の様な暴れっぷりだ。それに負けじと、凄まじいハンドクラップを鳴らすオーディエンス。今日に賭けている気持ちは、この日を待ち望んでいたオーディエンスだって同じなのだ。立て続けに披露されたアッパーチューンに、開演まで漂っていた緊張感は解きほぐされ、ヴォルテージは急上昇。あっという間に武道館を飲み込んでしまう。

 颯爽とした光村の弾き語りで始まったのが「ホログラム」。曲に存在するみずみずしさは、色褪せることなく顕在で、ノスタルジーを感じられたが、4人の背後に設置された巨大なスクリーンには、あの日から4年経った、今のNICO Touches the Wallsが映し出される。笑顔で叩き続ける対馬。客席を愛おしそうに眺める坂倉。真剣なまなざしでギターと向き合う古村。そして、再び武道館のステージに立った感動を噛み締め、今にも溢れだしそうな喜びを必死に堪えながら力強く歌う光村。4人のリアルな感情が交じり合う「夏の大三角形」は、最上級に研ぎ澄まされた美しい音を奏で、エモーショナルな空間へと仕立て上げていった。

 「満を持してこの武道館に帰ってきました!」と威勢の良い光村のMC。この日を最高のものにしてやるぜ!という意気込みは、「妄想隊員A」とシングル曲が続く中、突如、変化球として投げつけてきた。それが、1stアルバム『Who are you?』収録の「B.C.G」。燃えたぎる炎のようにダイナミックなサウンドは、スマートな4人からは考えもつかない肉体感を感じさせ、さらに追い打ちをかけるかのように、光村は『デカイ音で騒ぐだけ』と武道館に喧嘩を売る。その勢いは衰えぬまま「バニーガールとダニーボーイ」へ。アメリカンなロックンロールでフロアを沸かせると、坂倉の厳ついゴッツゴツのベースが唸る「アビダルマ」。この怒濤の流れに、度肝を抜かされ「参りました!」と思わず口から出そうになった。メンバー全員、いつにも増してアグレッシブだったが、何よりも色気も男気を醸し出し、ラップまでこなしてしまう光村の「歌に対する強欲さ」には、呆気に取られてモノも言えない。

 熱気にまみれ、興奮冷めやらぬ場内。そこに水を指すよう静寂を与えたのが「バケモノ」だった。全身に重たくのし掛かるベース音と、ファルセットを聴かせた歌声が狂気的な匂いを漂わせる中、一番のハイライトは古村の血の滲むようなギターソロ。それは、胸がはち切れそうなほど痛々しい音色で、古村は無我夢中にかき鳴らす。鋭さを帯びたギターサウンドは、いつになく生々しい。そして、更に核心に迫るよう、続く「Diver」で、自分達の内面を深く掘り下げ、剥き出しの姿をここ武道館のステージで暴いていく。
 

 光村と古村はそれぞれアコースティックギターに、対馬はドラムスティックをブラシに持ち替え、2月に行われた『カベニミミ』でも披露した、アコースティックセットへ切り替えた。

 始まりは「Heim」。ゆったりとしたワルツのリズムに、アコースティックギターのアンサンブルと柔らかな光村の声が乗る。体の奥の方にある、目には見えないくらい小さな細胞までに行き届かせるよう、じっくりとオーディエンスに聴かせると、光村一人、ギターを爪弾き始めた。「バイシクル」だ。再び訪れた静寂の中、原曲よりもテンポを落とし、全身全霊賭けて熱唱する。
 『寄り道だらけの旅でも My Bicycle 悪くはないさ』
 それは、グッと拳を握り、耐え抜いてきた孤独な戦いそのものだろう。その姿がステージ上で顕わになったとき、青さ残るギターロックは、彼の歩んだ人生と共に「ブルース」へと姿を変えた。

 再びバンドセットに戻し、聴こえてきのは「Mr.ECHO」。快活なビートと美しいメロディが、武道館いっぱいに広がり始め、まるで、光村の抱えた闇が開放されていくようだった。そしてここで、とても印象深い場面に遭遇する。エンディングにかけてのコーラスを、古村、坂倉、対馬が、それぞれに抱えていた孤独・葛藤の全てを吐き出すように、力強く歌い続けたのだ。「Mr.ECHO」は、自問自答を続ける歌詞と光村しか出演していないプロモーションビデオから、彼個人の内省を強く打ち出している作品だ。しかし、戦い続けてきたのは彼だけではない。一人一人が自分と向き合い、立ち現れた壁を打ち砕き続けなければ、自分もバンドも進化しない。キャリアを重ねていく中で、また、今回のリベンジを果たすためには、全てを剥き出しにした姿で戦わなければならないという責任と危機感があったのだろう。それは、本気の勝負に出た象徴であり、真のロックバンドとしての立派な姿だった。

  
 そして、4人が出した次なる決断。光村はその孤独な旅を『駆け抜けろ』と歌い上げる。力強く、真っ直ぐにずんずん進むビートを対馬と坂倉が刻み、煌びやかに鳴り響く古村のギター。無駄なものが全て削ぎ落とされ、引き締まったバンドアンサンブル「ローハイド」は、疾走感と共に武道館を駆け巡る。目指し続けたこの場所には、溢れんばかりの拍手喝采と、多幸感広がっている。それでも4人は留まることなく、ラストに向けて走り続けるのだった。

 メンバー全員、全身振り乱しながら演奏し、曲中のブレイクで光村が客席の隅々まで笑顔を確かめると、感極まる気持ちを抑えながら「こんなんじゃ、明日は土砂降りでございますよ!」と大満足な笑みをみせた「ニワカ雨ニモ負ケズ」。割れんばかりのハンドクラップを武道館中に響かせ、メンバー4人と9,000人近くのオーディエンスによる盛大なシンガロングで締めた「手をたたけ」。
 そして、本編ラスト。「リベンジソング」の名の下にワンマンライヴやフェスで演奏し続け、ようやく武道館で披露できた「天地ガエシ」。逞しく、伸びやかに広がり続ける光村のヴォーカルと自由度を増したサウンド。ステージ上の4人は、バンドを組んだばかりの少年のような無邪気さと、自信に満ち溢れている。そこに、オーディエンスの歓喜と、彼らを祝福するように、紙吹雪が華やかに舞う。歌い終えた光村は、片手でギターを高々と掲げガッツポーズを見せつける。無事リベンジを果たした勇ましい4人の姿は、眩しいほどに美しく輝いていた。


 鳴り止まないアンコールに4人揃ってステージに登場し、1曲目に披露したのは「image training」。インディーズ時代に発表され、長年彼らを追い続けてきたオーディエンスにとっても、親しみ深いこの曲は、キリッとした都会的なサウンドに成長し、NICO Touches the Wallsの「今」の姿が見えた。それを「未来」へ繋げたのが、光村が10代の頃に作った「TOKYO Dreamer」だ。安定感のある8ビートと所々に加わるコーラスが、浮遊感ある幻想的な世界を描くが、しっかりと地に足の着いた演奏だった。

 この曲が生まれてから10年以上の歳月が経ち、夢が現実となり、4人はたくさんのものを手に入れてきた。しかし、この歴史的なステージとなりうる武道館のライヴで自らが用意した舞台には、それぞれの楽器とアンプがぽつん置かれた、至ってシンプルなステージ。そこに、全員モノトーンを基調としたTシャツとパンツスタイルで現れ、ベスト盤『ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト』に収録されてい楽曲中心の、スタンダードなセットリストでライヴを行った。
 なぜなのか?と聞かれたら「バンドとしての足跡を確実に残す為」と答える。アンコールに入る前に、光村は溢れんばかりの拍手喝采を、何度も何度も浴びてきたにもかかわらず、「一つ課題がクリアされると、次が出てくる。一生リベンジなんです。」と、その胸の内を明かした。私は、彼の真摯な姿勢に胸を打たれ、これまで不器用ながらも着実に前進してきた自分達を、丸ごと認めることができたのだろうと感じたのだ。
 そんな彼らの、自分達に必要な最小限のもので勝負に出た「覚悟」は、『必ずこの夢を叶えるんだ』という強い決意だけが存在している「TOKYO Dreamer」の数少ない言葉達とシンクロする。NICO Touches the Wallsが、どのバンドにも決して負けない、バンドマンとしての強い使命感を持ち、彼らが音楽と共にある運命にあることを物語っているのだ。


 この日、一度だけ光村がとても悔しそうな顔をした。それはアンコールに呼ばれてすぐのMCで、「正直やりたかったけど、やれなかった曲があと5倍くらいある。」と本音を漏らした時。

 しかし、その悔しさを打ち消すように、再び強く宣言する。NICO Touches the Wallsは、来年の冬、東京と大阪の2カ所で新たなリベンジを果たす。4人は、武道館に集まったオーディエンス、一人一人の手を強く握り締めていくように、アンコールラストの「N曲とN曲」で、再会の約束を、熱く交わしていった。
 全ての演奏が終わると、楽器を置き4人全員ステージ前方に並んで立つ。互いを確かめ合う様に、ぎゅっと繋いだその手を掲げ、深々とオーディエンスにお辞儀をした。4人のその表情は、ステージから少し離れた1階スタンド席にいた私でさえも、やりきった!という表情であることがわかるくらい、満面の笑みだった。そして、ステージを離れることを惜しみつつ、「引き続き僕らのリベンジに付き合って下さい。ありがとうございました!」と光村はラストメッセージを残し、4人は会場の隅々までに手を振りながら、期待いっぱいの武道館を後にした。


********************************************


 2014年8月19日。
 
 この日、彼らの記憶に刻まれた悔しさは、NICO Touches the Wallsの『最大の武器』となるだろう。昨年のリベンジ宣言以降、めざましい勢いで進化を遂げてきたのだ。もう、何一つ不安に思う必要などない。

 「一生リベンジ」。その言葉を胸に、信じる道を突き進め。


セットリスト
1 Broken Youth
2 THE BUNGY
3 ホログラム
4 夏の大三角形
5 妄想隊員A
6 B.C.G
7 バニーガールとダニーボーイ
8 アビダルマ
9 バケモノ
10 Diver
11 Heim
12 バイシクル
13 Mr.ECHO
14 ローハイド
15 ニワカ雨ニモ負ケズ
16 手をたたけ
17 天地ガエシ

encore
1 image training
2 TOKYO Dreamer
3 N極とN極




にほんブログ村 音楽ブログ ライブ・コンサートへ
にほんブログ村
[PR]
by musicorin-nirock | 2014-09-10 16:32 | LIVE

8/17 Summer Sonic 2014 " the HIATUS "

"Summer Sonic 2014"2日目、Rainbow Stageのラストアクトを飾ったthe HIATUS。

7月に全国41カ所で行われたツアーを終えたばかりの彼らからは、連日続く夏フェスを思いっきり楽しんでいる姿と、どこか謙虚な姿が垣間見れた。それは、世界中から多くのミュージシャンが集まったSummer Sonicでしか味わえない特別な時間だった。

アルバム「Keeper Of The Flame」より"Roller Coaster Ride Memories"で幕を空け、アグレッシブに突き進むロックナンバー"Storm Racers"と"Monkeys"で、初っぱなからモッシュ、ダイブが沸き起こり、オーディエンスを熱狂の渦へ巻き込んだ。精神の限界をサウンドでどこまで表現できるのか?という難題を、5人の壮絶なアンサンブルにプログラミングを交えながら追求し続ける"Thirst"、美しいメロディが胸を熱くし続ける"Something Ever After"。立て続けに披露されるダイナミックなサウンドは、聴く者の肉体と精神の両者にストレートに深く浸透し始める。

細美は、今日このステージでトリを任されたことを、少し恥ずかしげに喜んでいた。同時刻に全5箇所のステージでライヴが行われている中で、自分たちを選びステージに足を運んでくれたオーディエンスに対し「お前らを愛してやまない」と感謝を伝え、アコーステックギターを抱える。

オーガニックな音像の中に、伊澤の鍵盤によって虹色のきらめきが付け加えられていた"Deerhounds"。原曲にはない新しいアレンジで、それを発見できた喜びが手に取るように感じられる。柏倉とウエノの刻むビートが荒野を駆け抜ける馬の足音を思い起こさる、快活な"Horse Riding"が始まると、細美に導かれるように拳を揚げたオーディエンスによるシンガロングが盛大に響き渡り、<Revolutin needs a soundtrack(革命にはサウンドトラックか必要だろ)> というフレーズがそのまま映し出された美しい光景がホール一面に広がった。そして、目の前にいるたくさんのオーディエンスを讃えた、仲間の歌"Silver Birch"。theHIATUSの熱い想いに応えるような、オーディエンスの鳴り止ままないシンガロング。Rainbow Stage には「強い絆」が生まれていく。

エレクトロな要素をふんだんにつぎ込んだ"Unhurt"で、フロアは一気にダンスホールへ。ウエノのリズミカルなベースラインとmasasucksの切れの良いカッティングギターに合わせ、細美はマイクを手に持ち飛びはねながら声高らかに歌えば、「路頭に迷っていた自分は、もう過去の自分なんだ!」と言い聞かせるかのごとく、エレキギターをかき鳴らし、力強い歌声でホールを唸らせた"Lone Train Runnning"。ここで、彼の「今」の姿をガツンと見せつけたのだ。

開放感溢れるRainbow Stage に数秒の静寂が訪れると、柏倉の叩き出す巨大なドラムのイントロが聴こえてきた。彼らのライヴではマストソングとなった"Insomnia"。細美の繊細で気迫に満ちたヴォーカルと、そっと寄り添うようなmasasucksのしなやかなギターストロークの音色が響きだす。すると、オーディエンスは拳を上げ「Save Me!」とシンガロングの嵐を起こした…。感情という感情が溢れだし、恐怖と混乱と歓喜が入り乱れていくような"Insomnia"の威力は、バンドの成熟と、多くのオーディエンスが共有していくごとに増している。この曲の莫大なるスケール感には毎度、毎度、息を飲んでいるが、やはりこの日も圧巻だった。

そして、本編ラストは"紺碧の夜に"。今日のライヴを一人一人の胸に焼き付けていくよう、遠くの方まで見渡しながら歌い続ける細美。鮮やかなギターロックサウンドが繰り広げたエモーショナルなステージは一旦幕ここで幕を下ろした。しかし、鳴り止まないアンコールに再び5人は登場する。

この日、細美の声がいつになく優しく聴こえたのだが、その全てが最後の言葉に集約されていた。「来年もサマソニ出来るといいね。いろいろあるけど、来年もいろんな国のミュージシャンが飛行機に乗って、お前らの顔を見に飛んで来てくれる。そういう国でいられるように。また一年がんばりましょう。ありがとうございました。」二日前に日本が69回目の終戦記念日を迎えたことが、この言葉の背景から感じられる。「音楽に国境はない」と耳にする事がしばしあるが、ジャンルにとらわれず、心地よさを求めて作られた楽曲と、音そのものを自由に楽しむことが許されたthe HIATUSのライヴは、まさに音の垣根がないピースフルな空間だった。それは、本当に小さな一歩なのかもしれないが、5人の祈りが込められたアンコール"Shimmer"が熱狂と歓喜に満ち、溢れんばかりの多幸感でいっぱいになった時、「音楽で世界を変えることが出来るんだな。」という確信を私に与えたのだった。


セットリスト
1 Roller Coaster Ride Memories
2 Storm Racers
3 Monkeys
4 Thirst
5 Something Ever After
6 Deerhounds
7 Horse Riding
8 Silver Birch
7 Unhurt
8 Lone Train Runnning
9 Insomnia
10 紺碧の夜に

encore
1 Shimmer


にほんブログ村 音楽ブログ ライブ・コンサートへ
にほんブログ村
[PR]
by musicorin-nirock | 2014-08-21 08:10 | LIVE

7/22‐23 the HIATUS "Keeper Of The Flame Tour 2014"@新木場studio coast

7月22日。
"Keeper Of The Flame Tour 2014"セミ・ファイナル。ステージに立った細美武士から、私はいつも以上にシリアスな雰囲気を感じ取ってしまった。その決定的な場面は、バンドの事を話さなきゃいけないと言いつつも、自身が歩んできた今日までの道についてMCで話し始めた時だった。「超嫌われてて。友達もできなくて。ただバンドをやっているときは、周りに人がいて…」その時、自分の存在価値を見いだせた唯一の存在が音楽であった彼にとって、現在活動中のELLEGARDENがどれだけ大きな存在であったかを改めて思い知り、胸が痛んだ。

雑誌等で自身の過去について触れる発言を時々見かけてきたが、自ら進んで話すことがまずない。そんな細美が直接オーディエンスの目の前で話してくれた事は初めてだと思う。ここからはあくまでも推測になるが、彼がthe HIATUSのメンバーと巡り会い、強い信頼の元作り上げた"Keeper Of The Flame"。このアルバムを引っ提げ回ったツアー中に何か大き心境の変化があったからだろう。ただ、笑顔よりも必死に戦い抜いた表情であった細美の印象が強いのは、今日このステージに立つまでに、壮絶な自分との戦いがあったことを私は感じずにはいられなかった。

しかし、戦い抜いた先に一番手にしたかったものがあった。マイク越しに「音楽こそ、我が人生だ。」と話したのだった。細美の音楽を愛する者にとって、こんなにも嬉しいことはない。絶望の淵から這い上がった彼からの言葉に対して、「おめでとう」という言葉が自然と出てきて、ただ、涙を堪えるのに必死だった。

そして、彼が手にした自らの使命が7月22日のステージだった。哀しみも、怒りも、全てが大きな喜びに変化し、ライヴハウス中が幸福でいっぱいに満たされていた。自分の心が満ちていく瞬間というものが、何度も何度も訪れた。音楽の無限大の力そのものを体感したライヴは生涯で初めてだった。



7月23日。
"Keeper Of The Flame Tour 2014"ファイナルのステージは、「最後だから」という感慨に浸っている暇などなかった。前日、細美の枯れた声から喉の調子はなかり辛そうであったが、声のハリ、響き、全てが違うのだ。バンドの音も、佇まいも、恐ろしいほどに攻撃的だ。ツアー中、至る所で「大変ですね。」と心配されたらしいが「ずっと言ってやろうと思っていた。そんなの楽勝だ!」と細美は言い放った。

5月から始まった"Keeper Of The Flame Tour 2014"によって、アルバム”Keeper Of The Flame”の世界は確実に肉体感を増し、革新的な音の世界はさらに研ぎ澄まされていた。それはまるで一つの生命体の様であり、生々しくその温度をオーディエンスに直に感じさせながら、スタジオコーストを熱狂の渦に巻き込む。40本のツアーの記録一部始終が刻み込まれた壮大なサウンドは、アグレッシヴに攻め続け、41本目のファイナルステージで遂に爆発させる。

私は、ライヴDVD「2009.07.21 Trash We'd Love Tour Final at Studio Coast」の細美の様子を鮮明に覚えている。「自分は今ここに居ていいのか。目の前にいるオーディエンスを信頼していいのか。」必死に堪えている不安と迷いは、画面を通じで胸が苦しくなるほど伝わってきた。そして、必死に彼をを支えるが如く演奏し続けるメンバー。ちょうど5年前の7月、同じスタジオコーストでの出来事だ。

しかし、今はその逆だ。自分自身を取り戻した細美の先頭切ってバンドを引っ張る姿が見える。それを誰よりも喜ぶ、共に戦い音を鳴らし続けてきた最高の仲間がいる。

the HIATUSのサウンドが解放感に溢れ、自分が自由に楽しみたいように体を動かせるのは、細かなリズムを一つたりとも逃さない、柏倉隆史のドラムが生み出すビートであり、ロックにクラシックのベールをかけ、より芸術性の高い音の世界に仕立てるのか伊澤一葉の鍵盤。時に泣き、時に絶叫し、感情そのものをかき鳴らすmasasucksのエレキギター。そしてまるで彼の懐の深さを響きだしたようなウエノコウジのベース。この4人のハーモニーの上に細美武士のヴォーカルが重なり、いつにもまして表情豊かな歌声に心が震え、放つ言葉とサウンドが一つになったとき、身がもだえるような感動をオーディエンスに与え続ける。細美は時折後ろを振り返り、互いを確認するかのように柏倉と伊澤を見つめて歌い、笑顔のウエノに寄り添いギターを奏で、masasucksとは熱い友情の証をグーパンチで私たちに見せた。

彼らのそんな様子はただの仲良しバンドではなく、切磋琢磨する中で生まれた信頼であり、the HIATUSのサウンドがこの5人でしか創造できない「必然」が生み出した,ミクスチャーな音の世界であることを証明してくれたのだ。そこから見えたものは、メンバー全員想像もつかない程の美しい光景が広がっていたに違いない。

ダブルアンコール前に発表された、12月22日、日本武道館で行われる追加公演。オーディエンスからは嵐のような拍手喝采が沸き起こった。細美武士の口から発表されたときの、その堂々たる姿を私は忘れることはないだろう。そして、彼らが歩んで来た道のりの全てを映し出したような、ラストソング"Shimmer"を全身で受け止めながら、あまりにもドラマチックなエンディングにやはり涙が止まらなくなってしまったのだ。


セットリスト(22・23共に)
1 Roller Coaster Ride Memories         
2 Thirst                    
3 Deerhounds
4 Storm Racers
5 Something Ever After
6 Horse Riding                  
7 Superblock
8 Silver Birch
9 The Flare
10 Monkeys
11 Unhurt
12 Tales Of Sorrow Street
13 Sunset Off The Coastline
14 Lone Train Running
15 Burn To Shine
16 Insomnia
17 紺碧の夜に

encore1
1 ペテルギウスの灯
2 Waiting For The Sun

encore2
1 Shimmer



[PR]
by musicorin-nirock | 2014-08-16 10:50 | LIVE

7/6 Permanents presents "A ZIG/ZAG SHOW @ Shibuya www "

私はもともと歌が好きで音楽を聴くようになった。10代後半から20代半ばにかけて、ヴォーカルをやっていたこともあり、歌詞、メロディ、ヴォーカリストの声・表現力・カリスマ性などを重要視してCDを買ったり、ライヴに足を運んでいた。

先月のPermanentsのライヴは、そういったルーツを持つ私にとって、とても至福な時間だった。バンドマンではない田中和将(Vo&G)の姿を観たのは久しぶりであり、何よりじっくり声と言葉とメロディが味わえ、そこから見えた風景がストレートに胸に届いたライヴだった。

ステージ上には、田中と高野勲(Key)の二人だけ。海外アーティストのカバーや、ライヴではほとんどお披露目されないGRAPEVINEの楽曲の数々を、カントリーミュージックやブルースといった自分たちのルーツを元にしたアレンジで魅せていく。そして、どこにでもある日常を彩った言葉たちが、次々と軽やかにライヴハウスを舞う。決していやらしさや媚びがない、素直な感情とシンプルな音とのアンサンブルは、会場をアットホームな雰囲気にさせ、GRAPEVINEの彼らよりも、もっと身近な存在に感じさせてしまう。
さらにこの日は、nanacoのウィスパーヴォイスと長田進のセクシーなギター、そして阿部芙蓉美の美しいハーモニーも重なり、華やかさを増した一面もあった。

一番印象に残っているのが、田中と高野の二人で披露した「それでも」。
ギターを置き、スタンドマイクの前に立つ。手を後ろで組み、目を瞑って歌う田中は、歌うことの喜びを思いっ切り表現する。その声は、まるで少年のような初々しさとみずみずさを醸し出し、そして、懐かしさを感じさせる言葉と一つになると、優しいメロディと共にふわりと私の心を包み込んでいった。
高野の鍵盤は田中にそっと寄り添うが、時に彼の魅力を引き出せば、時にぐっと支え、流れる川のようにドラマティックに演出する。それは、彼がGRAPEVINEのサポートメンバーとして長年共に歩んできたからこそ、阿吽の呼吸がとれた2人でしか生みだせない賜物であり、一気に魅了されていった。

田中の書く歌詞はどこか地味で、万人受けするようなメッセージ性は感じられない。ただ、ヒットチャートやミュージック・フェスティバルを賑わす音楽が、四つ打ちのポップミュージックやアイドルソングが主流となっている今、聴くとちょっとこそばゆいけど、小さなきらめきのような歌がちゃんと存在していることが、私はとても愛おしかった。

このユニットは企画モノのからのスタートだったとはいえ、あちらこちらのフェスに呼ばれては出掛けて行き、若手・ベテラン問わず多くのミュージシャンとの対バンイベントもさらりとこなしてしまう。フットワークの軽さも素晴らしい。もちろん、多くのファンが彼らのパフォーマンスを待ち望んでいるからなんだろうけど、一番本人達が自由にリラックスして楽しんでいるから、ステージに立ち続けているのかもしれない。


セットリスト

opening HOPE(軽め)
1 それを魔法と呼ぶのなら
2 Here Comes Your Man(Pixiesのカバー)
3 ふたり
4 Life On Mars(David Bowieのカバー)
5 それでも
6 小宇宙
7 Colors
8 雨にうたえば(MALPASO)
9 悲しきセクレタリー(ムーンライダース)with nanaco+長田進
10 Sing

encore
1 highway,highway(阿部芙蓉美)
2 エレウテリア with 阿部芙蓉美 & 長田進
3 春咲子紅(矢野顕子のカバー)
4 smalltown,superhero


※この日は対バン形式でしたが、Psemanentsのライヴについてのみ書いています。

[PR]
by musicorin-nirock | 2014-08-04 22:28 | LIVE

7/13 NANO-MUGEN FES.2014 “東京スカパラダイスオーケストラ”

「スカパラがいるから大丈夫!」

スカパラこと、東京スカパラダイスオーケストラ。彼らのライブを観た後必ずそう思うんです。この人達についていけば間違いないだろうと。
今年でデビュー25周年。日本に「スカ」というジャンルをとても身近なものしてくれたのは、間違いなく彼らの存在があったからでしょう。そして、自分達のスカを「東京スカ」と命名し、日本だけではなく世界中を駆けずり回っています。過去に、脱退したメンバーや残念ながら亡くなってしまったメンバーもいます。本当の哀しみを知っているからこそ、それでも、未来をずっと見てきたスカパラ。全員お揃いのカッコいいスーツにビシッと身を包み、切れのある「東京スカ」を初出演となったナノムゲンフェスで、大音量で鳴らしてくれました。

が。スカパラのメンバーを良く見ていると、下らないことでずっと笑っている、まるで男子高校生のような、雰囲気…(笑)もっとクールで怖い人達と思っていたけれど、それは間違い。とってもフレンドリーで、優しい。私にとっても、頼れるアニキ的な存在です。

スカパラの魅力は、全く彼らの曲を知らなくても、スカビート(いわゆるツービート)を聴くと、自然と体を動かしたくなり、気が付けスカダンス(懐かしのモンキーダンス)を踊っていること。そして、谷中敦(Baritone Sax)さんの男らしくお腹の底から元気が出てくるリリック。それをメンバー全員で歌ったり、また素晴らしいヴォーカリストを呼び、9人のスカバラとはまた一味違うスカを私たちに聴かせてくれることです。

今回はバンドコラボ3部作と称して、日本を代表するロックバンドとコラボレーション。プロデューサーに亀田誠治さんを迎え、10-FEET、MONGOL800と続き、最後を飾るのがナノムゲンフェスの主催者であるASIAN KUNG-FU GENERATIONです。
この日初披露となった“WAKE UP!”。これまでの作品と比べると、かなりアジカン色の強いナンバーです。完全、スカパラがアジアンをサポートしている側に回っています。歌詞に関しては、谷中さんと共作ですが、かなり後藤正文さんことゴッチをフューチャリングしているし、曲は加藤隆志(Guiter)さんが担当しているけれど、「これアジカンが作ったんでしょ?え?違うの?」と大きな勘違いをしてしまいました。(すいません。)

でも、その背景に感じられるのは、「アジカンがいかに日本のギターロック界をひっぱり、構築させてきたか」ということと、「後藤正文の鋭い視線を持った歌詞の世界観」。この2点をスカパラメンバーは「活かしたい!」と思わずにはいられなかったんだろうと私は思いました。
また、スカパラの「ポジティブしかいらない世界」とアジカンの「ちょっと屈折したように物事を観ている、まさに時代を感じさせるロックの世界」が一体化すると、物凄い感動を与えてくれるんです。それを強く感じたのが、アジカン初期のナンバー「遥か彼方」のスカパラとのコラボレーションを聴いた時。ツインドラム、ツインベース、ツインギターにホーンセッションが加わり、キーボードとパーカッション。そこにゴッチのヴォーカル。迫力はもちろん、アジカンをしっかり底上げしつつも、「俺らだって負けちゃいねぇ!」という華やかなホーンを響かせ、熱いスカビートを刻む。そして、ゴッチは途中でギターを弾くことを放棄し、マイク握りしめて熱く熱く歌い上げる。なんというか、それが今の東京の姿というか。音楽シーンのあるがままの姿というか。感慨深かったです。

オーディエンスの熱狂も半端なく勢いがありました。みんな前に駆け寄っていって、モッシュも湧き起こるし。それをね、スカパラメンバーみんな、にこにこ楽しそうに眺めているんです。

多分「アジカンとコラボしたことでスカパラを知った、初めて今日ライブを観た。」という若いアジカンっ子たちもたくさんいたと思う。そんな彼らのためにスカパラは、みんな知っているであろう“ミッションイン・ポッシブルのテーマ”や“ルパン三世’78”、またロシア民謡の“ペドラーズ(テトリスのバックで流れている曲)”をしょっぱなからガシガシ続けて演奏し、オーディエンスのハートゲット。
スカパラファンにはお馴染みの“DOWN BEAT STOMP”、“SKA ME CRAZY”や、KEMERIの伊藤フミオさんがゲストヴォーカルに招いた“PRIDE OF LION”(この日は加藤さんと谷中さんが主に歌って、サビはメンバーみんなで大合唱!)で、スカは「ポップで親しみやすいんだよ!」ガッツリアピール。
そして“One Step Beyond”でカッコいい東京スカを堪能させ、そこからアジカンコラボレーションステージが始まった。

この流れ、最高で最強!でしょう。

「絶対、楽しませてやる!」というスカ魂を思い知り、そして、アニキ達の「懐の深さ」に大いに感動しました。こんなステージ、スカパラにしかできないよ。ホント。

だから、ずっとスカパラについて行こう!って思ったのでした。
本当に大好き!






[PR]
by musicorin-nirock | 2014-07-21 11:49 | LIVE

7/13 NANO-MUGEN FES.2014 “NICO Touches the Walls”

横浜アリーナにて7月12日、13日と2日間に渡り開催された、ASIAN KUNG-FU GENERATION PRESENTS NANO-MUGEN FES.2014(以下ナノムゲンフェス)。

トップバッターを務めたのが、ナノムゲンフェス初出演となるNICO Touches the Walls (以下NICO)。6月15日のZepp Tour FinalであるZepp Tokyoのアクトでは、バンドがバンドとしてさらに進化した姿をオーディエンスに見せつけ、8月19日の武道館“リベンジ”公演のチケットがソールドアウトとなり、追加席の発売も発表された。願わんばかりの結果を受けてから初めてとなる今日のステージ。一体どんなステージを繰り広げてくれるのだろう?と期待で胸が高鳴る中、この日はアコースティック・セットで出演とのアナウンス。主催者でもあり、レーベルの先輩にもあたるASIAN KUNG-FU GENERATION 山田貴洋(B&Vo)と伊地知潔(Dr)による開演の挨拶の中でも紹介を受け、終わると同時に「 NICO Touches the Walls 」と備え付けのスクリーンに大きく映し出された。歓声が上がる中、メンバー4人それぞれチェックのシャツにデニムパンツというラフな装いで、さらっと現れる。

1曲目はワンマンライブや野外フェスではお馴染みカントリー・ロックンロール「THE BUNGY」。坂倉心悟(B)と対馬祥太郎(Dr)が、大地を踏みしめるようなオーガニックなビートを生み、その上をじゃじゃ馬のように駆けずり回る古村大介(G)のアコースティック・ギター。そこに光村龍哉(Vo&G)の巻き舌にシャウトに一筋縄ではいかない過激なヴォーカルが乗る。「演奏することが楽しい!楽しくて仕方がないんだ!」という想いに溢れ、観ている側にもその想いがストレートに伝わってくる。なぜだろう、彼らとの距離がとっても近い。続く、誰もが一度は耳にしたことがあるであろう「手をたたけ」は、悪ガキっぽくちょっと捻くれた一面も見せるブルージーなアレンジに仕上がっており、横浜アリーナにこのフェスで一番大きなハンドクラップをホール一体となって鳴らし、そして「ホログラム」が放つ虹色の輝きとともに、NICOのアコースティック・サウンドは、フェス二日目の始まりに相応しい爽やかな風を運んだ。とにかく爽快で心地よい始まりだった。

「アコースティック」とは、「電子的な機器・装置を使わない、楽器本来の響きをもつさま」(デジタル大辞泉参照)であること。ミュージシャンにとってみたら、演奏スキルはもちろん、楽曲のクオリティやヴォーカルの歌唱力など本当の実力を試される。だからこそ、バンドの本質的な部分までが見えてきてしまうのかもしれない。そんな事に気が付いたのは、原曲とは反対方向に向かう、バラード調にアレンジされた「バイシクル」を聴いた時だった。

静まりかえったホールには緊張感が走る。子守歌のように優しいアルペジオの効いたギターと、情緒的に歌い続ける光村の声だけが響き、オーディエンスも彼を見守るように聴き入っている。サビへと盛り上がって行くにつれ、声を振り絞り全ての情熱を賭けて1番を歌い上げ、後を追うようにゆっくりと古村、坂倉、対馬が加わっていく。この様子が、かつてロックバンドに憧れた光村少年のもとにメンバー3人が1人ずつ集まっていく・・・というノスタルジックな光景と重なっていった。
そして私はあることに気が付いた。ここで歌われていた「バイシクル」とは「NICO Touches the Walls 」のことなのではないか。と。4人で一緒に上り坂も下り坂も泥だらけになりながら漕いできたのだ。ファンには決して見せなかった「汗」と「涙」と「苦悩」をアコースティックの魔法によって正直に表現し、優しく胸に響いた。元気でアッパーなのがNICOではない。その姿はとても感慨深く、演奏後の彼らに送られた温かい拍手も印象的だった。

そこに切り込むように入ってきた「Diver」。本来なら古村のギターソロの部分をブルースハープにチェンジされ、一人の男の背中を見ているような感覚を私にもたらす。そして、演奏している彼等を観ながらしみじみと考えてみたのだ。

バンド結成時、まだ10代だったメンバーは、いわゆる「大人の敷いたレールの上」を無我夢中で走ってきた。道中、たくさんの壁にぶつかりながら「本当に自分達がやりたいことは何なのか?」と散々追求した結果、昨年11月25日に開催された「1125(イイニコ)の日」ライブで、無駄なものを全て拭い去り、ポップを封印しロックを全開させる。レコーディングを挟みつつ、今年1月には全国3カ所を回る同世代ロックバンドとの対バンツアーを自主企画し、2月には「カベニミミ」というライブハウスをオープンさせた。かなりハードなスケジュールだったと思うが、この過程で培ったDIY(=Do It Yourself / 自身でつくる)精神が、メンバー間の結束力をより強く固め、本物のロックバンドへと急速に進化させたのではないだろうか。

今年で結成10年、メジャーデビュー7年目を迎え、ようやくたどり着いたこの場所。すでに30代を控えた彼らにとっては「時間がかかってしまった。」という気持ちも心のどこかにあるのかもしれない。しかし、4人で歩んだ長く険しい道のりから生まれたの最強のリベンジソング「天地ガエシ」を聴けば、全ての出来事は必然であることがわかるだろう。

長年彼らを応援してきた多くのファンが思わず「おめでとう!」と駆け寄りたくなるような、どストレートに心に届くナノムゲンフェスでのラストナンバー「天地ガエシ」。対馬の打つバスドラが、今のNICO Touches the Walls の鼓動のような強い生命力を感じさせ、「ここが終わりではなく、始まりなんだ。」という未来を覗かせた。初出演のイベントプラス、横浜アリーナという大きな会場で敢えてアコースティック・セットで挑んだ事は、大きな自信の現れであり、8月の武道館で起こることを予感させるような、勢いを感じさせる素晴らしい時間だった。


セットリスト
1 THE BUNGY
2 手をたたけ
3 ホログラム
4 バイシクル
5 Diver
6 天地ガエシ



[PR]
by musicorin-nirock | 2014-07-18 12:32 | LIVE

7/2 GO LIVE! VOL.2 ACIDMAN @ EX THEATER ROPPONGI

7月2日。

昨年の秋に新しくオープンした、
EX THEATER ROPPONGI に初めて向かった。
「GO LIVE !」というEX THEATER ROPPONGI が主催する、
対バン形式のライブイベントで、
数日間に渡り、様々なバンドが共演を果たした。
この日は、VOL.2にあたる。
出演はBOOM BOOM SATELLITESとACIDMAN。

その1バンド目に登場したのが、ACIDMANだった。

19時調度まわった頃に場内が暗転し、
「最後の国」のイントロが鳴り響く。
メンバーを迎えるかのごとく、オーディエンスのハンドクラップが始まると、
ACIDMANのメンバー、オオキノブオ(Vo.&G)、サトウマサトシ(B)、ウラヤマイチゴ(Dr)の3人がステージに現れた。
歓喜の声が上がる中、言葉もなくライブの幕が上がる。

1曲目は、最新シングル曲である「EVERLIGHT」。
オオキの弾き語りから始まり、
タイトル通りの「限りない光」を放つような、壮大なサウンドで魅了させ、
オーディエンスを沸かせた。

この後も、ミディアムテンポの曲が続く。
六本木という場所を意識したのだろうか、
今日のACIDMANからは、
どこか大人っぽい雰囲気が漂う。

中盤「アルケミスト」は、
まるで、一人宇宙の中にポツンといるような錯覚を起こしそうになる。
ライブハウスが、広々とした神秘的な空間へと変化し、
そこは、とても心地が良く、
いつまでも聴いてたくなる、優しさと安心感があった。


ここでオオキのMCが入った。

EX THEATER ROPPONGI の音の良さと、
対バン相手である先輩ミュージシャン、
BOOM BOOM SATELLITES への感謝の意を表し、
「今日、初めて演奏します。自由に楽しんでください。」
とい言葉からの、新曲「Stay In My Hand」。
激しさと静けさが混同した、アッパーなロックナンバーだ。

「静」から「動」へ。
この素早い切り返しも、ACIDMAN の魅力の一つだろう。
爆弾に火が付いたかのようにバンドは一気に加速し、
「風、冴ゆる」、「ある証明」と続く。
オーディエンスの盛り上がりもヒートアップし、
あちらこちらで、拳を上げる姿が見られた。

特に印象的だったのは、ウラヤマのドラムだ。
振動が地面を伝って全身に響き渡り、身悶えするほどの迫力があり、
戦士のような凄まじい姿をまんまと見せつけられ、
驚愕しっぱなしだった。
また、サトウとの抜群のコンビネーションから生まれるビートは、
一貫して安定しており、彼らの長年のキャリアを感じさせられた。


ラストナンバーは、「ALMA」。
「生きること、死ぬこと、愛、希望。それを今までずっと3人で表現しつづけてきた。」
という、芯の通ったMCの後に披露された。
まさしく、ACIDMANの「核」と言えるべき曲だ。

"奇跡を知る為に 誰もが此処で出合ったのだろう
平和の名の下に 哀しみを生む為ではないだろう?"

"世界の夜に 降り注ぐ星 全ての哀しみ洗う様に
さあ 降り注げ 今、降り注げ
心が消えてしまう前に"

"輝く星に 明日が見えるまで
僕らは手を伸ばす

時の流れに消えてしまわぬように
僕らは愛を抱く"

"最後の星の 最後の光まで
僕らは手を伸ばす

重ねた指の その温かさに
約束しよう"

一言、一言を噛みしめ、
オーディエンスに訴えかけるかの様に歌うオオキの姿には、
迷いの微塵も感じない。
今、彼らが伝えたいメッセージは、
全てこの曲に集約されている。

哀しみの先に見えてくるもの。
人の優しさや、小さくても輝かしい希望。
最終的に辿りつく先は「命の尊さ」なのだろう。
この世に「生」を授かったと同時に「死」と向き合い、
必ず誰にでも訪れ、逃れることはできない。

しかし「死」というものを、
マイナスに捉えるか、プラスに捉えるかで、
今という時間をどう生きていくのか、
何を選択して、人生を全うしていくのかが、
わかってくるのではないだろうか。

ACIDMANはそれを諭してくれる存在だ。

これは、彼らが長年「生きること、死ぬこと、愛、希望」について、
真摯に向き合ってきた結果であり、
ACIDMANの音楽が多くのファンに必要とされ、
心に強く響く答えなのだろう。

約1時間という短い時間ではあったが、
力強く、濃厚で、感動的なステージだった。


最後に。

誰もが、迷い、悩み、不安を抱えながら生きている。
だから、心に抱えている荷物を一度全て下ろして、
ありのままの姿で、彼らの音楽と向き合ってみて欲しい、
と私は思う。
きっとそこから、何かが見えてくるはずだから。




セットリスト

1 最後の国
2 EVERLIGHT
3 ストロマトライト
4 FREESTAR
5 Spaced Out
7 アルケミスト
8 Stay In My Hand(新曲)
9 風、冴える
10 ある証明
11 ALMA



[PR]
by musicorin-nirock | 2014-07-09 22:21 | LIVE