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Permanentsのライヴで思ったこと。

9月2日。
渋谷WWW。二ヶ月ぶりにPermanentsを観に行った。
『裸の王様 wear.3 』というVINTAGE ROCKと渋谷WWWが主催の対バンイベントだ。
この日の対バンアーティストは
「田中さんとは、歳が一回り違います。小学生か中学生の頃、まだ西原さん(西原誠/ex.GRAPEVINEベース)がいたときに、テレビで観ていました。」と嬉しそうに話していた、a flood of Circle の佐々木亮介(Vo&G)。
オープニングアクトは6月にメジャーデビューしたばかりだという、男女ユニットGLIM SPANKYが務めた。
「この3組のアーティストに共通しているものがブルース」と佐々木が話していたとおり、
かなり、ロックとブルース色の強い、約3時間に渡る長いライヴだった。


若い世代のアーティストに囲まれつつも、Permanentsの二人は相変わらず。
飲みながら、緩いMCを交えながらのステージで、途中、高野から「サクサクやったほうがいいよ」と田中への突っ込みも入りつつもマイペースに進んでいく。
ギターと鍵盤、そこにヴォーカルが乗るという、とてもシンプルな編成ではあるが、二人にしか生み出せない心地よいグルーヴがライヴハウスを温めていく。
そして、キャリアを感じさせる「渋さ」も、少年のような「瑞々しさ」も、自由自在に表現していく、田中のヴォーカリストとしての力量には、圧巻という言葉しか出てこない。

個人的に印象に残った曲について、書いていく。
自身の息子が誕生したときに歌詞を書いた。という「スイマー」。
少ない音数の中で、淡々と歌い上げていく。

綴られる言葉には、
新しい命が誕生する愛おしさと、
「頑張って生まれてこい。」という力強いエール。
そして、それは<僕らは一層泳げ>という、
自分に対する言葉へと変わり、
父親としての「覚悟」を感じさせられる。

その後、カバーを1曲挟み「少年」へと続く。
私は驚いてしまった。
意図的にそうしたか、偶然なのかはわからないが、
言うならば、この2曲は正反対の位置にある楽曲だ。
 

『交わした温もりなんて思い出せないだろう/歩いた道程なんて振り返らないだろう』

田中自身の生い立ちについては、かつて4thアルバム『Here』が発売された時、
ロッキン・オン・ジャパンのインタビューで語られていたが、
田中は、かなり苦労を強いられた幼少期を過ごしてきている。
その表題曲「Here」は、深い孤独が赤裸々に綴られた歌詞が並んでいる。
また、当時を思い起こさせる楽曲が、
その後もポツリポツリとリリースされて行く中でも、
この曲が田中にとって深い意味のある楽曲であることを思い知らされたのが、
「少年」が収録された彼らの7thアルバム『dēracinē』を
引っ提げたツアー『sweet home adabana 2005』ファイナルでの出来事。
田中は、オーディエンスの前で、ボロボロと涙を零しながら「少年」を歌っていたのだ。

そして、GRAPEVINEのライヴでは、この曲をほとんど聴かなくなった。
過去を振り返ることよりも、今目の前の幸せを歌い、
我が子へのメッセージのような楽曲が増えていく。
父親となった事を自分自身に言い聞かせるような、
この愛おしい時間を慈しむような、優しい曲が増えていった。

だから、この日はひどく衝撃を受けた。

缶ビールを飲みながらくだらないMCを連発し、オーディエンスに突っ込まれ、
真面目なことをうっかり話せば、そんな自分にまでも突っ込んでいる・・・

そういえば、かつては、自ら笑いを取るようなMCなんて殆どなかった。

年齢と共に人は丸くなっていくものだ。
しかし、この人は、孤独を抱え、今でも戦っていることを、改めて実感してしまった。
そして、この拭いきれない少年時代を歌うことは、
音楽家として生きる田中の使命であり、
答えはでなくとも、歌い続けいていくことに、
強い意味があるのだろう。

GRAPEVINEのヴォーカリストではなくて、田中和将としてのステージ。
彼の生きてきた時が歌に刻まれた、人間味のあるブルースを聴かせてくれた。

最後にこれは私のわがままだけど、
田中には、一人抱えてきた寂しさや憎しみを、
優しさに変えて、
やっぱり「ラヴソング」を歌っていて欲しい。


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by musicorin-nirock | 2014-09-04 23:14 | COLUMN | Comments(0)

7/6 Permanents presents "A ZIG/ZAG SHOW @ Shibuya www "

私はもともと歌が好きで音楽を聴くようになった。10代後半から20代半ばにかけて、ヴォーカルをやっていたこともあり、歌詞、メロディ、ヴォーカリストの声・表現力・カリスマ性などを重要視してCDを買ったり、ライヴに足を運んでいた。

先月のPermanentsのライヴは、そういったルーツを持つ私にとって、とても至福な時間だった。バンドマンではない田中和将(Vo&G)の姿を観たのは久しぶりであり、何よりじっくり声と言葉とメロディが味わえ、そこから見えた風景がストレートに胸に届いたライヴだった。

ステージ上には、田中と高野勲(Key)の二人だけ。海外アーティストのカバーや、ライヴではほとんどお披露目されないGRAPEVINEの楽曲の数々を、カントリーミュージックやブルースといった自分たちのルーツを元にしたアレンジで魅せていく。そして、どこにでもある日常を彩った言葉たちが、次々と軽やかにライヴハウスを舞う。決していやらしさや媚びがない、素直な感情とシンプルな音とのアンサンブルは、会場をアットホームな雰囲気にさせ、GRAPEVINEの彼らよりも、もっと身近な存在に感じさせてしまう。
さらにこの日は、nanacoのウィスパーヴォイスと長田進のセクシーなギター、そして阿部芙蓉美の美しいハーモニーも重なり、華やかさを増した一面もあった。

一番印象に残っているのが、田中と高野の二人で披露した「それでも」。
ギターを置き、スタンドマイクの前に立つ。手を後ろで組み、目を瞑って歌う田中は、歌うことの喜びを思いっ切り表現する。その声は、まるで少年のような初々しさとみずみずさを醸し出し、そして、懐かしさを感じさせる言葉と一つになると、優しいメロディと共にふわりと私の心を包み込んでいった。
高野の鍵盤は田中にそっと寄り添うが、時に彼の魅力を引き出せば、時にぐっと支え、流れる川のようにドラマティックに演出する。それは、彼がGRAPEVINEのサポートメンバーとして長年共に歩んできたからこそ、阿吽の呼吸がとれた2人でしか生みだせない賜物であり、一気に魅了されていった。

田中の書く歌詞はどこか地味で、万人受けするようなメッセージ性は感じられない。ただ、ヒットチャートやミュージック・フェスティバルを賑わす音楽が、四つ打ちのポップミュージックやアイドルソングが主流となっている今、聴くとちょっとこそばゆいけど、小さなきらめきのような歌がちゃんと存在していることが、私はとても愛おしかった。

このユニットは企画モノのからのスタートだったとはいえ、あちらこちらのフェスに呼ばれては出掛けて行き、若手・ベテラン問わず多くのミュージシャンとの対バンイベントもさらりとこなしてしまう。フットワークの軽さも素晴らしい。もちろん、多くのファンが彼らのパフォーマンスを待ち望んでいるからなんだろうけど、一番本人達が自由にリラックスして楽しんでいるから、ステージに立ち続けているのかもしれない。


セットリスト

opening HOPE(軽め)
1 それを魔法と呼ぶのなら
2 Here Comes Your Man(Pixiesのカバー)
3 ふたり
4 Life On Mars(David Bowieのカバー)
5 それでも
6 小宇宙
7 Colors
8 雨にうたえば(MALPASO)
9 悲しきセクレタリー(ムーンライダース)with nanaco+長田進
10 Sing

encore
1 highway,highway(阿部芙蓉美)
2 エレウテリア with 阿部芙蓉美 & 長田進
3 春咲子紅(矢野顕子のカバー)
4 smalltown,superhero


※この日は対バン形式でしたが、Psemanentsのライヴについてのみ書いています。

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by musicorin-nirock | 2014-08-04 22:28 | LIVE

主にNICO Touches the Walls について書いておりますが、他にはGRAPEVINE と the HIATUS が好きです。記事の無断転載、引用はご遠慮ください。


by タナイユウ
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