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5/14 Nothing's Carved In Stone @ 渋谷CLUB QUATTRO

3月から始まったMonthly Live at QUATTROもいよいよ最終節。そのVol.3は“3✕6=構築”。インディースからメジャーデビューへの架け橋となった3rdアルバム『echo』と、オリコン10位という記録を叩きだし、実質上メジャー最後の作品となった6thアルバム『Strangers In Heaven』という、Nothing's Carved In Stone(以下NCIS)の歴史を大きく“構築”した2枚が再現される。

開演前から熱気が高まる中、『echo』のオープニングを飾る“Material Echo”をSEにメンバーが登場。歓声と共にオーディエンスがステージへと押し寄せる最中、生形真一(G)のエッジィなエレキギターが鳴り響き“Truth”、そして“Spiralbreak”と連打。まるで牙を向けた蛇の様に野性剥き出しでメンバーはオーディエンスに食って掛かり、続いて『Strangers In Heaven』から“What's My Satisfaction”を投下する。大喜多崇規(Dr)と日向秀和(B)が絡み合うタイトなビートがフロアを激しく揺らし、オーディエンスの熱量は既に沸点超えていた。爆発的な盛り上がりを見せる中、オレンジと白いライトに照らされ始まった“Brotherhood”。サビではたくさんの手がフロアから上がり、熱気まみれのQUATTROが音の光で包まれていく。

「お前らと同じように今日を楽しみに待っていました。開放していこう」などと村松拓(Vo&G)が手短くMCを済ませると、がっちりと骨組みされた屈強のバンドサウンドで4人は暴れ馬のようにかけずり回る。一件反発し合っているように聞こえる生形と日向のフレーズがばしっと型にはまったアンサンブルが見事だった“Falling Pieces”から始まり、生形のキレッキレのギターリフが全力全開となった“Crying Skull”、ラテン系のリズムに大喜多の持ち前のダイナミズムが投入された“(as if it's)A Warning”で、フロアは一気にダンスホールに。逆風を跳ね飛ばす勢いで怒涛の展開を繰り広げ、ここでブレイクのように挟まれたのが、ミドルバラード“Goodnight & Goodluck”。ハンドマイク姿となった村松の逞しく優しい歌声が響き渡り、表現者としての華々しい存在感を放つ。しかし、気迫のこもった表情で“雪渓にて”を熱唱する村松は、いつもの彼とはどこか違っていた。

今回再現された2枚のアルバムの一枚である『Strangers In Heaven』は、聴き手と共鳴し合える歌詞、開放感に溢れたサウンド、そして“ダンス”の要素もプラスされた、一体感を強く味わえる作品となっている。逆に『echo』は、“己”に向けて歌われた曲が多い。自分と対峙し、孤独と闘い、抑えきれない怒りに突き動かされる衝動が、ヘビィなサウンドと共に人間の内側に深く沈み込ませていく。この日ライヴ中盤のMCで村松は、「最近、己がふらついている」と曝け出し、その直後の“9 Beat”から『echo』収録曲が続いた。ラウドで情熱的なサウンドをバックに<生まれ続けてる/摩擦が頬を削いでいく/それが辛いって隠せずに言うなら/You are doubt>と、生々しい感情が感情のまま声となる。しかし、彼は感情を爆発させていたわけではなく、自分の中で起きた事実を冷静に受け止め、真摯にオーディエンスと向き合い続けていた印象を私は強く持った。

幻想的な“キマイラの夜”からインストナンバー“7th floor”へ流れ込み、勢い良く放たれた“ツバメクリムゾン”でフロアは開放されていく。溢れんばかりの高揚感と多幸感。そこに間髪入れず、歪む日向のベースが唸る“TRANS.A.M”で畳み掛け、ラストスパートをかけるようにNCIS流ダンスロックの要“Idols”を投下。再び始まるダンスタイムに揺れるフロア、蒸されるQUATTRO。

そして、“Intro”が流れる中を、精悍な顔つきで村松は話し始めた。「俺たち全然…まだ俺自身、至らないところもあって、ロックバンドとして。もっと成長して、もっとみんなを遠くまで連れて行けように頑張ってるんで、付いて来て下さい。ありがとうございました。Nothing's Carved In Stoneでした」。柔らかなギターのイントロが、ゆらゆらと揺れる陽炎を思い描く“Shimmer Song”。<そこに情熱を築いていて/いくつもの矛盾と対峙して/きっと自由を求めていて/陽炎は希望を燃やしている>。放たれる言葉一つ、どれをとっても、今の彼の気持ち全てを代弁していたと思う。表も裏もない感じさせない歌声は、彼がとことん正直者であることを証明し、バンドマンとして抱え続ける情熱と新たな決意がミックスされ、今まで聴いてきた中でも一番感動的な“Shimmer Song”だった。

本編ラスト“To Where My Shoe Points”で、村松はフロア全体を眺めながら、1人1人の表情をしっかりと確かめていた。メンバー4人、全てを出し切り、逞しいサウンドでエモーショナルな空気にフロア包み込むと一旦ステージを引き下がった。

アンコールを求める鳴り止まない拍手の裏では“Chain reaction”のイントロが流れ続け、真っ白なライトに照らされる中、再びメンバーが登場する。“Chain reaction”の後のMCは人間ドックの話題になったりと、笑いの絶えない和やかな時間だった。そして、アンコールラストは“False Alarm”でライヴは無事に終演。しかし、先日、村松のブログにてレーベル移籍の発表があり、今年の4月よりメジャーからインディーズへ返り咲いたのだが、この件についてMCでは一切触れることはなかった。ただ、煮え切らない気持ちであることは、前述しているMCや村松の歌声、そして4人のバンドサウンドから胸に迫る勢いで伝わり、こんなにも生々しいNCISのライヴを体感したのは初めてだった。

個人的な事を最後に記すならば、NCISはやはりライヴバンドである。ライヴを体感してからこそ、彼らの本物の格好良さがわかる。生形、日向、大喜多という最強のプレイヤー達の名演は耳だけではなく、その姿を目で見たことで改めで本物であることが理解できたし、それは、言うまでもなく村松のヴォーカルもだ。彼の歌唱はデビュー当時と比べかなり大きな変化を遂げ現在も進行中であり、彼が覚醒していく様を、この“3✕6=構築”で私は見届けたような気がしているし、私の彼らへの期待は強まるばかりだ。

この、3カ月に渡り行われたMonthly Live at QUATTROは、リスナーの投票により8月にライヴアルバムとしてリリースされ、再現ライヴも開催されることが既に告知されている。2008年のバンド始動からの集大成であると共に、NCISのライヴでしか味わえない臨場感が大いに詰め込まれた一枚になるだろう。



set list
1 Material Echo
2 Truth
3 Spiralbreak
4 What's My Satisfaction
5 Brotherhood
6 Falling Pieces
7 Crying Skull
8 (as if it's)A Warning
9 Goodnight & Goodluck
10 雪渓にて
11 9 Beat
12 Midnight Train
13 Everlasting Youth
14 Seasons of Me
15 My Ground
16 キマイラの夜
17 7th Floor
18 ツバメクリムゾン
19 TRANS.A.M
20 Idols
21 Intro
22 Shimmer Song
23 To Where My Shoe Points

encore
1 Chain reaction
2 False Alarm

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by musicorin-nirock | 2015-05-24 22:04 | LIVE

5/21 NICO Touches the Walls @豊洲PIT

ツアー初日の雑感です。内容にも軽く触れていますので、閲覧にはご注意下さい。

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by musicorin-nirock | 2015-05-23 09:53 | LIVE

NICO Touches the Walls TOUR 2015“まっすぐなツアー”開催によせて

今年の3月5日、新木場STUDIO COASTで久しぶり観たNICO Touches the Walls のライヴで、想像以上に感動してしまった事を今でも鮮明に覚えている。この日は対バン形式で、1時間足らずの短い演奏時間だった。しかも、これまたバンドの“王道ヒットパレード”とも呼べるセットリストで挑んできた。この1年、彼らのライヴで何度も何度も耳にしてきた曲ばかり。それなのに。全ての曲が新鮮で、音と共に見える景色が全く違うものだった。メンバー一人一人の佇まいも何時に無く堂々として、背負っていた様々なものから、やっと解放された、とても良い表情をしていた。

帰りの電車で「バンドって、いいな。バンドってこんなにも変わることができるんだな」と、心の底から思ったのだ。

私が彼らと真正面から向き合い始めたのは、2012年の「1125(イイニコ)の日ライブ」だった。当時の彼らはまだ、自分達が抱え続けていた「葛藤」を表に出すことはしていない。いや、出すこと自体が格好悪い、ダサい…と思っていたのではないかと思う。とにかく「心地良い青年達が鳴らす、色鮮やかなギターロックバンド」というイメージが私にはずっとあった。

ところが、翌年リリースされた“Mr.ECHO”で光村龍哉(Vo&G)が抱える孤独なその胸の内を吐き出した。そしてそれが、結果的にバンドのターニングポイントになる(と思っている)。この“Mr.ECHO”が収録されているアルバム『Shout to the Walls!』は、全身全霊かけて壁にぶつかって行くが如く、ロックが全面的に強調された楽曲で勝負し、また、メンバー全員がソングライティングにも関わっており、過去4枚のアルバムよりも突出してバンド感が強く感じられる1枚となった。そして「灼熱のロックンロールナイト」と称され、忘れもしない、武道館のリベンジ宣言をした2013年の「1125(イイニコ)の日ライブ」に繋がった。

描いていた理想と現実の狭間で揺れに揺れ、でも、ようやく自らの足で立ち、前に進めるようになった。だからこそ、さらに自ら拍車を掛けるように2014年の年明け早々、一か月間ぶっ通しでライヴして(篭城型ライヴハウス「カベニミミ」)、その拡大バージョンのZepp ツアーまでも開催して、迎えた8月19日。二度目の日本武道館を終えたメンバーが見せたものは、笑顔。歓喜と共に彼らから漲る自信は、ロックバンドとしての神髄を手に入れた証だった。

2015年に入り、彼らにはご褒美が与えられる。それは、憧れのビルボードのステージに立てること。アコースティックにアレンジされた楽曲を携え、迎えた晴れの舞台を、今、思い返してみると、彼らが生み出した作品への愛情が、盛大に感じられる時間だった。本当に、全てを受け入れることができたのだろう。彼らが理想としていたことが、現実になったんだ。

こうして歩みを辿っていくと、一本の長い道が見えてくる。途中、上り坂も下り坂もあって当然だろうし、赤信号が灯りかけた時もあっただろう。それでも足を止めなかったことは、本当に素晴らしい。彼らが長年深めてきたことが、全てバンドサウンドとして放たれたから、私は3月5日のステージを観て思わず涙を流してしまったのだ。

明日から始まるツアーの前に、どうしても書き残しておきたかった。あまりにべたなツアータイトルだけど、笑っちゃうくらい似合っているよ。




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by musicorin-nirock | 2015-05-20 22:15 | COLUMN

ARABAKI ROCK FEST.15 / GRAPEVINE

4月25日から2日間に渡り開催されたARABAKI ROCK FEST.15の会場には、7つのステージがある。その中で唯一の屋内ステージが花笠だ。GRAPEVINEは今年、2010年のARABAKI以来5年振りに、ここ花笠に立つ。

彼らが出演するARABAKI2日目、4月26日は、前日に比べ日差しが強く、一気に夏を呼び寄せたような暑さだった。午前中から会場をほっつき歩いていた私は、この暑さに体力を消耗され、まだまだ続くライヴのために屋内ステージで少しゆっくりしようと一足早く花笠に向った。すると、ステージにはCHABOこと仲井戸麗市率いるCHABO BANDのライヴが始まっていた。私はこの時、休むつもりで向かったはすなのだが、バンドの音を耳にした瞬間に、完全ノックアウトされてしまった。仲井戸は自分自身が楽器となり、自由自在に音を操っている。彼が産み出す重みのあるグルーヴに、私の体は勝手に動きだし、仲井戸の人生が練り込まれたブルースには、思わず目頭が熱くなる。そしてステージを見渡すと、仲井戸らの名演を舞台袖で楽しむGRAPEVINEのメンバーの姿が見えた。下を辿ると田中和将(Vo&G)は、中学2年生の頃に仲井戸に憧れギターを購入した事を、先日発売された『ロックンロールが降ってきた日3(㈱スペースシャワーネットワーク)』 で語っていた。少年時代に憧れたミュージシャンが、今目の前でギターを弾き、歌っている。そしてこの後、自分も同じステージに立てる事は、ミュージシャン冥利に尽きるに違いない。

仲井戸が去った後の花笠は変わらずテンションが高かった。サウンドチェックのためにステージに現れたGRAPEVINEメンバーも、時折オーディエンスに茶々を入れたりとご機嫌だ。そして、開演時刻を5分ほどオーバーした頃に、彼らはビール片手にリラックスした面持ちで、再びステージに現れた。


1曲目は“光について”。芳醇なギターのイントロが花笠に響き渡り、ノスタルジーが漂う中でも、彼らの「今」が感じられる音だった。たっぷりとしたバンドサウンドは、オーディエンスの心をぐっと引き寄せる。そして次曲“疾走”へと続くと、私の目の前にあるステージが涙で滲んでしまった。<まだ未来は空っぽのままで 新しい予感に泣きそうだぜ>という衝動と、ダイナミックな曲展開が、四十路を超えた大人たちが、まさに仲井戸に憧れていた10代の頃のピュアな気持ちのまま、バンドと向き合う姿を曝け出していたからだ。田中の身を振り乱しシャウトする姿も、西川弘剛(G)が鳴らし続けるエレキの音も、亀井亨(Dr)が刻む迫力あるビートも、いつにも増してリアルに迫ってくる。その勢いに乗って、前のめりに攻めてきた“KOL”。持ち前の成熟尽くしたバンドサウンドからは貫録が感じられる。しかし、モッシュが起きてもおかしくない程のフロアの大盛況ぶりは、狭いライブハウスでぎゅうぎゅう詰めになりながら、彼らのステージを観ていた頃を、ふと私に思い出させた。

ここで最新アルバム『Burning tree』より“Weight”が披露されると、花笠は一気にアダルティな空間へと変わる。高野勲(Key)の鍵盤と田中のアコギが絡み合うアンサンブルが、しっとりとフロアを包み込み、田中は祈りを込めるかのように優しく歌い上げていく。「そろそろ、おねむの時間でしょ?寝てもいいんですよ?」なんて曲前のMCに、くすくすと笑い声を上げたオーディエンスも、食い入るようにステージに視線を向けていた。ヒットシングルで始まり、アッパーなロックを立て続けにチョイスした、GRAPEVINE初心者にも優しいセットリストだったが、ライヴ中盤に差し掛かった所で、嫌味もなくミディアムバラードを持ってくる。そんな彼らの姿は、肩肘に力が入るわけでもなく、とても堂々としていた。

続けて、ファンキーに聴かせた“SOUL FOUNDATION”。活動初期の頃の楽曲が披露される嬉しいサプライズに、フロアのテンションもヒートアップ。オーディエンスとメンバーとの間には一体感が生まれていく。そこに鋭く“ Reverb”が切り込むと、熱狂的な歓声が上がった。金戸覚(B)の低音が拍車をかけように、ぐらんぐらんとフロアを揺らし熱気は更に上がっていく。

そしてラストは再び『Burning tree』から“IPA”という、ツアー中ならでは締め括りだった。先日、赤坂BLITZで初めて聴いたときよりも、サウンドに深みが増し、揺るぎないものが感じられた。歌い続ける中で、新たに生まれた田中の感情が、注ぎ込まれているのだろうか。まるで、GRAPEVINEの「現在地」をここARABAKIの地に刻み込んでいるようだった。特にエンディングにかけての盛り上がりは、この先も続くであろう彼らの道程が、柔らかな光に照らし出されていくようで、私は言葉を失った。

メンバー全員40代を迎え、楽曲に対して向き合い方が確実に変わったことをアルバム『Burning tree』は物語っている。よって、近年リリースされたGRAPEVINEの作品の中でも群を抜いてリアルだ。そのリアルが、彼らより下の世代を生きる私には、理解しがたい部分でもあった。しかし、ここARABAKIで、彼らはまだ熱き音楽への情熱を抱えながら、自らの積み重ね上げてきたモノを踏まえ、更に次なる新しい道を今再び模索し始めている事を、私に教えてくれた気がしている。それは、ツアーを続けていく中で、それぞれの心境に変化が訪れ始めている証でもあるが、やはり憧れのCHABO BANDのステージが、彼らに何か気付かせたのかもしれない。彼らの中に存在する、10代の頃の自分が引き出された、今のGRAPEVINEの鳴らすサウンドは、映画のようにドラマティックだった。


set list
1 光について
2 疾走
3 KOL(キックアウト ラヴァ―)
4 Weight
5 SOUL FOUNDATION
6 Reverb
7 IPA


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by musicorin-nirock | 2015-05-02 12:00 | LIVE