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“Howdy!! We are ACO Touches the Walls”LIVE at Billboard Live TOKYO / NICO Touches the Walls



NICO Touches the Walls 初のビルボードライブのLIVE DVD『“Howdy!! We are ACO Touches the Walls”LIVE at Billboard Live TOKYO』が遂に発売された。今年の2月、バンド初のアコースティックアルバム『Howdy!! ACO Touches the Walls』をリリースし、アルバムの再現ライヴでもあったステージの第2部の本編とアンコール、そして第1部のアンコールの模様が収録されている。

先日終了したばかりの『まっすぐなツアー』でも、光村龍哉(Vo&G)がアコースティックアルバムが彼らにとって、いかに大きな存在であったか、MCで力説していたことは印象深い。実際、このビルボードライヴ後に通常のバンドセットでの演奏を久しぶりに観た時(3/5新木場COASTで開催されたNICOフェスト) 、ステージに立ったメンバーの佇まいが見違えるほどに変わり、バンドサウンドも歌声も、よりリスナーに近い場所で鳴らされていたことに驚いた。

ひたすらバンドの過去と対峙してきた2014年。中でも、アコースティックアルバムの制作の過程で、自分達が産みだしてきた楽曲の素晴らしさに気付けた事が、とても大きな収穫だったのだろう。また、同年二度目の日本武道館にも立ち、バンドの節目をいくつか迎えることにもなった。その一連の流れの締め括りが、ビルボードライブになるのだろうと、DVDを観ながら私は思った。

アコースティックアレンジになると、曲本来の姿が顔を出す。そして、私達リスナーは、それまで見えなかった部分を知ることになる。今回のLIVE DVDの中で、光村が1人アコギを抱え弾き語った“バイシクル”は、個人的にアコースティックVer.を聴いた前と後で一番印象が変わった曲である。「圧巻」の一言に尽きる歌唱力。歌が上手い・歌が下手という枠組みを飛び出し、ただ、彼の中で燃え続けている熱い魂に触れたような、生々しい歌声。勢い良く坂道を駆け下りていくような爽快感あるギターロックの裏側には、歯を食い縛り、悔しさを飲み込み続けていた等身大のブルースが存在する。それを恥ずかしげもなく見せたことで曲に説得力が付き、リスナーとの距離感も更に近づいたのではないだろうか。

しかし、このバンドの面白さは、原曲とは一味違った世界を創造してしまうことだ。よって、アコースティックアレンジとはいえ、原曲よりも大幅に雰囲気が変わった曲ばかりである。また、メンバー4人で行うドラムセッションや美しいコーラスワークなど、メインパート以外にも力を入れており、一人一人のアーティストとしての成長もよくわかる。キャリアを重ね、進化を遂げている証ではあるが、観ていて嫌らしく映らないのは、彼らの根本にあるものが「音楽が好き」という純粋な想いだからだろう。憧れたビルボードライヴのステージに立つ4人を観ていると、会場に集まったお客さんよりも、まずはメンバー自身が誰よりも楽しそうなのだ。その空気感が、思いっきりわかるLIVE DVDになっている。

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by musicorin-nirock | 2015-08-01 10:47 | LIVE DVD

7/11 NICO Touches the Walls @ 広島BLUE LIVE

ライヴ内容に触れていますので、閲覧にはご注意ください。


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by musicorin-nirock | 2015-07-17 22:00 | LIVE

“まっすぐなうた” / NICO Touches the Walls



こんなに首を長くして、彼らの新譜を待ちわびたのは初めてだ。ツアー初日の豊洲PITで、初めて"まっすぐなうた"を聴いて以来、「遂に来たな!見せたな!聴かせたな!」という手応えが、もの凄く私にはあった。

先日アップした富山MAIROのライヴレポートでも、この曲について色々と書いたけれど、改めて歌詞の一部始終を読んでみたら、その内容に驚いた。光村が今まで書いてきた歌詞の中でも、ここまでストレートなものは見たことがない。

いや、強いて言うならば、昨年リリースされた“天地ガエシ”ぐらいだろうか。「リベンジソング」と恥ずかしげもなく掲げ、そうして自分達にムチを打たなきゃ、二度目の武道館ライヴは納得のいくものには出来なかったはずだし、また、付け加えるなら、この武道館の翌日発売というタイミングで、曲が産まれて15年近くお蔵入りしていた“TOKYO Dreamer”を世に放つことが出来たことで、10代のピュアな気持ちで音楽と向き合う姿を、リベンジ出来た自分達を重ね合わし、新たなステージに立つことを宣言できたのだから、“天地ガエシ”が彼らに与えたものは、とてつもなく大きい。

でも、“まっすぐなうた”は、この流れを覆してしまうほどに「1人のミュージシャンとして、1人の人間としてこうありたい」という光村の正直な姿が描かれている。というか「ここまで言ってしまっていいの?」と思う部分すらある。

では、どうしてこんなにも曝け出してしまったんだろう?と考えてみたのだけど、一つはアコースティック・アルバムの存在であって、そしてもう一つが、バンドのキャリアが10年以上で立場が中堅に変わり、メンバー皆が今年に30歳になること。これは、かなり大きく関係していると思う。私自身も30歳を既に過ぎているからわかるけど、もう20代のような「若さのままに、勢いのままに」は確実に出来なくなる。30代というのは、若さだけでは許されなくなるからこそ、本気で「自分自身」で勝負していかなきゃいけない(私自身も修行中なので説得力には欠けてしまうけど、でも、)そういう年代だ。ただ、彼らの場合は、武道館リベンジとアコースティックアルバムによって、バンドの今までを振り返り、過去を認めざるを得なかった昨年があり、嫌でもそれには気付かされてきたと思う。だからこそ<間違ってた なんか全部間違ってた>と過去を否定できて、否定したことが自分自身を認めることになり、この曲はポジティヴなエネルギーで溢れている。前回のブログでも同じような事を書いたけど、この曲はバンド結成11年目のデビュー曲と言っても良いし、「本当は、俺はこうありたいんだ」という熱い想いを、20代最後の年に光村がようやく歌ったことで、バンドはこれから大きく変容すると思う。

例えば、この曲を光村1人で、アコギ一本抱えて弾き語ってみても、それはそれで「泣けるブルース」になりそうだけど、アッパーなビートで大音量のバンドサウンドを鳴らすNICO Touches the Wallsの方が、圧倒的な説得力がある。そして、光村にはこの曲だけは、大声で叫ぶように歌って欲しいし、10年後、20年後に、もしこの曲を歌う時があったら、多少体力的にしんどくても、そうであって欲しい。

正直、私はこのバンドに対して迷うときがあった。でも、この“まっすぐなうた”を聴いて、私の迷いが「間違っていた」ことに気付き、彼らの音が好きなことは、何も「間違っていない」ことに気付いた。

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by musicorin-nirock | 2015-06-24 21:19 | MUSIC

6/20 NICO Touches the Walls@富山MAIRO

5月21日、豊洲PITからスタートした「まっすぐなツアー」も折り返し地点を迎え、いよいよ後半戦に突入する。私が向かった富山は、初日の豊洲からちょうど1ヶ月後(正しくは翌日の新潟だけど)のライヴであり、NICO Touches the Wallsのバンド史上、初の富山ワンマンライヴ!という記念すべき日だった(しかも、今回のツアーで一番最初にチケットが売り切れたのも富山)。だからなのか、「待っていたよ!」と、彼らを迎え入れるお客さんの声や拍手がとても温かいものだった。しかし、ライヴが始まるとその温かさは、一気に熱さへと変わる。いや、シャレにならないくらいにライブハウスの暑さが尋常じゃなくて、ステージ上のメンバーも、まだ数曲しか演奏してないのに汗でぐっしょり。MC中に会場のドアを全開にして空気入れ替えたり、具合悪そうな人も数人見かけたし、ちょっと心配ではあったけど、でも、最初から最後まで会場を包む空気感は最高に良かった。

セットリストの内容は伏せるが、初日の豊洲とは数曲入れ替わりがあり、「NICOがどういうバンドなのか?」がとても良くわかるものだった。勿論、キラーチューンが始まれば一気に盛り上がる瞬間もあるけれど、もっとディープな部分。インディーズ時代の作品を聴くとわかるが、彼らがまとっていたあの空気感、孤独や皮肉などの、バンドとしての情緒的な部分もしっかりと打ち出しており、「聴かせること」を強く意識しているように思えた。また、これは初日の豊洲でも感じたのだが、「NICOの4人が曲を届けたい人は誰なのか?光村の歌う「君」や「あなた」は一体誰なのか?それは、目の前にいるお客さん1人1人であること」が、この日ではっきりとわかったし、今回のツアーの醍醐味と言っても良いかもしれない。

2月に発売されたアコ―スティック・アルバムの功績が、演奏や歌唱の面で大きなターニングポイントになったことは、バンドの音を聴けばすぐにわかったのだが、言うまでもなく精神的にも鍛え上げられ、NICOは大きく成長した。ただ、ここで間違えてはいけないのが、大人になったのではなくて、子供のような純粋さでリスナーと向き合えるくらい、素直になったということだ。

富山で聴いた“まっすぐなうた”は、NICOのバンドへの「初期衝動」を体感させるものだった。パンクロックで鳴らされるような、前のめりに攻める対馬ドラムが引き金となり、坂倉は聴き手の感情を撫でるようなベースラインで、バンドの大黒柱として力強く支え、メンバー4人の中でも常に先陣を切り続けてきたギタリスト古村が、青さいっぱいの音色を響かせ、汗まみれの顔をくしゃくしゃにして(彼が一番暑そうでした)、ギターを掻き鳴らし歌う光村。過去を懺悔する曲なのに、突き抜けるような爽快感が心地良く、馬鹿みたいに泣けて来てしまうのは、アコースティックで一度素っ裸にされ、バンドが抜け殻に近い状況のままで、この世に産み出された曲であり、ある意味デビュー曲に近いものが“まっすぐなうた”には存在しているからだ。そして、<間違ってた>と冒頭から歌えてしまうほどに、もう何も格好つける必要はなくて、素直に自分達を見せていけばいいとNICOが出した決断は、(これだけは強く言わせてもらうが)「間違っていない」し、結果的にNICOとリスナーとの距離感はぐっと近づいた。それは、富山MAIROに溢れていた温かさが一つだし、今まで彼らが回ってきた全国各地、どの会場にも「間違っていない」と言い切れる証拠があるんじゃないかと私は思う。

アンコールで光村は「また富山に来るっちゃ!」と富山弁で再会の約束を果たしたが、次に自分達が訪れるまでに「他のバンドに浮気されても困るから、最高の良い思い出を作りましょう!」と本音をぽろりとこぼし、最後にもう一盛り上がりしてからステージを去って行った。でも、もうリスナーがどこかへ行ってしまう心配なんて、今のNICOには要らないんじゃないかな?ステージで演奏する4人が放つ瑞々しさは、NICOが色々なモノを取り戻している証拠だし、未だかつて見たことないくらい4人が良い顔していたのは、このツアーに確かな手応えを感じているからだと思う。こんな4人を目の前にしたら、富山MAIROに集まった全員に、NICOの想いが届かないはずがないでしょう?確実に、集まったすべての人達を光(=音)で射し、そして、彼らの未来まで照らし出したような、最高の夜だった。

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by musicorin-nirock | 2015-06-22 21:56 | LIVE

5/21 NICO Touches the Walls @豊洲PIT

ツアー初日の雑感です。内容にも軽く触れていますので、閲覧にはご注意下さい。

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by musicorin-nirock | 2015-05-23 09:53 | LIVE

NICO Touches the Walls TOUR 2015“まっすぐなツアー”開催によせて

今年の3月5日、新木場STUDIO COASTで久しぶり観たNICO Touches the Walls のライヴで、想像以上に感動してしまった事を今でも鮮明に覚えている。この日は対バン形式で、1時間足らずの短い演奏時間だった。しかも、これまたバンドの“王道ヒットパレード”とも呼べるセットリストで挑んできた。この1年、彼らのライヴで何度も何度も耳にしてきた曲ばかり。それなのに。全ての曲が新鮮で、音と共に見える景色が全く違うものだった。メンバー一人一人の佇まいも何時に無く堂々として、背負っていた様々なものから、やっと解放された、とても良い表情をしていた。

帰りの電車で「バンドって、いいな。バンドってこんなにも変わることができるんだな」と、心の底から思ったのだ。

私が彼らと真正面から向き合い始めたのは、2012年の「1125(イイニコ)の日ライブ」だった。当時の彼らはまだ、自分達が抱え続けていた「葛藤」を表に出すことはしていない。いや、出すこと自体が格好悪い、ダサい…と思っていたのではないかと思う。とにかく「心地良い青年達が鳴らす、色鮮やかなギターロックバンド」というイメージが私にはずっとあった。

ところが、翌年リリースされた“Mr.ECHO”で光村龍哉(Vo&G)が抱える孤独なその胸の内を吐き出した。そしてそれが、結果的にバンドのターニングポイントになる(と思っている)。この“Mr.ECHO”が収録されているアルバム『Shout to the Walls!』は、全身全霊かけて壁にぶつかって行くが如く、ロックが全面的に強調された楽曲で勝負し、また、メンバー全員がソングライティングにも関わっており、過去4枚のアルバムよりも突出してバンド感が強く感じられる1枚となった。そして「灼熱のロックンロールナイト」と称され、忘れもしない、武道館のリベンジ宣言をした2013年の「1125(イイニコ)の日ライブ」に繋がった。

描いていた理想と現実の狭間で揺れに揺れ、でも、ようやく自らの足で立ち、前に進めるようになった。だからこそ、さらに自ら拍車を掛けるように2014年の年明け早々、一か月間ぶっ通しでライヴして(篭城型ライヴハウス「カベニミミ」)、その拡大バージョンのZepp ツアーまでも開催して、迎えた8月19日。二度目の日本武道館を終えたメンバーが見せたものは、笑顔。歓喜と共に彼らから漲る自信は、ロックバンドとしての神髄を手に入れた証だった。

2015年に入り、彼らにはご褒美が与えられる。それは、憧れのビルボードのステージに立てること。アコースティックにアレンジされた楽曲を携え、迎えた晴れの舞台を、今、思い返してみると、彼らが生み出した作品への愛情が、盛大に感じられる時間だった。本当に、全てを受け入れることができたのだろう。彼らが理想としていたことが、現実になったんだ。

こうして歩みを辿っていくと、一本の長い道が見えてくる。途中、上り坂も下り坂もあって当然だろうし、赤信号が灯りかけた時もあっただろう。それでも足を止めなかったことは、本当に素晴らしい。彼らが長年深めてきたことが、全てバンドサウンドとして放たれたから、私は3月5日のステージを観て思わず涙を流してしまったのだ。

明日から始まるツアーの前に、どうしても書き残しておきたかった。あまりにべたなツアータイトルだけど、笑っちゃうくらい似合っているよ。




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by musicorin-nirock | 2015-05-20 22:15 | COLUMN

3/5 ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ フェスト’ 15 @ STUDIO COAST

3月5日、新木場にあるライブハウスSTUDIO COASTにて開催された“ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ フェスト’15”。その主催者であるNICO Touches the Wallsのライヴレポートをお届けします。


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客電が落ちると凄まじい歓声が上がった。アコースティックにスカを掛け合わせた陽気なSEに合わせて、自然と始まるハンドクラップ。その中を颯爽とNICO Touches the Walls(以下NICO)、光村龍哉(Vo&G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)、対馬祥太郎(Dr)が登場する。


「楽しんでるか?新木場!お祭り騒ぎだぜ!」。威勢のいい光村の第一声と共に始まったのは、彼らの最新アルバム『Howdy!! We are ACO Touches the Walls』からアコースティックヴァージョンの“手をたたけ”。古村、坂倉そして対馬の叩き出す迫力あるトリプルドラムがフロアを震わせ、アコースティックギターを抱えた光村の歌声は、今宵は一段と逞しい。<今この瞬間を鳴らそうぜ>と歌詞を変えて歌い、間奏部分で始まったのがメンバー4人、息の合ったドラムセッション。このコーナーのハイライトとして対馬のドラムソロも披露される。勢いのままに続いたのは“THE BUNGY”。ガットギターを抱えた古村が鳴らすイントロが軽やかに宙を舞う。そして、「飛び跳ねろ!」と、雄叫びにも近い光村の声を浴びたオーディエンスが波のようにステージに押し寄せてくれば、彼らは野心剥き出しのダイナミックなサウンドで受けて立つ。立て続けに披露されたアコースティックの2曲は、先月ビルボードのステージで聴いた時よりも開放的で生々しさが際立っていた。


「改めましてこんばんは!NICO Touches the Wallsです。“ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ フェスト”へようこそ!」。今年でフェストは第2回を迎える。光村は、去年初めて自主フェスを開催したら想像以上に楽しくて今年も開催を決めた事、また対バン相手からも刺激を受け自分達にとってのターニングポイントでもあった事を明かす。そして、今宵のお相手[Alexandros]は、昨年も出演してもらっている。当時、バンド名が改名前の[Champagne]だったため[Alexandros]としては初めてなのだが「去年も似たような曲をやられていましたけど。名古屋辺りで(笑)」と笑いを誘い、ライブ前日、光村の元に川上洋平([Alexandros]Vo&G)から「映画観に行かない?」と今日会うのにメールがあったと、公私共に仲が良いことをアピール。しかしフェストの先攻を務めた[Alexandros]の川上は容赦しなかった。公私ともに長が良いことを話しつつも、「NICOをぶっ潰しに来ました~!!」とのっけからの宣戦布告。「良い空気のままNICOに渡そうとは思っていません!俺らはそんな良い子ちゃんじゃありません![Alexandros]の空気を作ってNICOに渡したいと思っています!」。この言葉通りライヴの熱量も半端なく、スケール感のあるハイブリットサウンドで一気に観客を魅了しまったのだ。盟友であり、時にシビアな目線を投げることもあるライバル関係でもある二組の共演。もちろんNICOの掴みは決して悪くない。ここから底力の見せ所だ。


オープニングから光村がずっと抱えているアコースティックギターは、ビルボードのステージで可愛い音色をお披露目された「大先輩」だ。次曲“Mr.ECHO”のイントロも、この「大先輩」で優しく奏でられていく。自問自答が繰り返される歌の主人公は作詞者である光村自身であり、孤独と向き合い続けた作品を創り上げてきたNICOの姿でもある。昨年の日本武道館のステージでは、光村の後を追いかける古村、坂倉、対馬の力強いコーラスがとても印象的であったが、ここSTUDIO COASTでは3人のコーラスが後押しとなったのか、フロア一体に広がっていくシンガロングが言葉にならない程に感動的だったのだ。まるで曲がバンドの元を離れ、目の前の一人一人の歌への変化していく瞬間を観たかのようだった。「僕らの歌でもあるけれど、君の歌でもあるんだよ」と、伝えているようだった。そして、幻想的な夜の世界へ一瞬にして引き込ませた“夢1号”で、美しく繊細なコーラスに対し、光村の歌唱が力強く映ったことも、“Diver”の王道のメロディには肉体感が生まれ、男臭さ漲るバンドサウンドでがっついてきたことも、ストイックにロックバンドであることをこだわり続けた結果だろう。安定感ある坂倉のビートに乗せて、オレンジ色のライトの中を疾走していく“ローハイド”は、まさに2015年を駆け抜けるNICOそのものであったし、“ニワカ雨ニモ負ケズ”の途中のブレイクで光村が、「へへへ、明日はどしゃぶりかな」と言葉を零せば、悲鳴にも近い大歓声。スリリングかつ爽快感あるサウンドで、たくさんの笑顔を咲かせてみせたのだ。


「やべぇ、楽しいっすね。最近(アコースティックライヴが続き)こういうのはなかったから、でかい音が出せて楽しい。」と光村。そして、先日30歳の誕生日を迎えたばかりの古村へ、メンバー3人とオーディエンスで“Happy Birthday”の大合唱。古村は「この景色は最高!」と久しぶりにライブハウスのステージに立ちご満悦の表情だ。そして、このフェストについて光村がちょっと長めに話し始めた。今、気が付けば毎週末のように、日本中のどこかしらでフェスが開催される時代である。しかしこのフェストは、こういった世の中の流れは関係なく「僕らで世の中の流れを作るもの」であり、その同志として他のバンドに出演してもらっていることのこと。今回対バンした[Alexandros]に対しては、「[Alexandros]のようなバンドは他にはいないじゃないですか。心のどっかでひっくり返していきたいという熱意」を光村は感じている。また、“ノ フェスト”の“ノ”とは英語の“No”。つまり『決して~ではない』という意味合いであり、正しく言うと『祭りどころではない』。「盛り上がるとか、盛り上がらないとか関係なく、バンドとして音楽をもっとぶつけ合える夜にしよう」という主旨なのだ。そして、共演を果たした[Alexandros]は切磋琢磨し合える仲間であり、「みんなもそういう仲間がいたら大切にした方がいいね。[Alexandros]、一生よろしく!」とステージ上で敬意を表す。思えば昨年、両バンドともに日本武道館の舞台に立った。しかし、ストレートに武道館に辿り着いたわけではなくて、「改名発表」に「リベンジ」という危機を乗り越えた結果、大きな転機を迎えることができた仲だ。年齢も近く分かり合えることも多いのであろう。NICOにとって[Alexandros]の存在の大きさを改めて思い知る、胸が熱くなる場面だった。


「僕のためにではないんだけど…世界に一本しなかいギターを買いました。」。少し照れながら話す光村の表情は、29歳の光村ではなく10代のあどけなさが垣間見れた。そして、「新しいギターを買ったら弾きたくなった」と披露されたのが、“そのTAXI,160km/h”。4人が同時に音を出した瞬間に場内の空気は熱狂に満ち、所々でモッシュも起こり始める。その様子は、昨年2月に行われたキャパ約200人のライブハウス『カベニミミ』を思い起こさせた。しかしさらに遡って、インディーズ時代小さなライブハウスのステージを再現したかのような、ギリギリの臨場感があった。この日、歌も演奏もMCも全てに「成熟と逞しさ」が漲っており、いよいよ中堅バンドとして次のゾーンに確実に足を踏み入れた事を私は確信できた。しかし、この素晴らしい流れの中で、彼らは突如『原点』とも呼べる曲を投下してきた事は、光村の新しく手に入れたギターが、彼らの胸の奥で生き続けているピュアな想いを、引き出したからに違いない。「思い残す事のないくらい、騒いで帰ってくれ~!」いつの間にか光村は真っ赤な“とちおとめ”にギターを持ち換え、ラストナンバー“天地ガエシ”が始まった。私は2階席の最後尾で彼らのステージを座って観ていたが、“天地ガエシ”が始まった途端に思わず立ち上がってしまった。2番からのテンポアップがフロアに拍車をかけ熱気の渦に溺れさせていく様も、溜めて溜めてオーディエンスをじらしまくって終わらせるパフォーマンスもさすがだった。全てを出し切ると、ステージ前方に集まり、手をつないで深々と一礼をする。オーディエンスに手を振りながら、ステージを去って行った4人は、いつになく良い顔をしていた。


約一時間の名演だった。王道のセットリストでありながらも、アコースティックアルバムのリリースとビルボードでの経験がバンドの血となり肉となり、久しぶりに爆音を鳴らせる喜びも相まって、今のNICOの全てを爆発させたような夜だった。何より彼らをここまで熱く燃え上がらせたのが大きな理由は、言うまでもなく対バン相手が[Alexandros]だったからだろう。私は本編終了の時点でライブハウスを後にしたのだが、アンコールでは両バンドメンバー全員、8人によってThe Beatles “Helter Skelter”とLed Zeppelin“Whole Lotta Love”のカバーが披露されたと小耳に挟んだ。これまた熱い熱いステージだったんだろう。「またやろうね」と約束が交わされたようだし、再び共演が繰り広げられるその時を私は心待ちにしている。


set list
1 手をたたけ
2 THE BUNGY
3 Mr.ECHO
4 夢1号
5 Diver
6 ローハイド
7 ニワカ雨ニモ負ケズ
8 そのTAXI,160km/h
9 天地ガエシ

encore
1 Helter Skelter (The Beatles ) & Whole Lotta Love(Led Zeppelin)



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by musicorin-nirock | 2015-03-08 21:27 | LIVE

“ Howdy!! We are ACO Touches the Walls ” / NICO Touches the Walls

2月3日。

2月4日の発売日の前日に当たるフラゲ日。いつものように渋谷にあるタワーレコードまで『Howdy!! We are ACO Touches the Walls』を買いに走った。無事に購入後、帰路に着き、色々とやることを済ませていたら、既に深夜近い時間。明日も仕事で早朝に起きなければならなかったが、せっかくなので、コンポの電源を入れた。


しかし、一度アルバム全曲聴き終えると私の頭に「?」が浮かぶ。いつものような衝撃がない。良くも悪くもサラリと聴ける。発売前に行われた先行視聴の時の、思わず胸が詰まってしまったような、感動が沸き起こらなかった。「こんなはずないだろう」と、それでもう一度聴いた。そして、はっきり答えが出てしまった。「正直、お腹いっぱいだ」。もう十二分にNICO Touches the Walls(以下NICO)の魅力をわかっているし、何よりこのアルバム収録曲が、彼らの代表的なシングル曲が8曲に、アルバム収録曲が1曲、そして書き下ろしの新曲1曲という内容であることが、不服だった。昨年2月にベスト盤をリリースしているのに。「なぜ、ここまでして過去の作品に拘り続けるのだろう?もう、十分証明したじゃない?」という歯痒さを感じてしまっていた。NICOの2014年を振り返ってみると、自身のキャリアを総ざらいするようなライヴを年中繰り広げ、無事、日本武道館公演のリベンジを遂げた。多彩な楽曲を生み出し、抜群の演奏力を持つバンドであることを、確実に証明し、彼ら自身も自分達を受け入れることができた。バンド結成10年目に相応しく、華やかかつ濃厚で濃密な一年間を過ごせたはずだろう。私自身も、2013年の1125(イイニコ)の日ライヴで、二度目の日本武道館公演のリベンジ宣言を受けて以来、彼らのリベンジを果たす姿を見届ける為に必死であった。これまであまり見せてこなかった剥き出しの姿に涙を零し、時に励まされた一年。彼らとの距離もぐっと近づき、最高のロックバンドであることを全身で体感してきたからだ。


それでも、しぶとく私はこのアルバムと向き合った。そして、少し時間がかかってしまったが、しばらく聴いていくうちに、このアルバムをリリースする必要性は100%あることを確信した。


元々はCD特典で付けていた、アコースティック・セッションを映像化したDVD『アコタッチと呼んでみて☆』を一つの形にしようというとコンセプトだったらしいが、目的はそれだけではないと思う。アコースティックとなれば、歌唱力、演奏技術、曲の持つ力そのものの全てがお見通しであり、言うまでもなく「実力」が試される。しかし、彼らは敢えてそのスタイルを貫き、持ち前のアレンジ力で、オリジナルとは違う新たな世界を構築させている。楽曲のクオリティの高さはさることながら、1人1人のプレイヤーとしての演奏技術も申し分なく、一発録りで挑んだことから伝わるスタジオの臨場感は、一度彼らのライヴに行ってみたいと思わざるを得ないほどに生々しい。また、デビュー当時から「ロック・バンドとはこうであるべき」と高い理想を持っていたNICO。理想と現実の狭間でもがき苦しみながらも、着実に身につけた自信と、強いバンドの結束力が培われていくうちに、若くして背負っていた様々なモノから解放されて行ったのだろう。切磋琢磨の10年間を経て、常に笑い声が絶えないような空気を纏う、今の彼らの姿を見ていると、やはりアコースティックが一番似合う。

今年でNICOは結成11年目を迎え、昨年武道館で約束したとおり、彼らは次なるリベンジを控えている。その為にはやはり、今までNICO Touches the WallsのCDを手に取ったことのない人達が手に取り、聴いてもらわないと意味が無い。アニメ主題歌やCMタイアップを勝ち取り、お茶の間を賑わした一面もあるからこそ、バンドの本質を見せなければならない。若手から中堅バンドへとステップアップしたことで、リスナーのバンドのとらえ方も変わるだろうし、求められるものも変わってくる。だからこそ、アコースティックという「難」な手段を選び、キャリア総括するような曲目を見直す。そして、初のビルボードのステージに立つことで、今の自分達を試そうとしているのだ。


今回の一件で、私は改めて彼らのポテンシャルの高さに脱帽し「お腹いっぱい」と思ってしまった自分が完敗したことを実感した。そして、初めてアルバム収録曲を1曲づつレビューする事を試みることにした。至らぬ部分もあると思うが、今までNICOの生み出してきた楽曲の良さを、やはり、たくさんの人に知ってほしい。また、アコースティックと聞けばどこか保守的なイメージがあるが、それとは逆に更に進化させてしまった姿を、是非体感してみて欲しい。そして、これは私の勝手な予測だが、今年彼らはアルバムをもう一枚出すのではないかと思う。ロックバンドとしてのプライドを賭けて。リスナーの胸ぐらをガッ掴む勢いで。堂々と、笑顔で差し出してくるはずだ。その時、彼らに一番似合うステージは、一体どこなのだろう?今は、ただただ、NICOの2015年に期待が膨らむ一方だ。



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①口笛吹いて、こんにちは
このアルバムの為に書き下ろされた新曲。イントロのメンバーによる口笛といい、陽気なモータウンビートといい、聴いているだけでハッピーになれる曲。NICOの曲は、主人公が孤独と向き合い、答えを見つけ出すためにもがく姿を歌う作風の曲が多い。その主人公が光村龍哉(Vo&G)自身やバンドであると、ここ最近の楽曲からは読み取れたが、サビで<寂しがりな君がいる/もう大丈夫>と、聴き手に手を差し伸べ<君に会いに行く>と、恥かしげもなく歌えるようになった。これは正しくリスナーに対する素直な気持ちであり、何より結成11年目の「逞しさ」が強く感じられる。


②手をたたけ
某携帯電話会社のCMソングであり、NICOといえば“手をたたけ”というイメージを持っている方も多いだろう。しかし、2013年の『1125(イイニコ)の日ライヴ』では「“手をたたけ”ばかりやってられない(苦笑)」と光村が本音を漏らした場面もあった(実際に、この日のライヴでは演奏されなかった)。とは言え、ロック・フェスではもちろんワンマンライヴでも必ず披露され、最後のサビではオーディエンスとのシンガロングも生まれる。やはりこの曲は、彼らにとって永久不滅のロック・アンセム。ヴォーカル・ギター・ドラムというシンプルな編成でアレンジされ、ドラムの力強いリズムによって、アイロニーが込められた歌詞とキャッチ―なメロディぐっと引き立ち、曲本来のタフさにガツンとやられる。


③THE BUNGY
“手をたたけ”からメドレー形式で“THE BUNGY”へと流れる。元々アッパーなアレンジではあるが、テンポアップしたことでさらにアグレッシヴな姿に変貌。ガットギターに挑戦したという古村大介(G)の速弾きのイントロには完全にノックアウトされてしまい、間奏部分の4人のソロ回しも、息をする間もないほどに目まぐるしく、これは実際に演奏する4人の姿を是非見てみたい。途中のブルースハープでブルージーにとルーツロックの香りがプンプンするが、今のNICOの「勢い」そのものと言うべき、生々しくも潔い、カントリー・ロックン・ロール。


④天地ガエシ
昨年8月に控えた二度目の日本武道館公演に向けてのリベンジソング。オリジナル自体t、アイリッシュの要素を活かしたアコースティック・サウンドであり、このアルバムの道標になっていると考えられる。ライヴで演奏されると、彼らの望んだサークル・モッシュがサビで沸き起こり、大変盛り上がる曲。しかし、テンポを落とし、歌詞とメロディをしっかり聴かせる事で、剥き出しの想いがひしと伝わってくる。まるで、彼らのリベンジの裏舞台を垣間見ているような気分になる。


⑤夢1号
光村の夢の中で生まれたメロディを、実際にそのまま曲にしてしまった、というエピソードを持つこの曲。小刻みなドラムアレンジを始め、ジャジーなバンドアンサンブルが非常に心地良い。また光村がスウィングを意識したというヴォーカルや、柔らかなファルセット。メンバーの美しいコーラスワークが醸し出す色気には恍惚としてしまう。4人が年齢を重ねるごとに、当たり前だが曲も成長していく。これはNICOが魅せた成熟の一面。


⑥ホログラム
先日、この曲の発売時、彼らが表紙を飾った音楽雑誌『音楽と人』(2009年9月号)の記事を改めて読んだ。初めてのアニメ主題歌ということで、曲に自我を投影せず、いかにたくさんの人に受け入れてもらえるかに重きを置き、作られた曲である。因みにメンバーは当時24歳。この転機に全力投球する4人のインタビューが瑞々しく、夢やロマンを追い求めるバンドマンとして姿が印象的だった。よって、それまでの楽曲とは作風が明らかに違う。でも、だからこそ生まれたグッドメロディであり、胸を打つ言葉であることを、このアコースティック・アレンジがはっきりと証明している。<真っ白な景色にいま誘われて/僕は行くよ/まだ見ぬ世界へ>という当時の真っ直ぐな気持ちを、29歳の光村はどんな気持ちで歌っているのだろう?彼の声が優しく体の細部にまで染み渡り、繊細なギターアレンジも非常に凝っていて美しい。


⑦芽
2ndアルバム『オーロラ』の収録曲。昨年の1125の本編ラストに披露されたことが記憶に新しく、また光村一人の弾き語りのステージでも何度か歌われている。何よりも、この曲は歌詞の持つ力にグッとくる。自分に与えられた命と向き合い、今を一生懸命生きていく全ての人々への、普遍的なメッセージソング。年齢と共に様々な経験を重ねてた彼らが演奏することで、オリジナルにはない説得力が生まれた。名曲である。


⑧Diver
一発録りの臨場感が良く味わえる曲である。特に対馬祥太郎(Dr)のドラムに注目して頂きたい。ポイントは躍動感あるスネア。1回し目のAメロからBメロに入る時、また、最後のサビへと向かう時のダイナミックな抑揚が、曲に大きな表情を付けドラマティックな演出している。通常ならば、バンドサウンドで隠れがちになってしまいがちだが、アコースティックだからこそ味わえるライヴ感がある。間奏のブルースハープはギター古村が担当。普段とは違う楽器に挑戦したこともバンドを楽しんでいる証拠だろう。


⑨Broken Youth
昨年の武道館では堂々の1曲目を飾った。疾走感漂うドラムのイントロが鳴り響くと、瞬く間にホール一体を多幸感で包み込んでしまったのだが、緊張の瞬間を4人と共に味わったこの曲は、大仕事を終え「ほっ」と肩の力が抜けたような開放感に包まれている。ゆったりとしたカントリーテイストで、思わず体を揺らしながらサビを口ずさんでしまいたくなる。音楽サイト『ナタリー』 で行われた「初アコースティック盤発売記念!メンバー全曲解説」 では坂倉心悟(B)が「不思議なほど自分たちにしっくりくるんですよね、このアレンジ。」と話しており、納得。今年メンバー全員が30代に突入する事もあって、大人の“Broken Youth”と呼んでみようか。でも、まだまだやんちゃな自分達でいたい、と歌っているような気もするが(笑)。


⑩ニワカ雨ニモ負ケズ
こちらもガットギターを使ったギターのイントロが印象的。スパニッシュテイストにアレンジされ、跳ねる光村のヴォーカルがラップのようでもあり、キーの高いサビではしっかり聴かせ、持ち前の底力を発揮。そして間奏のギターの速弾きは光村も担当し、本場スペインにも負けない情熱的な名演が繰り広げられている。細部にまでこだわり抜かれ、おしゃれに決めたアレンジではあるが、安定した対馬&坂倉のビートからは、裏を強く感じられるのでノリ易さもバッチリ。


⑪バイシクル
ちょっと長めに。昨年、武道館のステージでもアコースティックバージョンで披露され、大きな感動を観客に与えたこの曲。オリジナルは、まさに坂道を駆け降りていくようなアッパーなビートに、どこか青さが混じるギターサウンドで、聴き手に爽快感を与える非常にポップな仕上がりになっている。しかし、歌詞をじっくり読み返してみれば、赤裸々な感情がそのまま綴られていた。今回収録されているのは、披露されたバンド編成ではなく、光村1人の弾き語り。この“バイシクル”だけは、凝ったアレンジもなく、丸裸のままだった。しかし、静寂に満ちた始まりは、申し分なく、とても優しかった。そして、徐々胸に抱えた苦しみを吐き出すかのように、光村は、自分自身を曝け出していく。彼が小学生の頃から夢見たバンドマンになり、理想を手に入れたからこそ、向き合わなければならない現実があった。その狭間でもがき続けた姿を、何一つ隠すことなく、歌に託す。それが今、ようやく確かな物語となり、美しく奏でられている。一人一人に起こった問題やバンド継続の危機など、数えきれないくらい乗り越えなければならない事があったのだろうけど、その過程で得た事や経験が確実に成長させ、そして、音楽の中でしっかりと生きている。それが何よりも彼らの強みであることを、“バイシクル”は物語っている。




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by musicorin-nirock | 2015-02-11 10:21 | MUSIC

“ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ニホンブドウカン” / NICO Touches the Walls

NICO Touches the Wallsは、2010年3月12日と2014年8月19日に、二度、日本武道館公演を行っている。そして、2015年1月7日にどちらも初の映像化となるLIVE DVDが発売された。このDVDは2010年と2014年、それぞれのライヴ別にも発売されているが、私は二枚組セットを購入した。まず率直に、今までNICO Touches the Walls を聴いたことがない人には、私はこの二枚組のDVDをお勧めしたい。有名な某CMソングに起用されたJ-ROCKの王道的なナンバーから、インディーズ時代に小さなライヴハウスで鳴らしてきたソリッドなギターロックまで。バンドの全てが一番わかりやすく、しかも耳だけではなくて目でも堪能できる、とても優れた素晴らしいLIVE DVDになっているのだ。

ただ、でもここで疑問を持つ人もいるだろう。2010年3月12日の日本武道館の映像がなぜ、今このタイミングでリリースされるのか。時は既に2015年。最初の公演からはすでに5年が経とうとしている。私自身も初めての日本武道館公演が映像化され記録として残っていないことに正直「あれ?」と思っていた。

初めに個人的な話をすると、私はこの2010年3月12日の日本武道館には足を運んではいない。バンドの事は知っていたが、本格的に音を聴くようになったのは2012年の終わりである。ただライヴを楽しみたくて足を運んだ2013年11月25日の1125(イイニコ)の日ライヴで、彼らは二度目の日本武道館を行うことを発表。そして、次の日本武道館は「リベンジ」なのだと事ある毎にフロントマン光村龍哉(Vo&G)は言い続け、遂には日本武道館のリベンジソングであり、サビで<僕らのリベンジ>とまで歌ってしまう『天地ガエシ』をリリースした。なぜここまで「リベンジ」にこだわり、がむしゃらに走り続けてきたのか。それは、実際に2014年8月19日の日本武道館のステージを観て、私の中で2013年のイイニコからの歩みが一つに繋がった(その時のライヴレポート→ http://nirock.exblog.jp/22901705/)。一曲目の“Broken Youth”のギターのイントロが鳴り響き、大きな大きな日本武道館が多幸感で包み込まれていく様は、今思い出すだけでも鳥肌が立つ。でも、この曲のイントロの裏には私の知らない物語があった。それが2010年3月12日の日本武道館であり、封印され続けていた彼らの物語なのであった。

2010年3月12日に開催された『Walls Is Auroras』は、2009年から2010年にかけて行われていた「& Auroras」の追加公演として行われた。「ダダッ」という噛みつくようなイントロの“そのTAXI,160Km/h”から始まるのだが、4人が緊張感が音に吸収され吐き出され、それが硬さに繋がってしまっていることがわかる。しかし初めて立つ日本武道館。緊張するのは当たり前なのだが、彼らはそれをぐっと押さえつけながら、ほとんど完璧に演奏をこなせてしまっている。バンドの土台である2人のリズム隊、坂倉心悟(B)と対馬祥太郎(Dr)は驚く程に安定しているし、古村大介(G)のギタープレイによって、セクシーさも渋さも見事に演出され、当時24歳のメンバーが鳴らす音としては、かなり大人びた表情をしている。また、途中声が出なくなってしまうシーンもあったが、抜群の歌唱力で歌いこなし、全楽曲の作詞作曲を手掛けた光村龍哉というシンガーソングライターの才能が認められるべきステージになっているのだ。だからこそ、この硬さが最後まで残ってしまっている印象が強く、それが開放されたのは“Broken Youth”が始まった、既にライヴも終盤の頃。客電が付き、客席から上がる歓声もこの日一番大きく、ステージ上のメンバーも安堵の表情をやっと見せている。しかし、アンコールのラストにはインディーズ時代に発表された“壁”を演奏している。決して派手ではないこの曲を選曲したことに、彼の誠実さがわかるのだが、あまりにも切なく、もの悲しく響いている。それは、まさに今初めて立った日本武道館が、彼らに立ちふさがる大きな壁になってしまったように聞こえてきてしまったからだ。だから、終演後のフロアには歓喜というものが見当たらない。彼らは素晴らしい演奏を出来たにも、巨大な日本武道館という魔物を唸らせることができなかったのだ。

彼らは2004年にバンドを結成、2007年11月にはメジャーデビュー。2nd Album『オーロラ』ではプロデューサーに亀田誠治氏を迎え、アニメやドラマ主題歌のタイアップも勝ち取った。言ってしまえばとんとん拍子だが、この『Walls Is Auroras』を観て、ただ単に「流れ」に巻き込まれていたわけではないと思った。才能があるが故にもたらした成功と挫折を、バンドの歴史に残る晴れの舞台で味わってしまったのだ。

1月10日、渋谷のタワーレコードで行われたLIVE DVD発売記念のトークショー内で「2010年の武道館を経験してから180度バンドやライヴの内容が変わった」と光村が話していたことが印象に残った。「2010年の武道館は一日4曲づつ観ていった」(光村)、「2010年のDVDを観るのには勇気がいる」(坂倉)と本音を漏らしていたし、苦い思い出ではあるのだが、確実に彼らの大きなターニングポイントになったことは間違いないのだ。そして4年後「リベンジ」を果たせたことで、過去を受け入れることができた。時間はかかってしまったが、彼らにとっては必要な時間であるし、2014年8月19日『ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ブドウカン』を観れば、彼らに与えられた勲章は誰もが手に入れる事が出来ないものであることを、実感できる。

実際に映像を観ていくと、二度目の日本武道館のステージで演奏された1曲目には、“Broken Youth”が一番相応しい。4年前にも演奏された楽曲であり、まさに4年前の映像を新たに塗り替えていく、そのためのステージのスタートダッシュに選んだことに一番納得がいくし、同年2月にリリースされたベスト盤中心のセットリストを組んだことは、生き様をしっかりと日本武道館に刻もうとする責任感すら感じられる。また、ステージ上のリラックスした空気感が画面越しに伝わり、メンバー全員が見せる笑顔のシーンも本当に多い。古村、坂倉、対馬が常に歌を口ずさんでいる姿も、バンバン抜かれている。4年の間に生まれ、育て上げられた楽曲が一曲も残らず輝くようにホール一体に放たれていくが、その中でもライヴ中盤のほぼ光村の独奏の“バイシクル”で恥ずかしげもなく自分たちの姿を剥き出しにし、“Mr.ECHO”で繰り返される自問自答に向き合う覚悟を決め、「俺らに着いて来い!」と言わんばかりの強気な“ローハイド”の流れは本当にドラマティックであり、この4年間にメンバーに起こった全ての出来事(良い事も悪い事も含めて)がどういうものであったか、そして、確実にそれを4人で乗り越えてきたことがわかる。”手をたたけ”の最後のサビで沸き起こるシンガロングは、確実にオーディエンスとの熱い絆が確かめられた感動的場面も収められているし、本編ラストの“天地ガエシ”は、バンド組みたての少年のように無邪気な表情で<僕らだけの秘密の大勝利>である最高のロックンロールを鳴らし、4年前の日本武道館にはない歓喜が溢れ、メンバーそしてオーディエンスから零れるものは涙ではなく満面の笑顔。

アンコールで披露された“TOKYO Dreamer”は、このライヴの翌日にリリースされたのだが、その理由もはっきりとわかる。青さがそのまま綴られた歌詞を10代の光村が歌うよりも、当時28歳の光村が歌う方がよりリアルに伝わる。成功と挫折を味い、そしてそこから這い上り、再びリベンジできた直後に<孤高の戦いは いずれこの夢を叶えるんだ>を歌える自分達になったという事を、日本武道館のステージで、まずは応援し続けてくれている大切なファンに伝えたかった。それが、彼らの次なるリベンジに繋がるシーンでもあるのだ。よって、これは二枚で一枚のLIVE DVDと考えていいだろう。過去を封印するのではなく、見せることで本当にリベンジ出来たんだと、彼らは証明したかったのだ。

気が付けばNICO Touches the Wallsバンド結成から今年で11年目である。この年末年始にバンドメンバーの脱退や活動休止のニュースを多く耳にするたびに、バンドを続けていく事の難しさや、どれだけのエネルギーが必要なのかと考えてしまったのだが、と同時に、彼らが決して諦めず、そして自分達でバンドの舵を取るようになったことを、何よりも評価したい気持ちになった。そして、これからどんな冒険をしていくのか、ただただ楽しみで仕方がないし、改めてNICO Touches the Walls は良いバンドだなと心底思ったのだった。


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by musicorin-nirock | 2015-01-11 18:14 | LIVE DVD

8/19 NICO Touches the Walls "ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ブドウカン"


『最後は 笑ってやろうって あの日泣いたこと 絶対 ムダにはできないだろ 響け 僕らのリベンジ』                                      ―天地ガエシー

 2010年3月12日、NICO Touches the Wallsは初めて日本武道館の舞台に立った。しかし、彼らの記憶に刻まれたものは、歓喜ではなく悔しさ。チケットをソールドアウトにできなかったこと。それは「武道館」に打ち勝つ力量が自分達には備わっていなかったという、余りにも大きな屈辱だった。今回の武道館ライヴは、その「リベンジ」であると、昨年の11月25日に行われた『1125(イイニコ)の日ライヴ』で堂々と宣言され、年が明けると武道館へのリベンジを果たす、それだけの為に彼らは猪突猛進に走り続けた。
 


 ――そして、遂に迎えた2014年8月19日。


 対馬祥太郎(Dr)のドラムセットの前に、光村龍哉(Vo&G)、古村大介(G)、坂倉心悟(B)が集まり、円陣を組む。掛け声と共に観客に見せた「気合い」。今日という日は一日しかない。一騎打ちの勝負のステージに立ったNICO Touches the Wallsが放つ一曲目は「Broken Youth」。この特別なステージへの高揚感そのものを対馬がエネルギッシュに叩き出す。
 次なる切り札は「THE BUNGY」。カントリーテイスト満載のギターのイントロが終ると同時にバン!と上がった爆発音。客席をグイグイ煽り続ける、いつにも増して饒舌な光村のヴォーカルを筆頭に、メンバー全員じゃじゃ馬の様な暴れっぷりだ。それに負けじと、凄まじいハンドクラップを鳴らすオーディエンス。今日に賭けている気持ちは、この日を待ち望んでいたオーディエンスだって同じなのだ。立て続けに披露されたアッパーチューンに、開演まで漂っていた緊張感は解きほぐされ、ヴォルテージは急上昇。あっという間に武道館を飲み込んでしまう。

 颯爽とした光村の弾き語りで始まったのが「ホログラム」。曲に存在するみずみずしさは、色褪せることなく顕在で、ノスタルジーを感じられたが、4人の背後に設置された巨大なスクリーンには、あの日から4年経った、今のNICO Touches the Wallsが映し出される。笑顔で叩き続ける対馬。客席を愛おしそうに眺める坂倉。真剣なまなざしでギターと向き合う古村。そして、再び武道館のステージに立った感動を噛み締め、今にも溢れだしそうな喜びを必死に堪えながら力強く歌う光村。4人のリアルな感情が交じり合う「夏の大三角形」は、最上級に研ぎ澄まされた美しい音を奏で、エモーショナルな空間へと仕立て上げていった。

 「満を持してこの武道館に帰ってきました!」と威勢の良い光村のMC。この日を最高のものにしてやるぜ!という意気込みは、「妄想隊員A」とシングル曲が続く中、突如、変化球として投げつけてきた。それが、1stアルバム『Who are you?』収録の「B.C.G」。燃えたぎる炎のようにダイナミックなサウンドは、スマートな4人からは考えもつかない肉体感を感じさせ、さらに追い打ちをかけるかのように、光村は『デカイ音で騒ぐだけ』と武道館に喧嘩を売る。その勢いは衰えぬまま「バニーガールとダニーボーイ」へ。アメリカンなロックンロールでフロアを沸かせると、坂倉の厳ついゴッツゴツのベースが唸る「アビダルマ」。この怒濤の流れに、度肝を抜かされ「参りました!」と思わず口から出そうになった。メンバー全員、いつにも増してアグレッシブだったが、何よりも色気も男気を醸し出し、ラップまでこなしてしまう光村の「歌に対する強欲さ」には、呆気に取られてモノも言えない。

 熱気にまみれ、興奮冷めやらぬ場内。そこに水を指すよう静寂を与えたのが「バケモノ」だった。全身に重たくのし掛かるベース音と、ファルセットを聴かせた歌声が狂気的な匂いを漂わせる中、一番のハイライトは古村の血の滲むようなギターソロ。それは、胸がはち切れそうなほど痛々しい音色で、古村は無我夢中にかき鳴らす。鋭さを帯びたギターサウンドは、いつになく生々しい。そして、更に核心に迫るよう、続く「Diver」で、自分達の内面を深く掘り下げ、剥き出しの姿をここ武道館のステージで暴いていく。
 

 光村と古村はそれぞれアコースティックギターに、対馬はドラムスティックをブラシに持ち替え、2月に行われた『カベニミミ』でも披露した、アコースティックセットへ切り替えた。

 始まりは「Heim」。ゆったりとしたワルツのリズムに、アコースティックギターのアンサンブルと柔らかな光村の声が乗る。体の奥の方にある、目には見えないくらい小さな細胞までに行き届かせるよう、じっくりとオーディエンスに聴かせると、光村一人、ギターを爪弾き始めた。「バイシクル」だ。再び訪れた静寂の中、原曲よりもテンポを落とし、全身全霊賭けて熱唱する。
 『寄り道だらけの旅でも My Bicycle 悪くはないさ』
 それは、グッと拳を握り、耐え抜いてきた孤独な戦いそのものだろう。その姿がステージ上で顕わになったとき、青さ残るギターロックは、彼の歩んだ人生と共に「ブルース」へと姿を変えた。

 再びバンドセットに戻し、聴こえてきのは「Mr.ECHO」。快活なビートと美しいメロディが、武道館いっぱいに広がり始め、まるで、光村の抱えた闇が開放されていくようだった。そしてここで、とても印象深い場面に遭遇する。エンディングにかけてのコーラスを、古村、坂倉、対馬が、それぞれに抱えていた孤独・葛藤の全てを吐き出すように、力強く歌い続けたのだ。「Mr.ECHO」は、自問自答を続ける歌詞と光村しか出演していないプロモーションビデオから、彼個人の内省を強く打ち出している作品だ。しかし、戦い続けてきたのは彼だけではない。一人一人が自分と向き合い、立ち現れた壁を打ち砕き続けなければ、自分もバンドも進化しない。キャリアを重ねていく中で、また、今回のリベンジを果たすためには、全てを剥き出しにした姿で戦わなければならないという責任と危機感があったのだろう。それは、本気の勝負に出た象徴であり、真のロックバンドとしての立派な姿だった。

  
 そして、4人が出した次なる決断。光村はその孤独な旅を『駆け抜けろ』と歌い上げる。力強く、真っ直ぐにずんずん進むビートを対馬と坂倉が刻み、煌びやかに鳴り響く古村のギター。無駄なものが全て削ぎ落とされ、引き締まったバンドアンサンブル「ローハイド」は、疾走感と共に武道館を駆け巡る。目指し続けたこの場所には、溢れんばかりの拍手喝采と、多幸感広がっている。それでも4人は留まることなく、ラストに向けて走り続けるのだった。

 メンバー全員、全身振り乱しながら演奏し、曲中のブレイクで光村が客席の隅々まで笑顔を確かめると、感極まる気持ちを抑えながら「こんなんじゃ、明日は土砂降りでございますよ!」と大満足な笑みをみせた「ニワカ雨ニモ負ケズ」。割れんばかりのハンドクラップを武道館中に響かせ、メンバー4人と9,000人近くのオーディエンスによる盛大なシンガロングで締めた「手をたたけ」。
 そして、本編ラスト。「リベンジソング」の名の下にワンマンライヴやフェスで演奏し続け、ようやく武道館で披露できた「天地ガエシ」。逞しく、伸びやかに広がり続ける光村のヴォーカルと自由度を増したサウンド。ステージ上の4人は、バンドを組んだばかりの少年のような無邪気さと、自信に満ち溢れている。そこに、オーディエンスの歓喜と、彼らを祝福するように、紙吹雪が華やかに舞う。歌い終えた光村は、片手でギターを高々と掲げガッツポーズを見せつける。無事リベンジを果たした勇ましい4人の姿は、眩しいほどに美しく輝いていた。


 鳴り止まないアンコールに4人揃ってステージに登場し、1曲目に披露したのは「image training」。インディーズ時代に発表され、長年彼らを追い続けてきたオーディエンスにとっても、親しみ深いこの曲は、キリッとした都会的なサウンドに成長し、NICO Touches the Wallsの「今」の姿が見えた。それを「未来」へ繋げたのが、光村が10代の頃に作った「TOKYO Dreamer」だ。安定感のある8ビートと所々に加わるコーラスが、浮遊感ある幻想的な世界を描くが、しっかりと地に足の着いた演奏だった。

 この曲が生まれてから10年以上の歳月が経ち、夢が現実となり、4人はたくさんのものを手に入れてきた。しかし、この歴史的なステージとなりうる武道館のライヴで自らが用意した舞台には、それぞれの楽器とアンプがぽつん置かれた、至ってシンプルなステージ。そこに、全員モノトーンを基調としたTシャツとパンツスタイルで現れ、ベスト盤『ニコ タッチズ ザ ウォールズ ノ ベスト』に収録されてい楽曲中心の、スタンダードなセットリストでライヴを行った。
 なぜなのか?と聞かれたら「バンドとしての足跡を確実に残す為」と答える。アンコールに入る前に、光村は溢れんばかりの拍手喝采を、何度も何度も浴びてきたにもかかわらず、「一つ課題がクリアされると、次が出てくる。一生リベンジなんです。」と、その胸の内を明かした。私は、彼の真摯な姿勢に胸を打たれ、これまで不器用ながらも着実に前進してきた自分達を、丸ごと認めることができたのだろうと感じたのだ。
 そんな彼らの、自分達に必要な最小限のもので勝負に出た「覚悟」は、『必ずこの夢を叶えるんだ』という強い決意だけが存在している「TOKYO Dreamer」の数少ない言葉達とシンクロする。NICO Touches the Wallsが、どのバンドにも決して負けない、バンドマンとしての強い使命感を持ち、彼らが音楽と共にある運命にあることを物語っているのだ。


 この日、一度だけ光村がとても悔しそうな顔をした。それはアンコールに呼ばれてすぐのMCで、「正直やりたかったけど、やれなかった曲があと5倍くらいある。」と本音を漏らした時。

 しかし、その悔しさを打ち消すように、再び強く宣言する。NICO Touches the Wallsは、来年の冬、東京と大阪の2カ所で新たなリベンジを果たす。4人は、武道館に集まったオーディエンス、一人一人の手を強く握り締めていくように、アンコールラストの「N曲とN曲」で、再会の約束を、熱く交わしていった。
 全ての演奏が終わると、楽器を置き4人全員ステージ前方に並んで立つ。互いを確かめ合う様に、ぎゅっと繋いだその手を掲げ、深々とオーディエンスにお辞儀をした。4人のその表情は、ステージから少し離れた1階スタンド席にいた私でさえも、やりきった!という表情であることがわかるくらい、満面の笑みだった。そして、ステージを離れることを惜しみつつ、「引き続き僕らのリベンジに付き合って下さい。ありがとうございました!」と光村はラストメッセージを残し、4人は会場の隅々までに手を振りながら、期待いっぱいの武道館を後にした。


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 2014年8月19日。
 
 この日、彼らの記憶に刻まれた悔しさは、NICO Touches the Wallsの『最大の武器』となるだろう。昨年のリベンジ宣言以降、めざましい勢いで進化を遂げてきたのだ。もう、何一つ不安に思う必要などない。

 「一生リベンジ」。その言葉を胸に、信じる道を突き進め。


セットリスト
1 Broken Youth
2 THE BUNGY
3 ホログラム
4 夏の大三角形
5 妄想隊員A
6 B.C.G
7 バニーガールとダニーボーイ
8 アビダルマ
9 バケモノ
10 Diver
11 Heim
12 バイシクル
13 Mr.ECHO
14 ローハイド
15 ニワカ雨ニモ負ケズ
16 手をたたけ
17 天地ガエシ

encore
1 image training
2 TOKYO Dreamer
3 N極とN極




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by musicorin-nirock | 2014-09-10 16:32 | LIVE

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