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7/18 田中和将(GRAPEVINE)+高野寛@Zher the ZOO YOYOGI

ラジオパーソナリティの中村貴子さん主催の“y's presents 『貴ちゃんナイト vol.7』”へ行ってきました。出演は、カミナリグモ、田中和将(GRAPEVINE)+高野寛、高野寛の3組(出演順)。中村貴子さんと馴染みのあるアーティストによる、キャパ300人にも満たないライヴハウスでの過ごした約3時間は、予想以上に贅沢な時間となりました。いやぁ、貴子さんありがとう(笑)。私は高校生の頃に、中村貴子さんがDJを務められていたNHK-FM「ミュージック・スクエア」を毎晩聴いてまして、この番組のおかげで多くのバンド・ソロアーティストを知り、今回出演された田中さんのバンド、GRAPEVINEとも出合いました。多分、このラジオと音楽雑誌「ロッキン・オン・ジャパン」が無ければ、今の私ない、と言い切れるほど思い入れの強い番組で、妙にノスタルジーに浸りながら一人家路につきました。

では、個人的メインであった、田中さんと高野さんのステージについてのレポートを以下記載します。

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いつものように白シャツ姿で田中和将は現れた。相変わらず飄々としていて、リラックスしているようにも見えたのだが、今夜はGRAPEVINEではないし、勿論Permanentsでもない。大先輩・高野寛との一夜限りのユニットであり、ドラムに高野とのコンビでもお馴染み宮川剛も加わった3人編成のステージである。いつもよりMCが控えめに聞こえたのは(それでも良く話すようになったのだけれど)、やはり緊張していたのだろう。

1曲目。田中が突然歌いだしたのは“光について”。抱えたアコースティックギターを荒々しく鳴らし、力強い歌声を上げた。高野と宮川の鳴らすソリッドなアンサンブルに導かれ、男らしく、ブルージーに化けている。「挨拶代りに」と曲紹介をしていたが、そのわりには随分渋い。元々曲に存在する繊細さをいい意味で打ち消し、今の田中にしか歌えない”光について”であった。

「GRAPEVINEやPermanentsではやらない曲をやります」という事で、続いたのは“また始まるために”と“鏡”である。オーディエンスからの久しぶりに聴くことができた高揚感がフロアには終始漂う。高野はギターを弾いたり沢山セッティングされた機材をごそごそ操ったりと、何かと忙しそうであったが、彼の柔らかな歌声が田中の声に重なると、一層歌の世界が広がった。つまり、演奏する人や歌う人によって曲に新たな色が加わり、また違う一面を聴き手に見せてくれるのだ。次から次への新しい曲が生まれる世の中で、これは古いやり方に映るのかもしれないが、別の魅力を引き出せるとは、長年経験を培い、リスペクトされ続けてきたアーティストだからこそ、なせる業なのだろう。

田中自身、高野の曲は好きでよく聴いてきたそうだ。「あまり聴いていない人からには感じないんですけど、聴いてきた人なので(高野からの)圧が…(苦笑)」と言いつつもにこやかで、とても嬉しそうだった。続いては高野がVocalを務めたトッド・ラングレンのカバー"I Saw The Light"(日本語歌詞Ver)。田中のリクエストで決めた曲らしく、彼がギタリストに徹する姿も新鮮だ。そして、再び田中のステージへ。私自身、何年振りに聴いたのか正直思い出せない、しかし貫禄に満ちた"フラクタル"と、最後の曲の“TWANG”は、3人のアンサンブルと田中の歌が胸に迫る勢いで、圧巻のパフォーマンスだった。

憧れのミュージシャン、大好きなバンド。そういった自分のルーツに近づくために、まずは「似させよう」と必死に努力するのだろう。そして、経験を積むことで、その努力が血となり肉となり、いつの間にか自分自身として表現できるようになる。今日の田中のパフォーマンスは、まさに今述べたまんまである。CDで聴く声の初々しさは彼にはもうないが、年齢を重ねたからこそ歌える歌がある。40代の哀愁漂うブルージーな”光について”は、リアルタイムで聴いていた頃よりも妙に胸に染み入る声だった。

そして、一夜限りのユニットとは言わずに、またいつか実現してほしい。


set list
1 光について
2 また始まるために
3 鏡
4 I Saw The Light
5 フラクタル
6 TWANG


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by musicorin-nirock | 2015-07-19 00:00 | LIVE

7/11 NICO Touches the Walls @ 広島BLUE LIVE

ライヴ内容に触れていますので、閲覧にはご注意ください。


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by musicorin-nirock | 2015-07-17 22:00 | LIVE

“Keeper Of The Flame Tour 2014 Closing Night NIPPON BUDOKAN 2014.12.22” / the HIATUS



2014年12月22日、その翌日の23日、私は丸々一日かけてこのライヴレポートを作成した。ステージに立つthe HIATUSのメンバー、会場を埋め尽くす約1万人のオーディエンスと、ライヴに関わる全てのスタッフ、そして、残念ながらライヴに足を運ぶことが出来なかった彼らを愛してやまないリスナー。この全員のthe HIATUSへの想いが、日本武道館に集結したこの夜の事を、絶対に忘れてはならないと思った。

彼らの音を耳すると、抵抗する暇もなく、感情は揺さぶられる。そして、全身に響き渡るグルーヴは人肌のように温かく気が付くと涙が溢れて止まらなくなり、同時に心は解放されていく。「音楽に救われる。音楽に生かされる。音楽で人生が変わる。」。彼らを知る前も、知った後も、様々なバンドを聴き続けてきたが、自分の人生に於いて莫大な影響力を与え続けてくれたのは、the HIATUSでしかないと、12月22日私の中で証明された。だから、逆にこのライヴ映像を見ることを、私は少し躊躇した。ライヴレポートには書き記せなかった、個人的な感情が、映像と同時にダダ漏れになってしまう事が怖かった。私が過ごした2014年とthe HIATUSの音楽との関係とは、彼らの音がもう自分の一部分であるような、あまりに近すぎるのものだ。生きる事の厳しさも、優しさも、美しさも教えてくれた彼らの音楽に、心身共にくたびれ果てた私がどれだけ救われてきたのか、正直、計り知れない。しかし、武道館から半年近く経った今は、彼らの存在の大きさに左右されず、しっかり自分の足でしっかり立ち、歩き、人生を全うしたいと思い始めた自分がいる。ライヴDVDの全てを観終えて、改めて客観的な視点であの夜のことを見届けることができ、そう気付かせてくれたのは誰でもない、the HIATUSであることを、改めて痛感しているところである。

ライヴは“Roller Coaster Ride Memories”から始まり、紗幕が落ちると5人のロックモンスターは姿を現す。そして、“The Ivy”“The Flare”と続き、彼らのオルタナティヴな姿勢そのものがロックと化し武道館という大会場をペロリと飲み込んだ。ライヴ中盤には細美武士の抱えるエレキギターがアコースティックギターへと変わり、手話通訳士ペン子の美しい手話と、彼らの大切な友人Jamie Blakeをゲストに迎え、優しく温かな空気に包まれた。そして、ようやくアルバム『Keeper Of The Flame』へ。打ち込みを起用させたことで、彼らのサウンドは更に進化し、何物にも値しない「the HIATUSの音」と呼ぶべき世界が武道館いっぱいに広がった。本編最後は最初期の曲“Ghost In The Rain”で締め括り、長い旅路の終わる寂しさではなくて、旅の「はじまり」を予感させた、素晴らしいものだった。

2009年にバンドを結成し、これまでの道程を目の前にいるオーディエンスと辿り、今、武道館にいる喜びを共に分かち合う。ライヴの始まりから終わりまで、溢れんばかりの祝福感に満ちた時間は、冒頭でも述べたが、the HIATUSのメンバー、会場を埋め尽くすオーディエンス、ライヴスタッフ、そして、全国、いや世界中にいるであろう彼らを愛するリスナー、この全員の想いがサウンドと融合し、創りだされたものだ。きっとこれは、この中の誰か一人でも欠けていたら、創り出すことはできなかったであろう。

また、今回のライヴDVDは2枚組であり、その内の1枚はライヴドキュメンタリーとなっている。これは日本武道館公演前にスペースシャワーTVで放映されたものに、武道館までのドキュメントをプラスされた作品だ。2014年3月に発売されたthe HIATUSの4th Album『Keeper Of The Flame』を掲げ、同年5月から始まった全41本という長旅。「チケット代を上げないと、スタッフに給料が払えない。だからチケット代を上げる…いや、そういうことじゃないだろう」という細美武士に浮かび上がった疑問。その答えは、スタッフを一人減らして、細美自身がスタッフ業をこなすことだった。自らハンドルを握り、機材車を走らせ全国を駆け巡る。ステージのセッティングも後片付けも自分行い、空き時間があればトレーニングに打ち込む。観ている側からすると、それは余りに過酷である。しかし、細美がストイックに自分の体力と精神を鍛え上げたことが、後に大きな自信となる。ツアーファイナル、新木場COASTの楽屋では「楽勝だ」と、笑顔すら零している。

そして、細美以外のメンバー4人にも、それぞれ心境に変化が訪れ、行動に移していく。それは、メンバー一人一人にとって、バンドマンとしての「原点」に戻る時間だったのではないかと思う。その全てを物語っていたのが、日本武道館のステージに立った5人の表情だ。勇ましい目つきでエレキギターを掻き鳴らすmasasucks、ステージ全体を温かく見守るような、柔らかな笑顔を見せるウエノコウジ、込み上げる感情そのものを叩き出す柏倉隆史の顔からは、今ここにいる喜びが溢れだし、今回のツアーで一番苦労したであろう伊澤一葉が、全てを弾き終えた後に見せたのは、安堵の笑顔。そして、自分自身に打ち勝った細美の勝利の笑み。年齢を重ね、キャリアを重ねていけばいくほど、忘れてしまう事がある。それを忘れまいとし、細美が起こした行動が、バンドの大きなエネルギーとなり、「最初で最後の武道館」には、5人全員、the HIATUSであることの誇りが溢れている。

最後に。このライヴDVDは、観た人の心にどう映るのかで、ライヴが本当に完結する。ここには、音楽の素晴らしさ以上に、たくさんの生きるメッセージが詰まっている、そんなライヴDVDだと思う。どちらも、心して観て欲しい。







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by musicorin-nirock | 2015-07-04 22:17 | LIVE DVD

主にNICO Touches the Walls について書いておりますが、他にはGRAPEVINE と the HIATUS が好きです。記事の無断転載、引用はご遠慮ください。


by タナイユウ
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