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2016年個人的ライヴ総括

今年2016年で一番多くライヴを観たバンドはGRAPEVINE(Vocal田中さんソロステージ含む)でした。その中でもアルバム『BABEL,BABEL』を引っさげての全国ツアーは「こういうライヴがずっと観たかった!」という個人的にドンピシャなライヴで、ここ数年観てきたツアーの中でも飛び抜けて良かったです。皮肉だけどポップだし、尖っているけど愛を歌う『BABEL,BABEL』の楽曲を中心にシリアスな側面を見せつつも、突如ゴン太くんが登場したりとくすっと笑えるネタも仕込まれつつ。そういった、弛緩と緊張が繰り返されるセットリストが、いかにもバインらしかった。また今回のツアーでは本編でMCをなくしたことで、より一層豊かな音世界を描けていたように感じます。逆にアンコールで田中さんはしゃべり倒すという(笑)あとは、初期楽曲を披露してくれたのも嬉しかった。バインは洋楽的なアプローチがほとんどで、ロックバンドとは言ってもロックミュージックをだけやっているわけでもなく、トレンドよりも自らの美学を磨き、独自のスタイル構築してきたバンド。今回のツアーでは、その姿勢を貫く姿がロックバンドとしての一つの在り方であることを、まじまじと見せつけられました。特にフェス等で色々なバンドのライヴを観ながらバインを観ると、彼らは本当に希有な存在だなと強く感じます。

次点はNICO Touches the Walls。2015年11月に古村のアクシデントが起こってしまってから、光村・坂倉・対馬の3人で1125の日ライヴを開催、初の大阪城ホールワンマンライヴは来年に延期となり年末のイベントは出演キャンセル・・・からの年明け三度目の日本武道館公演「東の渦」、2016年3月にアルバム『勇気も愛もないなんて』がリリースされ「孤独と夜」から「勇気と愛」を歌うバンドへのモードチェンジ、アルバムツアーにフェスト、そして5月6日に無事に迎えることが大阪城ホール公演「西の渦」・・・と文字打ってるだけでも息苦しくなるくらいに、昨年末から今年の上半期にかけて怒濤の日々をバンドもファンも過ごしていたと思う。私自身、上半期はニコに対してシリアスでしたね。「孤独と夜」から「勇気と愛」への変化は、今となっては自然なことと受け入れているけど、当時の私はニコがモードチェンジした理由を見つけようと、ライヴを観て確かめることに必死でした。でも、この約半年間で4人を良く知ることもできた。また4人のニコであることへのプライドだったり、メンバー間の信頼を今年は強く感じました。なので、今年のベストライヴを選ぶのであればやっぱり「西の渦」。あの日の古くんが見せた笑顔も目に涙をにじませていた顔も忘れられないです。

青春時代の懐古も多かった。UA 、THE YELLOW MONKEY、IN A LIFETIME(トライセラトップスとGRAPEVINEの対バンツアー)にThe Birthday。高校から大学時代にかけての青く甘く苦い思い出を懐かしむ時間でしたね・・・でも、当時からの憧れの人達が素敵に歳を重ねられていて、変わらずライヴのステージに立っていてくれることって、今を生きるエネルギーになりました。特に8月にTHEE MICHELLE GUN ELEFANTの解散ライヴを映画化した『THEE MOVIE-LAST HEAVEN 031011-』観たことでようやく観に行く決心がついたThe Birthdayは本当に感慨深かった。

そしてフェス。まずは、ARABAKI ROCK FEST。今年は最高に楽しかった。私が好きなバンド全て網羅できる面子が出揃ってしまってて結果的に観ることが出来なかったバンドもあったくらい。そこで観たGLIM SPANKEYがめちゃめちゃ渋いロックンロールを鳴らしてて!来年ワンマン行きたいですね。久しぶりに観たASIAN KUNG-FU GENERETIONも流石の貫禄があって凄く良かった。雨に打たれ寒さに震えながら観た奥田民生だったり、椿屋四重奏ぶりに観た中田裕二の色気に動揺したり、BRAHMANは先輩方目の前にしたTOSHI-LOWの素顔を見た気持ちになったり。今のところ一番好きだなARABAKI。今年始めて行った中津川 THE SOLAR BUDOKANは、もうね景色が本当に美しくて(夕焼けが)!!心身共々、かなり癒やされたフェスだった。ただ交通の便がちょっと不便なのが難点だけど、それさえクリアできたら行く価値はあります。音も良いし!

で、今年観てきた40本の中で一生忘れることはないであろうライヴは、9/13 the HIATUSの「Hands of Gravity Tour 2016」STUDIO COAST公演。私の中では、あの伝説の日本武道館公演を越えてしまいましたね。彼らについては、別途書こうと思っています。

最後に毎年思うことだけれど、私は好きなバンドがはっきりしている分足を運ぶライヴはどうしても偏りがちだだし、あと体調不良で飛ばしてしまったライヴがあったことをかなり反省。でも振り返ってみたら、Suchmosや夜の本気ダンスといった若手から、リップスライムという大御所かつ観たことのなかったジャンルまで足を伸ばせたし、念願のTweedyとマニック・ストリート・プリーチャーズも聴けたし少しは冒険できたかな。来年以降は誰のどのライヴに行くかは、しっかり吟味した上でを決めようと思います。そして、来年も素晴らしい音楽と共に駆け抜けます!(その前にCOUNTDOWN JAPANがあるけど!笑)

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by musicorin-nirock | 2016-12-27 22:45 | COLUMN | Comments(0)

12/29 GRAPEVINE @ COUNT DOWN JAPAN 15/16

相変わらず飄々と彼らはステージに現れた。

来年2月3日発売される「節分アルバム」『BABEL,BABEL』と4月から始まる全国ツアーの告知ぐらいの言葉数少ないMCは、いつもより、ちょっぴり素っ気なかった。

しかし、淡々と、黙々と、演奏される一曲一曲が放つ存在感は、物応じできない程に聴き手を圧倒させてゆく。

「GRAPEVINEのかっこよさは、これなんだ」

***

ライヴは挨拶代わりの“光について”から始まり、田中和将(Vo&G)と女王様の絡みPVで話題騒然となった”EVIL EYE”のキワどいロックンロールで早々にフロアを揺らした。そして、今回ライヴで初お披露目となった新曲”EAST OF THE SUN”は、田中がつま弾くアコースティックギターに、西川弘剛(G)が鳴らすエレキギターと高野勲(Key)のトリッキーなシンセが重なるイントロから、鮮やかに、繊細に、一音一音紡がれてゆき、メロディメーカー亀井亨(Dr)の腕が光るメロディの美しい名曲だった。冬のソングとしてお馴染みの”Our Song”で、<ぼくらは/ねえ/何が見たくて/全てを欲しがって/きたんだっけ>と、ドラマティックに歌い上げた田中の声は胸に迫るものがあり、”スロウ“の厚みあるギターサウンドからは、ひしと貫録を感じさせられた。

人の心に必ず何かを描き続けるGRAPEVINEのライヴは、ゆったりとした流れの中で、MOON STAGEに集まったオーディエンスを、完全に異空間へと引き込ませてしまう。

だから、COUNT DOWN JAPAN 15/16 (以下CDJ)の多くのステージで見られるような一体感を味わう光景は、当然一度も訪れなかった。シンガロングにハンドウェイブ、かつては彼らのライヴでもよく発生していたモッシュですら、今はもう、ほとんど起こらない。もちろん、曲に合わせ歌詞を口ずさんている人もいたし、拳を上げている人もいた。しかし、曲が終わるごとに盛大な拍手が響き渡り、バンドとオーディエンスに通ずる何かが確実にあった事が証明される。そんなライヴだった。

ただ、CDJのような今の音楽シーンのど真ん中に位置するロックフェスに、GRAPEVINEのようなバンドが出演することは、今やもう稀に映る時代なのかもしれないと思った。CDJの各ステージの盛り上がる様子を覗いてみると、そう思わざるを得ない場面に私は何度も遭遇した。実際、GRAPEVINEの裏ではMAN WITH A MISSION、KEY TALK、DJ やついいちろうのステージが繰り広げられており、集客状況に関して厳しいものがあったことは事実だ。そしてそれは、彼らと共に青春を過ごしてきた私にしてみると、寂しさを感じる現実だった。

それでも、ラストソングの”Silverado“が、フロア一帯をあたたかく包み込めば、まるで、新しい年へと続く彼らの旅路を、しかと照らし出すようで、年々研ぎ澄まされていくバンドサウンドと共に過ごした約30分間は、その場を離れるのが惜しい程の感動と余韻を残していった。

変化の激しい世界の中にいても、ぶれることなく自らのスタイルを貫き続けるGRAPEVINEは、私にとって、いくつになってもロックヒーローのなのだ。2016年、2月にはアルバムリリースに付け加え対バンイベントが、4月からは全国ツアーが決定している。今年もこうして、彼らの新しい音楽と出合える喜びを糧に、私は日々、過ごしていきたいと思う。





SET LIST
1 光について
2 EVIL EYE
3 EAST OF THE SUN
4 Our Song
5 スロウ
6 Silverado


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by musicorin-nirock | 2016-01-03 11:10 | LIVE | Comments(2)

2015年に良く聴いたアルバム①『Burning tree』 / GRAPEVINE

2015年も残すところあと二ヶ月を切りました。

私は今年、例年に比べてみると数多くのアーティストのCDを聴き、また近年気になっていたアーティストの過去のアルバムを徹底的に聴き倒す、そんな一年でありました。そこで、年間通して一番良く聴いていたアルバムを振り返ってみたのですが、これはもう間違いなくGRAPEVINEの『Burning tree』です。6月のツアーファイナルの後は他のバンドのリリースとライヴラッシュに伴いまして(笑)聴いてない期間もあったのですが、先日の日比谷野音後に『Burning tree』熱が再び上がってしまい、以来一日一回は聴いてます。

過去にリリースしてきたアルバムに青さを感じてしまうほど『Burning tree』の世界は異様に深く、大人でした。なので、初めて聴いた時の印象はまるで映画のように壮大なアルバムというものだったのですが、正直に話すと戸惑っていました。

オープニングの”Big tree song”のように、あたたかさと優しさが混ざり合う音の手触りは、彼らをあまり聴いたことがない人達もあれ?と興味が惹かれるような、今までのGRAPEVINEにはないカラフルな世界観です。でも、このアルバムは例えばフェスでウケるような外向きな曲と、じっくり聴かせる内向きな曲がはっきりしています。

その中でも、内向きな曲のリアルさに私はかなりショックを受けました。これは誰もが避けられない現実である「死」と「老いる」ことと真摯に向き合われた作品で「私の今の年齢でこのアルバムを理解することは難しいのかな」とか「どう受け止めたらいいのだろう?」と悩みながら聴いていました。そして、アルバムの本質をつかめないことがだんだん悔しくなってきて(笑)そこで改めて1stアルバムの『退屈の花』から最新の『Burning tree』まで、彼らの作品を遡って聴いてみることにしたんです。これが、なかなかの労力を必要とする作業…しかし「彼らが積み重ねてきた美学の最骨頂がこのアルバムなのだなあ」と全てを聴き終えようやく納得することができたし、発売からもう10ヶ月近く経っても、まだまだ新たな気づきがある…そんなアルバムです。

6月に行われたツアーファイナルを今振り返ってみても、MCもなく、アルバムとアルバムの世界観に通ずる曲で構成されたセットリストは本当に素晴らしかった。また、“IPA“や“サクリファイス“のように、音楽の中に救いを求めていく様はとても美しく、第一印象で受けた通りの、まるで映画を観ているようでした。何より、音楽への深い愛情と、自分達の作った音楽へのプライドを感じる時間でもありました。

また、ロックバンドが作ったアルバムではあるけれど、この領域はもう一つのアート作品と言える。こういうアルバムこそ「傑作」と呼ぶに相応しいのではないのかとも思います。

そうそう。アルバム1曲目の”Big tree song”は、ファッションブランドFRAPBOISの2015/16秋冬コレクションのイメージムービーに使われました。リミックスを担当されたのは高野寛さん(高野さんは、12月2日にリリースの新曲"EAST OF THE SUN / UNOMI"のプロデューサーを務められています)。



原曲よりもファンタスティックな世界が広がります。ライヴでは皆で♪どやさ~と歌ったり、まさかのハンドクラップが沸き起こったりとた、名場面もありましたね。


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by musicorin-nirock | 2015-11-07 10:25 | COLUMN | Comments(4)

10/24 GRAPEVINE @長野CLUB JUNK BOX -club circuit 2015-

まず、力を込めて伝えたいことは、田中和将の歌声が驚くほど素晴らしかった。1曲目の“なしくずしの愛”は、喉の奥から響かせる歌声がしなやかで、漂わせるダンディズムがオーディエンスを一気に酔わせてしまう。しかし、新緑を思わせるギターサウンドでフロアを染め上げた2曲目“夏の逆襲”では、透き通るような透明感ある声で<真実を可能にするのは>とリフレインさせる。丁寧に、そして表情豊かに曲を演出する、まだまだ可能性を秘めたその声に、開始早々私は感服してしまう。

9月に野外ライヴが開催された東京と大阪を抜かした、地方6都市を回るGRAPEVINE club circuit 2015(以下クラサー)。その4本目に当たる10月24日長野CLUB JUNK BOXで、いつものように、のっけから期待を超えるステージに私は動揺してしまったのだが、今夜の目玉は何といっても10月16日の深夜、突然配信された新曲“EVIL EYE”の生演奏だ。配信と同日に公開された、話題騒然のPVを再現するかのように、ステージが七色の照明に照らされ、ホテルの一室に仕立て上げられる。そして始まった“EVIL EYE”は、意外にもシンプルなロックンロールだった。持ち前のグルーヴを最大限に活かしたバンドサウンドが豪快に畳み掛け、田中は突っぱねた態度で歌う。サビではイービルポーズを決めた腕がじゃんじゃん上がり、フロアの熱気も最高潮。彼らのライヴで汗ばむ感覚が久しぶりで「なんだ、まだまだいけるじゃん」と思わずニヤついてしまった。

それもそのはず。今年の1月にリリースされた最新アルバム『Burning tree』は、年齢を重ねたことを強く意識した、田中のリアルな心情が綴られた作品である。彼らの描いた世界に、どこか重苦しさが否めない中でも、今回披露された全4曲(“Big tree song”“MAWATA”“KOL”“IPA”)はフェス等でも良く披露される外向きな選曲だった。その中でも『Burning tree』以前の曲とも見事に絡み合い、壮大な世界を描いていたのがアルバムの核とも言える曲“IPA”だった。“壁の星”“SEA”と続く前衛的な流れに寄り沿いながらイントロが鳴らされると、フロアは神聖な空気に包まれる。何より、5人のアンサンブルがいつになく力強かったのだ。響き渡る亀井亨のドラミングも、金戸覚が爪弾く低音も、高野勲の鍵盤も。円熟が滲み出る西川弘剛が奏でたギターソロには、溜息が出た。老いていく現実を目の前に、音に救いを求める耽美的な空間を創り上げたのが、6月のツアーファイナル。ところが、解放感とともに、現実を突き返すような田中の歌からは、彼らにとって既にそこは通過点でしかなくて、新たなモードに入ったことを予感させるものがあった。

このクラサーの楽しみの一つが、アルバムツアーやフェスでは滅多に披露されないレアな曲が聴けることだ。ライヴがクライマックスに向かう途中“100cc”(2001年発売のシングル“Our Song”のc/w)の登場には悲鳴にも近い大歓声が上がった。そしてこの曲がフックとなり、フロアの熱気が急上昇。田中が今にも泣き出しそうな顔で“その未来”を熱唱し、スケール感のあるバンドサウンドを響かせた“Glare”と続く。尋常ではないエモさが充満する会場は、かつてフロントエリアにモッシュが起きていたライヴの記憶と重なるものがあった。しかし、彼らが出したアンサーは<どこまでも先を描いてゆく(“風の歌”)>という確かな決意を誠実に聴かせ、ライヴを締め括ったのだ。そして、5人が立つステージには、若かりし時代さえ飲み込んでしまうほどの寛容な空気が溢れていた。

例えば、活動初期に発表した曲を発売から20年近く経った現在の彼らが演奏しても、何の違和感を感じないことがそうだが、そもそもGRAPEVINEとは早熟なバンドであった。そして、所謂音楽シーンから一線を引き、独自の世界観を築き上げた長い軌跡を振り返ってみると、この日私が見届けたGRAPEVINEの姿は、本人達が理想とするバンド像にかなり近いのではないかと思った。大胆に鳴らされ続けた成熟味のあるバンドサウンドに、何度も恍惚としてしまった約2時間。キャパ400人の小さなライヴハウスだからこそ味わえた臨場感も相まって、私は彼らの揺るぎないロックバンドへのロマンを強く感じたのだった。

追伸。『GRAPEVINE、秋の名曲選』と題されたアンコールは、あたたかなオレンジ色の照明に包み込まれた、秋実りを感じさせる、味わい深い時間だった。ラストの“ふれていたい”では「善光寺!」というコールが入り、翌日、善光寺に向かう道中のお供には、もちろん彼らを選んだ。

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(セットリストはこちらのサイトからどうぞ)



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by musicorin-nirock | 2015-11-04 21:53 | LIVE | Comments(0)

10/24 GRAPEVINE @長野CLUB JUNK BOX -club circuit 2015(番外編)-

後日きちんとしたライヴレポートをアップする予定なので、こちらでは番外編をお送りします。



***

GRAPEVINEの毎年ほぼ恒例?で開催されるclub circuit (通称:クラサー)。今年は9月に野外コンサートが行われた東京と大阪の2都市を抜かした地方6都市(広島、福岡、名古屋、長野、仙台、札幌)を回り、残す所は仙台と札幌の2ヵ所であり、只今絶賛開催中。今回私は在住している関東から一番行きやすいと思われる街、長野へと向かいました。北陸新幹線で約2時間だったので、関東近郊にお住まいのバインファンの方がたくさん集まっていたのではないのでしょうか?

12時過ぎに長野には到着。お昼にお蕎麦を食べ、駅ビルで翌日の朝ご飯を買って(お焼きと林檎ジュース)、ホテルでのんびりした後に会場へと向かいました。

長野CLUB JUNK BOXは長野駅から徒歩10分足らずで行ける距離だったような・・・長野駅で降りたことが初めてであり、慣れてない場所なので定かではありませんが、そう遠くは無かったです。『again』というショッピングビルの7階に位置する長野CLUB JUNK BOXの壁には、バンドのフライヤーやらステッカーが隙間なく張ってあって、それだけで私はテンション上がる!!何よりもキャパ400人という狭い箱で、天井も低く、久しぶりに『THE・街のライヴハウス』という場所でのGRAPEVINEのライヴに大興奮しておりました。

定刻の18時を少し過ぎた頃にメンバー登場。ライヴはスタートします。

曲などについては一旦置いておき、それ以外でライヴを観ていて気付いたことを。Vo&Gの田中和将さんは、ほんっと~に良くお客さんを観てます。これにはびっくりしました。お客さん1人1人の表情を確かめているようでした。ライヴ中、ヴォーカリストの方は目線をPAさんに持って行くと良く聞きますが、彼の場合は違いますね。しかも、これまたにこやか~に歌うもんだから、目が合ってしまったもんなら本気で照れます。(それが勘違いだったとしても、彼の笑顔を観ているだけでも、照れてしまいます)。

そして、デタラメ言うのもほどほどにしないと怒られますよ…と内心思いつつも「田中さん、丸くなったよな~」としみじみ思ってしまったのがMC。先日、突然配信された“EVIL EYE”。話題のPVはご本人の私生活らしく(デタラメですよね?!)、またサビの♪確かめるぜ~イェッで決めるEVIL ポーズは相当お気に入りのようで、突然歌い出してはこのポーズ決める。この悪ノリ感はまるで小学生。あ、奈良県もお気に入りのようでしたね。お酒も入っていたこともあり終始ご機嫌で、突然♪フフフ~ンと鼻歌歌っちゃうし。あとはもう、いつものお決まりのパターン「長野にはもう二度とこないぜ~」とおっしゃられておられました(勿論デタラメ)。しかも、本編最後の曲が終わりステージをはけるときに、紙コップに入っていたお酒を、田中さんうっかりこぼしてしまって。「アンプにはかかっていない」とか云々言いながら立ち去って行きましたけど、ローディーさんがすぐにタオルで拭いてました…。

「マイペースにやらせてもらっています」とMCで話していた通りの(笑)驚く程のマイペースっぷりを発揮していましたが、決めるところはガツン決める。音楽へのプライドは、申し分なく演奏でガッツリ味わってしまいました。

そんな大らか過ぎる田中さんとライヴの雰囲気に「こいつらならわかってもらえるやろ」というファンに対して確固たるものが、今、あるんだろうなと思いました。私達リスナー1人1人の心の中にもあるように。言葉にするなら「信頼」。もう、そうとしか考えられないです。

最近のライヴや音楽全般のムードは、「皆で共有すること」が強いられている流れにあると思います。私はこの「皆と共有すること」で覚えた感動に救われてきた部分もあるので、一概に否定はできないけれど、長野CLUB JUNK BOXのライヴを観終えて、GRAPEVINEが提示し続けているライヴスタイルを改めていいなと思いました。ハンドウェイヴもシンガロングもなし。皆で一斉にジャンプなんて確実にしない。それでも、GRAPEVINEの音楽を聴いた一人一人が、思い思いに感じるものが彼らからのメッセージならば、それは本人だけにしかわからない特別なもの。それって、とても素敵なことだと思いました。音楽の本質的な部分の一つだし、何より心が豊かになる。夜にツイッターでも呟いたけど、本当に「GRAPEVINEを知らないなんて勿体ない!」と思いました。だから、一人でも多くの人に手に取ってもらいたい。

そんな思いで、今もいます。もしも、私にできることがあるのなら、できる範囲でGRAPEVINEについて伝えていけたらと思います。


***


最後に。私は年齢の半分つまり人生の半分の時間GRAPEVINEを聴いていることに、つい最近気付きました(遅い)。高校生の頃から聴き始めたのですが、社会人1年目から30歳を迎える8年間は、取り敢えずCDは買ってライヴに行くことが習慣にはなっていたけれど、今のような熱心さは正直ありませんでした。音楽は常に流れている生活でしたが、とにかく自分の事が忙しくて、精神的にも肉体的にも余裕ゼロ状態で。前回「GRAPEVINEは心の特効薬」とライヴレポートに書いたように唯一の救いが彼らの音楽でした。

それでも、その精神的にアップアップな8年の間に耳にしていた曲を聴くと、思い起こされる記憶や感情が、実はたくさんあったことを思い知らされます。自分のことは勿論、印象的だった彼らのライヴのこともそう。どんどん、引っ張り出されます。

長野CLUB JUNK BOXでの私は、次々と披露される曲と、それを聴いたことで思い出した記憶を照らし合わせる作業を、自然と繰り返していました。まるでバンドと会話をしているような感覚で、当然ながら忘れていた感情がいくつも蘇りました。そして、とある曲を聴いたときに「私このままでいいんだな。大丈夫じゃん」と思うことが出来きました。悪戦苦闘の8年の間に出会った大切な一曲を聴きながら、これまでに、数多く色々なアーティストのライヴに行ってきたけど、自分の人生が絡みまくっているからこそ、一番自分らしくいられるライヴがGRAPEVINEなんだよなと思えました。

とても貴重な時間を長野で過ごすことができた私は「自分の夢に向けてがんばろう」と誓いました。諦めかけてはいたんだけど、でも、いつかまた何年後かにその曲をどこかで聴いたら、長野での出来事を間違いなく思い出すことになるはず。後悔はしたくない。だからその時までには、2015年10月24日に立てた誓いを果たせている自分でいられますように。勇気を出そうと思います。







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by musicorin-nirock | 2015-10-26 22:55 | LIVE | Comments(2)

9/12 GRAPEVINE@日比谷野外大音楽堂

数日前の大雨が嘘のような晴天に恵まれ、会場に到着するとセミの大合唱が私を迎えた、2015年9月12日。6年ぶりのGRAPEVIVE、日比谷野外大音楽堂ワンマンライヴ。

最新アルバム『Burning tree』の1曲目を飾る“Big tree song”でライヴの幕が上がり、“放浪フリーク”“真昼の子供たち”と、いつになく優しい空気が会場には広がる。オーディエンスを見渡しながらにこやかに歌う田中和将(Vo&G)を観ていると、自然と微笑み返したくなるほどの幸福感で胸がいっぱいだった。そして、亀井亨(Dr)が力強くドラムを叩き出し、西川弘剛(G)が眩い光のようなギターを鳴らし始めると、バンドのギアが切り替わったことがわかる。4曲目は“Glare”。<たかが満ち足りた世界で/胸がいっぱいになって/見たろ光を/走り出したくなって正解だ>と精いっぱい歌い上げる田中の声は、拭い切れぬ哀しみを歌い続けてきた過去よりも、ただ今を「生きたい」というひたむきな意志が強く感じられるものだった。そんな彼を後通しするかのように、生命力溢れるバンドサウンドが会場一帯包み込むと、ライヴはまだ始まったばかりなのに私は涙が止まらない。しかし、強烈な余韻を残しながらも、奇天烈なギターリフを皮切りに始まった“コヨーテ”がブルージーな世界へと導き、金戸覚(B)の低音が炸裂する“冥王星”でフロアは熱を帯びていく。そこにノスタルジックな風を呼び込んだのは1997年リリースの1st Single“そら”。色褪せるものなど見当たらない。ただ、彼らの軌跡を感じさせるどっしりとした演奏だった。

曲の合間にビールの進む手が止まらない田中のMCは「飲めよ飲めよ」と言わんばかりに、売店の閉店時間が19時半までとご丁寧に何度もアナウンス。また、今のうちにビールを買っておけよと促す内容で大半が占められていた(笑)。そして、田中が一通り話し終えるとメンバー各々体制を整えバンドは演奏をスタート。先ほどまでとは別人のように、田中は歌い始めるのである。あまりに大らかにステージを進めるその様は、驚くというよりも、私は「さすがだ」としかもう言えない(笑)。例えば自身の生き様や、ロックバンドの在り方をMCを使って語り始めるバンドマンは数多くいる。ところがGRAPEVINEの場合は、この通りほとんど皆無である。彼らが腹の奥底に抱える情熱は、鳴らされるサウンドだけで存分に表現できてしまうのだ。その姿勢が顕著に表れていたのが”無心の歌”から始まった本日のディープゾーン。中でも一際異色を放っていた“SEA”は圧巻だった。重みのある鍵盤を高野勲(Key)が奏で、ゆったりとした波のようなアンサンブルが続く。ギリギリの精神状態を、冷めた表情で淡々と田中は歌い、どことなく漂う緊迫感。いつの間にか、催眠術にかけられたかのように、私の体は硬直し始める。この曲の前後に数曲演奏されているのだが、記憶と呼べる記憶が、私には正直見当たらないのだ。派手な演出などなかった。ただ、5人で紡ぎ出す音の引力によって、心が蝕まれてしまい、平常心を取り戻すのには、しばらく時間が必要だった。

だからきっと体内にアルコールを入れつつ、緩めのMCを挟んだほうが、メンバーもオーディエンスも精神的に楽なのかもしれない。「どうぞ皆さんご自由に今日のライヴをお楽しみ下さいね」ーーこれがGRAPEVINEお決まりの(暗黙の了解に近い)ライヴスタイルで、オーディエンスの様子も自由。会場は指定席であったため立って観ている人はもちろん、座って観ている人もチラホラいる。途中、席を外していた人を見かけたが、果たしてビールを買いに行ったのだろうか(笑)。曲の合間にそっと辺りを見回すと、GRAPEVINEを長年聴き続け、彼らと共に歳を重ねてきたであろう、いい大人の顔ぶればかり。その雰囲気に「ほっ」と安心していた、私もGRAPEVINEと共に歳を重ねてきた一人。

「日比谷に捧げる”This town”!」とお馴染みの前振りからの後半戦は、久しぶりに夏の暑さを取り戻したこの日のための“夏の逆襲“から、”KOL”“ GRAVEYARD”とオーディエンスを再び沸き上がらせて行く。そこにストンと落とし込んで来たのがPermanents(田中の高野のユニット)では最近では良く耳にしていた“smalltown,superhero”。田中の少年時代を歌う曲ではあるが、緻密なアンサンブルに乗る歌声には、現在の父親としての表情を覗かせていたような気がした。そして、本編ラストは“超える″。バンドの生き様をまじまじと見せつけるかの如く、ダイナミックなサウンドが大都会の夜空に響き渡る中<今限界を超える/そのくらい言って良いか>とガツンと決めた最後のサビ。その時、私は彼らのことを心から誇らしく思った。

私にとってGRAPEVINEとは心の特効薬である。ロックバンドに興味を持ち始め、彼らと出会った10代後半から15年以上、GRAPEVINEのサウンドがとことん心に効くことで何度もピンチを乗り越えてきた。そして、いつのまにか私の人生の節目には必ずGRAPEVINEが側で鳴っていて、切っても切れない不思議な縁が出来上がってしまっていた。ただ、彼らと同時期に出会い好きで聴いていたバンドのいくつかは、残念ながら既に解散をしている。この現実をふと思い出し、GRAPEVINEに出会ってから17年後、私がこの日を迎えられたことは奇跡のようなものだと気付くと、“超える”が演奏されている最中、急に感慨深さに襲われた。自らの表現に対する使命感を持ち、着実に可能性を広げながら、天邪鬼な姿勢を貫き続ける孤高のロックバンドは、メジャーデビューから18年間、時に荒波に揉まれながらもぶれることなく続いている。それを確信づけるかのように<今限界を超える/そのくらい言って良いか>と放てる姿は、あまりに格好良すぎるだろう。目から涙はこぼれなかった。しかし、私は胸の高まりを抑えることができなくなっていた。

温かな拍手に迎えられアンコールのステージに登場したメンバー。すると聴き覚えのあるベースのイントロに、ふわりと歓声が上がった。1曲目は“君を待つ間”。離れて暮らす恋人に向けた苦くも瑞々しい想いを、酸いも甘いも知ってしまった四十路を越えた主人公が当時を懐かしむよう歌う姿は、オーディエンスの恋の古傷にも、ちくりと沁みるものがあっただろう。しかし次の“RAKUEN“で見せたものは、歳を重ね、背負わざるを得ない代償をシリアスなロックンロールで提示していく姿だった。そしてアンコールのラストは“ふれていたい”。これが、最大級の多幸感に包まれた、どこまでも優しいエンディングだったのだ。思い返してみると、今から14年前に私が初めて行ったGRAPEVINEのライヴには今のような緩さはなかった。フロアから黄色い声が上がっても、メンバーはどこか素っ気なかった。しかし、メンバーも歳を重ね、彼らを聴き続けてきたオーディエンスも、同じ年数歳を取った。それを互いに確かめ合えたからこそ、緩さの中にも身をわきまえた心地よい大人のグルーヴが、日比谷野外大音楽堂には溢れていた。そして、「ファンと共にこの時まで歩いて来た」という想いが彼らにあるのならば、それがGRAPEVINEにしか鳴らせない「優しさ」なのだろう。「みんなで同じ方向を向かない(田中のMCより抜粋)」バンド、GRAPEVINEではあるが、サビの<ふれてイエーいよう!>の部分では自然と沢山の腕が上がっていた。その全てに応えていくよう、笑顔で歌い続ける田中を観ていたら、そう信じずにはいられなかった。


***

10代の頃からの憧れている人たちが、今も変わらず現役で新しい音楽を生み出し、ステージに立ち続けていることは、驚くほどの莫大な力を私に与えてくれる。そして、今回の日比谷野外大音楽堂ワンマンライヴで、この関係はきっとこれからも、ずっと続いていくのだと確信し、GRAPEVINEと出会えたことへの感謝の気持ちでいっぱいだ。


SET LIST
1 Big tree song
2 放浪フリーク
3 真昼の子供たち
4 Glare
5 コヨーテ
6 冥王星
7 そら
8 無心の歌
9 MAWATA
10 おそれ
11 壁の星
12 SEA
13 愁眠
14 This town
15 夏の逆襲
16 KOL
17 GRAVEYARD
18 smalltown,superhero
19 超える

ENCORE
1 君を待つ間
2 RAKUEN
3 ふれていたい


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by musicorin-nirock | 2015-10-24 00:03 | LIVE | Comments(0)

7/18 田中和将(GRAPEVINE)+高野寛@Zher the ZOO YOYOGI

ラジオパーソナリティの中村貴子さん主催の“y's presents 『貴ちゃんナイト vol.7』”へ行ってきました。出演は、カミナリグモ、田中和将(GRAPEVINE)+高野寛、高野寛の3組(出演順)。中村貴子さんと馴染みのあるアーティストによる、キャパ300人にも満たないライヴハウスでの過ごした約3時間は、予想以上に贅沢な時間となりました。いやぁ、貴子さんありがとう(笑)。私は高校生の頃に、中村貴子さんがDJを務められていたNHK-FM「ミュージック・スクエア」を毎晩聴いてまして、この番組のおかげで多くのバンド・ソロアーティストを知り、今回出演された田中さんのバンド、GRAPEVINEとも出合いました。多分、このラジオと音楽雑誌「ロッキン・オン・ジャパン」が無ければ、今の私ない、と言い切れるほど思い入れの強い番組で、妙にノスタルジーに浸りながら一人家路につきました。

では、個人的メインであった、田中さんと高野さんのステージについてのレポートを以下記載します。

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いつものように白シャツ姿で田中和将は現れた。相変わらず飄々としていて、リラックスしているようにも見えたのだが、今夜はGRAPEVINEではないし、勿論Permanentsでもない。大先輩・高野寛との一夜限りのユニットであり、ドラムに高野とのコンビでもお馴染み宮川剛も加わった3人編成のステージである。いつもよりMCが控えめに聞こえたのは(それでも良く話すようになったのだけれど)、やはり緊張していたのだろう。

1曲目。田中が突然歌いだしたのは“光について”。抱えたアコースティックギターを荒々しく鳴らし、力強い歌声を上げた。高野と宮川の鳴らすソリッドなアンサンブルに導かれ、男らしく、ブルージーに化けている。「挨拶代りに」と曲紹介をしていたが、そのわりには随分渋い。元々曲に存在する繊細さをいい意味で打ち消し、今の田中にしか歌えない”光について”であった。

「GRAPEVINEやPermanentsではやらない曲をやります」という事で、続いたのは“また始まるために”と“鏡”である。オーディエンスからの久しぶりに聴くことができた高揚感がフロアには終始漂う。高野はギターを弾いたり沢山セッティングされた機材をごそごそ操ったりと、何かと忙しそうであったが、彼の柔らかな歌声が田中の声に重なると、一層歌の世界が広がった。つまり、演奏する人や歌う人によって曲に新たな色が加わり、また違う一面を聴き手に見せてくれるのだ。次から次への新しい曲が生まれる世の中で、これは古いやり方に映るのかもしれないが、別の魅力を引き出せるとは、長年経験を培い、リスペクトされ続けてきたアーティストだからこそ、なせる業なのだろう。

田中自身、高野の曲は好きでよく聴いてきたそうだ。「あまり聴いていない人からには感じないんですけど、聴いてきた人なので(高野からの)圧が…(苦笑)」と言いつつもにこやかで、とても嬉しそうだった。続いては高野がVocalを務めたトッド・ラングレンのカバー"I Saw The Light"(日本語歌詞Ver)。田中のリクエストで決めた曲らしく、彼がギタリストに徹する姿も新鮮だ。そして、再び田中のステージへ。私自身、何年振りに聴いたのか正直思い出せない、しかし貫禄に満ちた"フラクタル"と、最後の曲の“TWANG”は、3人のアンサンブルと田中の歌が胸に迫る勢いで、圧巻のパフォーマンスだった。

憧れのミュージシャン、大好きなバンド。そういった自分のルーツに近づくために、まずは「似させよう」と必死に努力するのだろう。そして、経験を積むことで、その努力が血となり肉となり、いつの間にか自分自身として表現できるようになる。今日の田中のパフォーマンスは、まさに今述べたまんまである。CDで聴く声の初々しさは彼にはもうないが、年齢を重ねたからこそ歌える歌がある。40代の哀愁漂うブルージーな”光について”は、リアルタイムで聴いていた頃よりも妙に胸に染み入る声だった。

そして、一夜限りのユニットとは言わずに、またいつか実現してほしい。


set list
1 光について
2 また始まるために
3 鏡
4 I Saw The Light
5 フラクタル
6 TWANG


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by musicorin-nirock | 2015-07-19 00:00 | LIVE

GRAPEVINE TOUR 2015 ファイナルを迎える前に

 5月6日の横浜Bay Hallで私が観たものは、GRAPEVINEの円熟が大胆に放たれた、物凄い説得力のあるライヴだった。一人一人の心に情景を描くというよりも、GRAPEVINEの現在地をまんまと確かめさせられてしまった。まるで彼らが演奏した曲の全てが、最新アルバム『Burning tree』の世界に封じ込まれたようだった。「これが今年のGRAPEVINEです」。田中和将(Vo&G)はライヴ序盤のMCでこう述べたが、本当に彼の言葉通りだった。

 4月3日のツアー初日。赤坂BLITZのステージでは、バンドとオーディエンスの両者に緊迫感が漂い、演奏には若干硬さが感じられた。個人的にはセットリストもイマイチ腑に落ちず、歯痒さが残ったまま会場を後にした。しかし、4月末に開催されたARABAKI ROCK FEST.15でアルバム収録曲である“IPA”をラストに聴いた時、その手応えは、想像を超えるものだった。ワンマンライヴに比べたらかなり短い演奏時間であったし、『Burning tree』からはたった3曲しか披露されかった。でも、最後の最後で、今、大きな変化がGRAPEVINEに訪れていると、私は確信したのだ。

 そして迎えた横浜Bay Hallのステージで、彼らにガツンと魅せつけられてしまったのだ。勿論『Burning tree』収録曲以外の曲も演奏され、最初期のナンバー始まるとフロアから上がる歓声からは、例え時が流れても、彼らの音楽は色褪せることなく愛され続けていることを、改めて実感させられた。しかし、私はノスタルジーに浸る余裕などなかった。彼らがこれまでに産み出してきた楽曲の延長線にあるのが『Burning tree』であると気付くと同時に、この時点でツアーの集大成を、既に観たような気がしてならなかった。

 私は赤坂BLITZのライヴ後に、GRAPEVINEの全13枚のオリジナルアルバムを、発売された年代順に聴いてみることを試みた。軽い思いつきでもあったが、『Burning tree』を理解する為にはやはり必要な作業だと思ったからだ。デビュー当時の楽曲は、ルーツロックや黒人音楽の匂いが強い。そして昨年再現ライヴも行われた『Lifetime』ではUKロック調のギターサウンドを強く打ち出し、バンドは急成長を遂げる。リーダー西原誠(B)の不在/脱退がもたらした混沌と淋しさを抜け出し、サポートメンバーが加わった5人体制で、試行錯誤を繰り返しながらも、着実に一段ずつ階段を上り続け、現在のGRAPEVINEを確立させて行く。また、作詞の面では、田中が自らの過去と対峙したことで、1人の人間としての成長劇と、そこからのヴォーカリストとしての覚醒が、ダイナミックなサウンドと共に描かれている。そして最後に『Burning tree』を聴き終えた時、彼らがこの作品に辿り着いた理由が、私はようやく理解出来た気がしたのだ。

 GRAPEVINEのロックに「わかりやすさ」は存在しない。GRAPEVINEのロックは「わかりづらさ」が美学であり、近年は聴き手を困惑させることすら、彼らは楽しんでいるようにも感じられる。つまり、受け止め方はリスナーの自由で、委ねられているわけだ。ならば、私は今彼らが一体何を見せ、聴かせ、伝えようとしているのかを、5月6日の横浜Bay Hallから一ヶ月経った6月6日の豊洲PITで、改めて考えてみたい。GRAPEVINE、13枚目のオリジナルアルバム『Burning tree』と纏めてしまえばそれだけだ。しかし、人間の深い部分にまで届くこのサウンドは、デビューから18年間、常に音楽の本質を鳴らし続けてきた彼らだからこそ産み出すことができた。そして、このアルバムがリスナーにもたらすものは、かけがえのないメッセージとして生き続けると思うのだ。


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by musicorin-nirock | 2015-06-02 12:04 | COLUMN

ARABAKI ROCK FEST.15 / GRAPEVINE

4月25日から2日間に渡り開催されたARABAKI ROCK FEST.15の会場には、7つのステージがある。その中で唯一の屋内ステージが花笠だ。GRAPEVINEは今年、2010年のARABAKI以来5年振りに、ここ花笠に立つ。

彼らが出演するARABAKI2日目、4月26日は、前日に比べ日差しが強く、一気に夏を呼び寄せたような暑さだった。午前中から会場をほっつき歩いていた私は、この暑さに体力を消耗され、まだまだ続くライヴのために屋内ステージで少しゆっくりしようと一足早く花笠に向った。すると、ステージにはCHABOこと仲井戸麗市率いるCHABO BANDのライヴが始まっていた。私はこの時、休むつもりで向かったはすなのだが、バンドの音を耳にした瞬間に、完全ノックアウトされてしまった。仲井戸は自分自身が楽器となり、自由自在に音を操っている。彼が産み出す重みのあるグルーヴに、私の体は勝手に動きだし、仲井戸の人生が練り込まれたブルースには、思わず目頭が熱くなる。そしてステージを見渡すと、仲井戸らの名演を舞台袖で楽しむGRAPEVINEのメンバーの姿が見えた。下を辿ると田中和将(Vo&G)は、中学2年生の頃に仲井戸に憧れギターを購入した事を、先日発売された『ロックンロールが降ってきた日3(㈱スペースシャワーネットワーク)』 で語っていた。少年時代に憧れたミュージシャンが、今目の前でギターを弾き、歌っている。そしてこの後、自分も同じステージに立てる事は、ミュージシャン冥利に尽きるに違いない。

仲井戸が去った後の花笠は変わらずテンションが高かった。サウンドチェックのためにステージに現れたGRAPEVINEメンバーも、時折オーディエンスに茶々を入れたりとご機嫌だ。そして、開演時刻を5分ほどオーバーした頃に、彼らはビール片手にリラックスした面持ちで、再びステージに現れた。


1曲目は“光について”。芳醇なギターのイントロが花笠に響き渡り、ノスタルジーが漂う中でも、彼らの「今」が感じられる音だった。たっぷりとしたバンドサウンドは、オーディエンスの心をぐっと引き寄せる。そして次曲“疾走”へと続くと、私の目の前にあるステージが涙で滲んでしまった。<まだ未来は空っぽのままで 新しい予感に泣きそうだぜ>という衝動と、ダイナミックな曲展開が、四十路を超えた大人たちが、まさに仲井戸に憧れていた10代の頃のピュアな気持ちのまま、バンドと向き合う姿を曝け出していたからだ。田中の身を振り乱しシャウトする姿も、西川弘剛(G)が鳴らし続けるエレキの音も、亀井亨(Dr)が刻む迫力あるビートも、いつにも増してリアルに迫ってくる。その勢いに乗って、前のめりに攻めてきた“KOL”。持ち前の成熟尽くしたバンドサウンドからは貫録が感じられる。しかし、モッシュが起きてもおかしくない程のフロアの大盛況ぶりは、狭いライブハウスでぎゅうぎゅう詰めになりながら、彼らのステージを観ていた頃を、ふと私に思い出させた。

ここで最新アルバム『Burning tree』より“Weight”が披露されると、花笠は一気にアダルティな空間へと変わる。高野勲(Key)の鍵盤と田中のアコギが絡み合うアンサンブルが、しっとりとフロアを包み込み、田中は祈りを込めるかのように優しく歌い上げていく。「そろそろ、おねむの時間でしょ?寝てもいいんですよ?」なんて曲前のMCに、くすくすと笑い声を上げたオーディエンスも、食い入るようにステージに視線を向けていた。ヒットシングルで始まり、アッパーなロックを立て続けにチョイスした、GRAPEVINE初心者にも優しいセットリストだったが、ライヴ中盤に差し掛かった所で、嫌味もなくミディアムバラードを持ってくる。そんな彼らの姿は、肩肘に力が入るわけでもなく、とても堂々としていた。

続けて、ファンキーに聴かせた“SOUL FOUNDATION”。活動初期の頃の楽曲が披露される嬉しいサプライズに、フロアのテンションもヒートアップ。オーディエンスとメンバーとの間には一体感が生まれていく。そこに鋭く“ Reverb”が切り込むと、熱狂的な歓声が上がった。金戸覚(B)の低音が拍車をかけように、ぐらんぐらんとフロアを揺らし熱気は更に上がっていく。

そしてラストは再び『Burning tree』から“IPA”という、ツアー中ならでは締め括りだった。先日、赤坂BLITZで初めて聴いたときよりも、サウンドに深みが増し、揺るぎないものが感じられた。歌い続ける中で、新たに生まれた田中の感情が、注ぎ込まれているのだろうか。まるで、GRAPEVINEの「現在地」をここARABAKIの地に刻み込んでいるようだった。特にエンディングにかけての盛り上がりは、この先も続くであろう彼らの道程が、柔らかな光に照らし出されていくようで、私は言葉を失った。

メンバー全員40代を迎え、楽曲に対して向き合い方が確実に変わったことをアルバム『Burning tree』は物語っている。よって、近年リリースされたGRAPEVINEの作品の中でも群を抜いてリアルだ。そのリアルが、彼らより下の世代を生きる私には、理解しがたい部分でもあった。しかし、ここARABAKIで、彼らはまだ熱き音楽への情熱を抱えながら、自らの積み重ね上げてきたモノを踏まえ、更に次なる新しい道を今再び模索し始めている事を、私に教えてくれた気がしている。それは、ツアーを続けていく中で、それぞれの心境に変化が訪れ始めている証でもあるが、やはり憧れのCHABO BANDのステージが、彼らに何か気付かせたのかもしれない。彼らの中に存在する、10代の頃の自分が引き出された、今のGRAPEVINEの鳴らすサウンドは、映画のようにドラマティックだった。


set list
1 光について
2 疾走
3 KOL(キックアウト ラヴァ―)
4 Weight
5 SOUL FOUNDATION
6 Reverb
7 IPA


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by musicorin-nirock | 2015-05-02 12:00 | LIVE

4/3 GRAPEVINE TOUR 2015 @ 赤坂BLITZ

※若干ですがライヴ内容について触れていますので、閲覧にはご注意ください。(セットリストの記載は控えます。)










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by musicorin-nirock | 2015-04-04 22:42 | LIVE

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