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NICO Touches the Walls TOUR 2017 “Fighting NICO” LIVE REPORT ①(3/5愛知県芸術劇場・3/11長野CLUB JUNKBOX)

「これはすごいツアーになるぞ。」

3月5日。愛知県芸術劇場にて開催されたNICO Touches the Walls TOUR 2017 “Fighting NICO”(以下Fighting NICO ツアー)が終演し、急ぎ足で乗り込んだ新幹線の中で思った。彼らのライヴに通い始めて今年で5年目を迎えるが、今まで観てきた数々のライヴの感動を覆すくらいの衝撃と興奮が体中を巡っている。

「彼らのステージでは滅多に披露されない曲が、次々と投下されたセットリストだったからだろうか?いやいや。あのレーザー演出を駆使したオープニングに斬新さを感じたからだ。…う~ん、それより何よりタイトルすら未確定の新曲でライヴの幕を開け締め括るという、自ら爆弾を放り投げるようなことをするなんて」。のっけから新曲を挑発的に畳み掛けてきたその姿は、世間に対して中指を立てた捻くれ者。そう、彼らのインディーズ時代の楽曲に通ずるものを強く感じていた。

だからこそ、ライヴ中に思い出したこともある。昨年リリースしたアルバム『勇気も愛もないなんて』以降「明るい歌を歌いたい。自分が歌っていて楽しい曲を歌いたい」と光村龍哉(Vo&G)が公に話し始めたことだ。

かつての私だったらきっとここで、矛盾を指摘したかもしれない。
けれど、そんなことびくとも思っていない。

愛知のライヴで一番感動した曲がある。それはレア曲でもなく新曲でもない。近年、観てきた彼らのライヴで、聴かない時はほどんどなかったであろう“天地ガエシ”だった。ギターを弾く手を止め、両手を大きく広げ天井を仰ぐように歌う光村の姿が観えたときには、リベンジ掛けて自らにムチを打ち続けた世界とは全く違う世界が広がっていた。のびのびと気持ち良く放たれた歌声は、会場一帯を澄み切った青空に塗り替えたのだ。

例えこの日しかツアーに参加できない状況に居たとしても、後悔はないだろうと思った。急遽ライヴ参加を決め、手に入れたチケットの座席は4階席。念のためサッカー観戦用の双眼鏡を持参したが、ライヴが始まってしまえば、案の定、バッグの中へと押し込む始末。遠く離れたステージに立つ5㎝ほどのメンバー光村、古村大介(G)、坂倉心悟(B)、対馬祥太郎(Dr)、今回特別にサポートメンバーとして加わった浅野尚志(Key,Vn,G)の5人で鳴らす音さえあれば、それ以外のものは必要ないと思えるほどに、ステージから溢れる音の力に圧倒されてしまっていた。

***

set list(3月5日 愛知県芸術劇場)
1 新曲
2 チェインリアクション
3 そのTAXI,160km/h
4 ビッグフット
5 バイシクル
6 Endless roll
7 夢1号
8 GUERNICA
9 錆びてきた
10 アビダルマ
11 Aurora(Prelude)
12 TOKYO Dreamer
13 天地ガエシ
14 MOROHA IROHA
15 渦と渦
16 新曲

encore
1 マシ・マシ
2 THE BUNGY
3 ランナー


***

Fighting NICO ツアーでは後日発表された追加公演を含め、ライヴハウスとホール、合わせて全国20箇所の会場を巡る。ツアー初日(2月21日)はライヴハウス、HEAVEN'S ROCK さいたま新都心VJ-3で迎え、ホール公演の初日となったのが、先の愛知県芸術劇場。今回、私が唯一参加したライヴハウス公演が、3月11日開催の長野CLUB JUNKBOX公演。キャパ400人クラスのライヴハウスでニコを観ること自体が久しぶりで、この日をとても楽しみにしていた。

場内が暗転すると、目の前にある頭と頭の間からひょっこりメンバーの上半身が現れる。ライヴハウスでは浅野を呼ばずに4人でステージに立ち、光村がサイレンを鳴らす”新曲”でライヴはスタート。対馬の力強いドラムと坂倉の爪弾く低音が、地響きのように体に伝わってきた。会場であるJUNKBOXは天井が低い。だから、ステージから沸き上がる熱量と、観客が密集するフロアとの熱量はあっという間に混じり合い、とにかく暑い。

セットリストにも変化が見られた。前半から“バイシクル”→“THE BUNGY”→“Diver”と歴代シングルが続き、しかし、約10分近くもある“GUERNICA”がセトリの重鎮であるかのように異色を放ち登場。気まぐれの選曲ではなかったようだ。

すると「ジリジリジリジリ!」と当然、大音量で鳴り響く警報音。

新曲でサイレンを鳴らしたニコである。始めはライヴハウス用の演出の一つなのかと私は勘違いしたが、異変に気付いたメンバーは演奏をストップ。「どいてください!」と声を上げる1人のスタッフが、観客をかき分けステージ袖へと駆けつけた。原因は、ステージに炊かれたスモークが火災報知器に反応してしまったことだった。電源が元に戻るまで数分時間を要したが、見事にバンドは持ち直し“GUERNICA”の間奏部分からライヴは再開。そして、“Aurora(prelude)”を光村がエレキ一本で弾き語った後に“TOKYO Dreamer”へと続いた。

あの時、ヒヤっとした気持ちが先走り、思わずスマホを覗き込んでしまったのは、この日でちょうど東日本大震災発生から6年目を迎えたからだ。2011年3月11日を境に、明らかに意識が変わってしまった私にとっては、ステージ上のトラブルだったとは言え、あまり笑えない出来事でもあった。

日本中の人が傷付き、今でもなお哀しみを抱え生きている中で、3月11日にライヴをするとなれば、選曲にしても、MCの言葉一つに選ぶにしても、普段のライヴ以上に慎重になるだろう。しかし、復興を謳うライヴではないし、本来のツアーの趣旨を曲げることのない内容であったが、日常を慈しむ歌詞が胸を打つ“April”がツアー初登場の場であったことや、アンコール1曲目には震災を経て生まれた曲“手をたたけ”が披露されことから「特別な想い」が感じられた。そして、アンコール時のMCで光村は「自分が今伝えるべきこと」を話したのだ。

『今日で震災から6年目を迎え、歌詞を噛み締めながら歌っていた。そして、どの歌も自分に向けて歌ってきたんだなって気づいた。こうして人前に立つ仕事をしているし、リア充に見えるかもしれないけれど、ステージに立ちたくない日もあるし、一日寝ていたい日だってある。(自分は)教祖でも何でもない。でも、こういう気持ちを歌にしてきたんだなって。そして、それが聴いている皆の力になるならそれでいい。音楽はそういうものだと思っている。俺たちは好きな音楽をやっていくから、みんなも好きなことをして。きっとうまくいくから』(注:要約してあります。)

アンコール2曲目“ストラト”が未だかつて無くリアリティを帯びつつ胸に届いたのは言うまでも無い。<金はないけど買ったスニーカー>だって、<7日そこらでなくした財布>だって、歌詞の中に全てのパーツが光村自身の姿なのだろうと腑に落ちた。普段ステージでは見せない、NICO Touche the Wallsという舞台から降りた姿をさらけ出したことで、今までにない説得力を感じさせる素っ裸な“ストラト”だった。

ライヴ中断によって確実に時間を喰っていただろうし、“ストラト”前のMCの内容からして、今回のアンコールは2曲で終わるものだと観客のほどんどが思い込んでいたと思う。しかし、そんな残念な気持ちを遮るかのように、突然マイクを握りしめた光村がフロアに身を乗り出し、“マシ・マシ”を歌い始めた。古村の軽やかなエレキを伴走に、楽器を下ろした坂倉と対馬も光村の隣でハンドクラップしながら、<あとはきみしだいです/あとはきみしだい>と観客と一体になり歌っている。

…この距離感の近さは、今までのニコのライヴで感じたことのない類いの近さだった。当然、先日4階席から観たときよりも、狭いライヴハウスの方がメンバーとの実質的な距離は近い。だが、そういうものをニコは観客に見せたいのではないような気がした。”マシ・マシ”を歌とギター一本に絞った理由は「曲の本質部分で観客と繋がりたい」という願いがあったのだろうと思った。

***

set list(3月11日 長野 CLUB JUNK BOX)
1 新曲
2 チェインリアクション
3 そのTAXI,160km/h
4 バイシクル
5 THE BUNGY
6 Diver
7 夢1号
8 GUERNICA
9 Aurora(Prelude)
10 TOKYO Dreamer
11 April
12 天地ガエシ
13 MOROHA IROHA
14 Broken Youth
15 渦と渦
16 新曲

encore
1 手をたたけ
2 ストラト
3 マシ・マシ

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by musicorin-nirock | 2017-06-11 22:32 | LIVE | Comments(0)

GRAPEVINE NEW SINGLE「Arma」RELEASE !!

6月7日、GRAPEVINEデビュー20周年記念シングル『Arma』が遂にリリース。


(↑対バンツアー『GRUESOME TWOSOME』5/21 新潟LOTS公演にて撮影。“Arma”の歌詞ボード)

特に、2番Aメロの歌詞がお気に入り。
初めてラジオで聴いたときも、
先日の対バンツアーで聴いたときにも、
必ずここで涙ぐんでしまった。
直接的な言葉が連なっているわけではないが、
それでも「GRAPEVINEまはまだまだ続いて行く」ということが、
このたった4行のフレーズでわかる。
これが溜まらなく嬉しいのだ。


GRAPEVINE 『Arma』

2曲目の“Shame”の作詞作曲は久しぶりにVo&G田中和将。
相変わらず鋭い視線で世の中を達観する歌詞。
リズム隊はかなりタイトで、アンサンブル自体もとてもシンプル。
しかし、じわりじわりと伝わる熱量が、聴き手に高揚を与える。
こちらはライヴで聴くのが非常に楽しみ。
王道を行く“Arma”とは対になるような1曲。

Arma [20th Anniversary Limited Edition]

GRAPEVINE/ビクターエンタテインメント

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限定盤にはボーナストラックとして“Big Tree Song”(高野寛さんRemix Ver.)と“SPF”(STUTSさんRemix Ver.)も収録。

Arma

GRAPEVINE/ビクターエンタテインメント

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by musicorin-nirock | 2017-06-08 22:31 | MUSIC | Comments(0)

8/26 IN A LIFETIME 2016 Presents GRAPEVINE × TRICERATOPS @ 東京・渋谷NHKホール

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2014年にGRAPEVINEはセカンドアルバム『Lifetime』のリリース15周年記念として、アルバムの再現ライヴを行った。そして、2016年にはその第2弾として、1998年にリリースのファーストアルバムの再現ライヴ「IN A LIFETIME」を、バインと同じ1997年にデビューを果たしたトライセラトップスと共に対バンツアー形式で開催。

私は8月26日東京・渋谷NHKホールで迎えたツアー初日と9月10日大阪・オリックス劇場、そして追加公演である9月17日東京・お台場Zepp DiverCityの3公演を観に行ったのだが、今回は初日のNHKホールのライヴについて書いていこうと思う。

***

先行はトライセラトップスだ。

バンド名がタイトルとなった彼らのファーストアルバム『TRICERATOPS』。20代男子のリアルな恋愛事情が綴られる全10曲には、当時流行っていた髪型(”彼女のシニヨン”)や、好きな女の子のライターに見知らぬ男とのプリクラが貼られていたり(”オレンジライター”)と、90年代後半のファッションや文化を感じさせる楽曲に目を引かれるが、40代を迎えたトライセラが歌い演奏する『TRICERATOPS』の楽曲群は、不思議なことに、どれもこれもが大人のラヴソングとして聴こえてきた。

一番変化したのは和田唱(Vo&G)の歌声だ。恋愛の甘さも苦みも知っているからこそ、男らしくセクシーに歌い上げ、佇まいもジェントルマン。ギタリストでもある彼は、味のある音色でギターを鳴らし、唯一無二の存在感でオーディエンスを魅了する。そして林幸治(B)の重厚感あるベースと吉田佳史(Dr)によるワイルドなドラミングと共に爆走。疾走感溢れる骨太ギターロックからデビュー曲”Raspberry”に代表されるディスコまで、デビュー当時から一貫して崩さなかった姿勢は、トライセラ流の成熟されたロックン・ロールとなり盛大に響き渡る。

和田は、コール&レスポンスやハンドクラップを積極的にオーディエンスに求め、ライヴの舵を取ってゆく。林も手が空けばハンドクラップをしたり、吉田もスティック握る手を振り上げフロアに合図を送ったりと、客席とのコミュニケーションを何よりも大切にしている。それはMCでも言えることで、和田の軽妙なトークに会場が沸くと、さらにタイミング良く吉田が絡み、再び会場は爆笑の渦。そんな2人を止めようとしない物静な林なのだが、何か話題を降られ話し始めると、笑いを取る確率はほぼ100%(笑)。基本的に3人ともサービス精神旺盛な性格なのだろう。細部にまで拘り抜いた、お客さんを1人残らず楽しませようとする「パフォーマンス力」のレベルはかなり高い。

そんなトライセラにも、数年前には存続危機が訪れていた事もある。バンドを長く続けていく上での苦労やネガティブなものをステージ上では曝け出すことはないが、過去を乗り越えファーストアルバムの再現ライヴを行ったことは、リスナー以上の感慨深さが彼らにはあったと思う。今回の見事なステージは、困難な時代を経たことで磨かれた賜物であり、だからこそ今のトライセラをより輝かせ、私達の目には魅力的に映るのだろう。

そして後攻GRAPEVINE。

ファーストアルバム『退屈の花』の1曲目”鳥”からライヴはスタートした。18年前(2016年当時)よりも柔らかくなった田中和将(Vo&G)の歌声と、落ち着いた物腰で鳴らされるあたたかなサウンドが響き渡ると、会場一体が多幸感でゆったりと包み込まれていく。まるで古いダイアリーを1ページ1ページ読み返すような丁寧な演奏が続き、MCもほどほどに黙々と演奏するメンバー。しかし次第に最近のライヴにはない独特な空気が広がり始める。

田中もMCで話していたが『退屈の花』は、当時の自分達を大人っぽく見せようとして作られたアルバムである。ブラックミュージックやルーツロックを主軸とする渋い趣味嗜好の楽曲が連なっているが、若者らしい視点で田中が綴るまだまだ青い歌詞からは、彼らが生きた1998年が色濃く残り、過去作品の中でも群を抜いてノスタルジー色が強いという一面もある。

現在バインはオリジナルメンバーである田中、西川弘剛(G)、亀井亨(Dr)の3人とサポートメンバーの金戸覚(B)、高野勲(Key)が加わった5人編成で活動しているが、彼らはステージ上にかつてのメンバー西原誠(B)の気配を感じさせる「4人のサウンド」として完全に成立させてしまっていた。実際は、色々と小細工を仕掛けていたことを後日確認したが、当時の音作りやアレンジを新たに塗り返すことなく、かなりの割合で似せて再現しているのではないかと思うほどに、初回に観た衝撃を暫く忘れることができなかった。つまり、それを再現できたことは、大人っぽく見せようとしていたアルバムをバンドは追い越すことができたからで、ラストの”熱の花”では、それまでノスタルジー一色だった客席を強引にも1998年から2016年へと引き戻すような凄まじい轟音を放ったまま、メンバーはステージを去ったのだが…観ていた側としては少し頭の中を整理する時間が欲しいくらい、いわゆる混乱状態に陥ってしまった。 


デビュー当時、バインとトライセラは「陰のバンド」と「陽のバンド」として比較されていたという。とは言え2組の最新アルバムを聴いてみても、相変わらずバインは「陰」でトライセラは「陽」。ライヴとなれば、その世界を更に深化させたものとなり、実際に立て続けにライヴを観ても、目や耳でわかる共通項はそんなに無く、本来この関係性はただの『同期』と呼ぶのかもしれない。しかし、バインとトライセラの場合、我が道を貫き前進してきたことによって独自のスタイルを創り上げた『同志』であり、そこに絶対的な自信があることを理解し合える大切な存在なのだ。メンバー総出演で行われたアンコールの最後に、田中が「是非、和田唱に歌ってもらいたい」とのことでポール・マッカートニーの名曲”Maybe I'm Amazed”が披露されたことがその象徴と言えるだろう。ロックン・ロールへの敬愛に溢れる壮大なバラードには、互いの肩を叩き合うような労いを感じ、また、長くバンドを聴いてくれているファンへの感謝や、同じ時代を生きる音楽仲間への激励とも受け取れた。

バンドを長年続けてきたことで得られた喜びや楽しさをファンと一緒に分かち合う、祝福感に満ちた、とても幸せな夜だった。どちらのバンドにも危機は訪れているし、当然今だって背中合わせである。しかし、彼らは乗り越え、地道ながらも確実に未来への歩みを止めなかった。例えば、その理由を訪ねてみたとしても「バンドしか、音楽しかなかったからだ」とあっさり返されそうだけど、こんなシンプルな答えが似合うバンド、そうそういないだろう。

そして、2017年。バインとトライセラは遂にデビュー20周年を迎えた。

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by musicorin-nirock | 2017-06-04 10:00 | LIVE | Comments(0)

主にNICO Touches the Walls について書いておりますが、他にはGRAPEVINE と the HIATUS が好きです。記事の無断転載、引用はご遠慮ください。


by タナイユウ
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